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不思議の国のアリス  作者: 大橋むつお
15/28

15『カーネル・サンダースの謎々』

アメリカにはお城がない。

不思議の国のアリス・15

『カーネル・サンダースの謎々』    



 帝都ホテルで、シンミリと女子会をやったあと、フカフカのベッドで眠ってしまい、お風呂に入ったのは、ほとんど日付が変わるころだった。

 朝食は、メインダイニングのビュッフェでしこたま食べた後、チックアウトして、大阪城を見学した。大阪に来てすぐの頃に、一度見学に来たが、あれからいろいろ調べたので、アリスには新鮮だった。


 アメリカにはお城がない。カリフォルニアに新聞成金のオッサンが建てたマガイモノとディズニーランドのシンデレラ城があるくらい。

 今の大阪城は、ヒデヨシ政権が1615年に滅亡したあとに、トクガワ政権が立て直したものだけど、それでも歴史的には400年で、アメリカの国としての歴史のほぼ倍である。それだけでアリスには興味深かった。天守閣タワーは、1931年に大阪市民の寄付金によって再現されたコンクリート製だけど、迫力はあった。『プリンセス・トヨトミ』という映画では、この城のホンマルエリアの真下に大阪国の国会議事堂があることになっていた。あの時大阪国の総理大臣役をやった中井貴一を、この映画でアリスはファンになった。

 表の顔は、空堀商店街のお好み焼き屋のオッチャンで、裏が大阪国のプライムミニスター「カッコええわあ!」とアリスはシビレた。今でもヒデヨシの子孫であるプリンセスは、自分がプリンセスであるという自覚もなく普通の中学生として生きている。それを大阪国のオッサンたちは密やかに見守っている。なんともクールな話だと思った。

 

 日本人は、ファンタスティックだ。


 フィギュアスケートの選手に織田信成(アリスが必死で覚えた漢字)という選手がいて、彼が織田信長の本当の子孫であることを知って、アリスはタマゲタ。

「鳴かぬなら、殺してしまえ、ホトトギス」

 ご先祖の信長はぶっそうなことを俳句というカタチで残しているが。プリンス信成は、こうである。

「鳴かぬなら、それでいいじゃん、ホトトギス」

 これでファンになり、ネットオークションでサインを競り落とした。アリスの二番目の宝物。一番は近所のお葬式でもらった数珠である。あれは、ただ日本の伝説的な霊柩車が見たくて、待っていたら、アメリカと変わらない霊柩車だったのでガッカリしていたら、それが、とても悲しそうな顔に見え、感心した近所のオバチャンがくれたものである。

 天守閣の、すぐ南に西洋のお城のような建物がある。最初来たときは分からなかったが、今は分かる。

「あれは、天守閣建てるときに、陸軍との交渉で建てた師団司令部やねんで」

「ほんま……?」

 千代子が気の抜けた返事をする。

「集まった寄付金の2/3は、これ建てるのにつこてんで」

「え、なんで軍隊に、そんなんしたげたん?」

「え、知らんのん。大阪城は軍隊が管理してたんやで。その一部を公園にして天守閣建てる見返りやで」

「それ、エゲツナイなあ」

「ウチは、そこまでやって、天守閣建てた大阪のオッチャン、オバチャンらがエライと思う」

 アリスは、戦前の軍隊の力の強さと折り合いをつけた大阪の人間を賞賛する演説をした。

「ここに、万博の年に埋めたタイムカプセルがあるねんよ!」

 千代子も負けずに言う。

「むかし、ここに紀州御殿いうのんがあってんよ」

 アリスは、その上をいく。

「紀州御殿?」

「明治時代に、和歌山城から移築した、立派な五点……ちゃう、御殿」

「戦争で焼けたん?」

「ううん、戦後、進駐軍……て、ウチとこのアメリカ軍やけどな。タバコの火の不始末で焼けてしもてん。大阪の消防車が大手門まで来たんやけど、中に入れてもらえへんで、丸焼け……アメリカにもしょうもないオッサンらがおるわ」

 ウンチクにかけてはアリスの勝利って、アリスは別に千代子と勝負したわけではない。何事にも好奇心の強いタチなのである。


 それから二人は梅林に行った。まだ五分咲きだったけど、アリスは満足だった。密かに、大学に入ったら、また留学生で日本に来ようと決心していた。アリスは、この不思議の国が大好きだ。

 比較的花を多く付けている梅の前でシャメを撮った。二枚目を撮ろうとしたら、着メロがした。


「サンダースのオッチャンや……」


 そのメールには、かなり手の込んだ謎々が添付されていた……。



サンダースのオッチャンや……

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