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不思議の国のアリス  作者: 大橋むつお
16/28

16『カーネル・サンダースの謎々・2』

謎々の中味は、ちょっとした短編小説だった。

不思議の国のアリス・16

『カーネル・サンダースの謎々・2』    



 謎々の中味は、ちょっとした短編小説だった。


――江戸時代の終わり頃、大阪の堺で殺人事件が起こった。殺されたのは、堺の唐物商、和泉屋の主人であった。袈裟懸けにバッサリと切られ、店の前に倒れていたのを、店を開けた丁稚に発見された。

 そのころ和泉屋は新撰組から、押し借り(無理矢理借金を申込み、踏み倒す)をせまられていた。京、大坂、堺の商人たちが、この被害に遭い、かなりの損害を被っていた。てっきり下手人は新撰組であろうと、奉行所も手をこまねいた。泣く子と新撰組には勝たれぬご時世で、この事件は不問に付されようとした。今で言えば「お宮入り」である。

 ところが、数日後、奉行所の壁に張り紙がされた。

『下手人は、堺より紀州の内にあり』

 堺より紀州(和歌山)よりということは、堺の南側で、新撰組という線は薄くなる。そこで、奉行所の役人達は、堺から紀州までの間の、主に商人で、和泉屋といさかいのあったものたちを調べ始めた。奉行は、その張り紙をよく見て、奉行所の幹部を集め、問いただした。

「下手人は、その方たちの中におる。吟味(捜査)してもよいが、武士なら潔く申し出よ」

 結果、一人の幹部役人が進み出て、白状した。その役人は、和泉屋が尊皇攘夷派の武士たちに倒幕の資金提供をしていたのに腹を据えかね、犯行に及んだ。

 なぜ、奉行は、奉行所の幹部役人の中に犯人がいることが分かったのか?――


 この答が分かったら、夕べの帝都ホテルの宿泊代はカーネル・サンダースの伯父さんが持つと書かれていた。

 これは挑戦しなければ損だと、梅林の見学もそこそこに、千代子の家に帰って、アリスは頭を絞った。


 アリスは考えた。英語ではなく、わざと漢字交じりのむつかしい日本語で打ってきた。千代子もいっしょに考えてくれたが、千代子にはまるで分からなかった。アリスは文章をヒラガナにしてもらい、むつかしい単語は千代子に聞いた。千代子にも分からないものは、検索してみた。


○堺は、当時有力な商業都市であった。


○奉行所というのは、今の警察である。


○新撰組、幕府が雇った京都や大阪の治安維持部隊で、傭兵部隊のようなもの。


○紀州=和歌山と紀州の間の地図とにらめっこ。


○奉行所の幹部は、同心とか与力とかがあった。


 千代子は、三時のお八つどきには降参した。それから三十分ほどして、アリスは叫んだ。

「分かった、ウチ分かったで!!」


 さっそくアリスは、答を伯父さんに送った。折り返し「ご名答!」のメールが返ってきた。


 さて、読者のみなさんは、お分かりであろうか?


 答は、次号で発表……!

 



分かった、ウチ分かったで!!

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