私にしか出来ない事
なんだ?一瞬魔王の魔力が上がったような。いや今はしっかりサポートしないと。しかしそろそろ私の魔力がきつい。そろそろ決着を付けてもらわないと。と思ったとき「マミィそろそろサポート終わって良いぞ」と聞こえた。いつも思うが、何だかタクヤに心を読まれているようだ。しかしタクヤはただただ観察しているだけだろう。そもそも心を読むスキルなんてないのだから。しかしタクヤは先ほどから一人で戦っている。普通だったらもうやられててもおかしいはずだ。なのにずっと一人で…私も、もっとタクヤの力になりたい。そう思ったとき、不意に胸の奥が熱く感じた。そしてタクヤの顔を見るとそれはどんどん熱くなった。
「ねぇマミィ。タクヤのことどう思う?」
「えっ!ど…どうって、別になんとも思ってないから!!」
「ちょっとそんなに慌ててどうしたのよ」
「べ…別に慌ててなんかないわよ!そ…それよりポピィンちゃんはどう思ってるのよ」
「私?私はあのお父様と渡り合っててすごいなとは思ってるけど…」
なんだそのことか。いやいやなんだとはなんだ。そもそも私は何故こんなにも胸が高鳴っているのだろうか?
「魔王はまだスキルを使ってないってことでしょ」
とエルゼは言った。
「うん。代々魔王は強力なスキルとすごい魔力を持っているから恐れられていたの」
「でも一切魔力を使ってない状態でタクヤが苦戦しているから心配なんでしょ」
「うん…」
そうだ、確かにタクヤは始め(魔王が完全復活したら流石の俺でも倒せない)と言っていた事を思い出した。そう、タクヤはハッキリ倒せないと言っていた。
「わりぃポピィン!ちょっとの間変わってくれ!」
「わかったわ」
『テレポート』
「おっ!サンキューエルゼ」
「タ…タクヤ!」
「どうしたんだマミィ顔が真っ赤だぞ?」
「べ…別になんでもないわよ!」
「そうか?じゃあとりあえずエルゼはテレポート準備。マミィはポピィンのサポートはいいから休んどけ」
そう言ってタクヤは目をつむり片手をあげ、
『超配合技:五属性圧縮』
「ほぉ完全に復活する前に倒すんか。面白くないな~」
その間もポピィンちゃんが魔王と戦っている。流石に自分の親と戦うのはポピィンちゃんにとってもつらいだろう。しかしサポートはいらないとはどういうことだ?そう思いポピィンちゃんの戦いを見ていると、無傷で戦っているが何か違和感を感じる。
「よし今だエルゼ!」
『テレポート』
タクヤは魔王の後ろにテレポートした。がすぐに真っ二つにされた。しかしそれは土人形で、その土が魔王の鎧に絡まり少し動きを鈍らせた。そして本物のタクヤはポピィンちゃんの後ろにいて五属性圧縮をポピィンちゃんの剣にまとわせた。しかしポピィンちゃんより魔王の動きが速かった。もうだめだと思ったとき、「お前にしか出来ない事はなんだ!?」と聞こえた。私にしか出来ない事…それは…
『鈍足スキル』
さらに魔王の動きが遅くなった。そしてその瞬間ポピィンちゃんが最高の一撃を放った。
「やったー」
私は思わずガッツポーズをした。しかしすぐに、
「エルゼテレポート!!」
タクヤとポピィンちゃんが移動した。
そして砂埃が舞う中一つの影が見えた…




