魔王復活
「やっぱ土人形だったか。しかし近くに本体がいるのなら意味がないじゃないのか?」
土人形? まさか…タクヤの方を見てみると、そこには土の山しかなかった。そしてその後ろでタクヤが膝をついて地に顔を埋めていた。
「あ…アレが魔力玉?」
そうかポピィンちゃんはまだ見たことないんだ。まぁ私もだけど…でもそれが魔力玉という事は見ただけでも分かる。その玉から放出される魔力が感じられるからだ。そしてその魔力は魔族特有の禍々しさが感じられた。
「これで完全に復活されることが出来るな」
とサルエ言い、片手をだし
『テレポート』
と唱えた。そして出てきたのは少しポピィンちゃんの雰囲気がする人だった。
「お父様!!」
お父様?てことは今出てきたのは前の魔王か。おそらく黒い騎士同様操られているのだろう。しかし、今サルエは魔力玉をタクヤから奪い復活と言った。と言うことは…
「タクヤさん…どうしますか?」
エルゼが少し怯えた表情で聞いてきた。
「魔王が完全復活したら流石の俺でも倒せないから、魔力玉が魔王に馴染むまでの間に速攻で倒すぞ!」
しかしポピィンちゃんは先程の戦いでほぼ魔力を使い切っている。もちろん私も同様だ。ポピィンちゃんは剣で攻撃するからと言って、流石に親に攻撃をするのはきついだろう。となれば、タクヤ一人に任せるしか…
「ほぉ。ではやってみるがよい」
サルエが魔力玉を魔王に入れようとした瞬間、
『テレポート』
振り返るとエルゼがテレポートを唱えていた。しかし、
「あら残念今はテレポート等の召喚系を封じてるの」
カルエが忠告を行った後、魔王に魔力玉が入れられた。瞬間空気を伝わってとんでもない魔力を感じた。これが本当の魔王なのかと怯えた。「大丈夫、落ち着け」とタクヤの声が聞こた。
「見たところ魔法スキルや家事スキルぐらいしか覚えてないが、魔力が無限に使えない今どうやって倒すのだ?」
とサルエはタクヤの冒険の本をみて言った。
「マミィ、脚力増加スキルって使えるか?」
「それぐらいなら大丈夫よ!」
『脚力増加スキル』
「多少素早さ上げただけじゃあ魔王は倒せんぞ」
「それはどうかな?」
「エルゼ!」
「了解」
『テレポート』
タクヤの手元に何かがテレポートされた。そしてタクヤはそのまま突っ込んで行った。ほんの一瞬だったがタクヤが魔王に攻撃を入れた。およそ100回の斬撃を食らわせ。そして私達のところに戻って来て、
「いとつ言い忘れたけど、その冒険の本偽物だから」
と両手に短剣を持って言った。
「なるほどな。しかし双剣スキルは意外だったわい」
とサルエは楽しそうに笑った。
「それじゃあ儂からも一つ。まだ儂は魔王に命令を出してないから攻撃してなかっただけだで。普通だったら斬られてたんやぞ?」
「そんぐらい気づいてたよ」
今、この世界の命運をかけた勝負が始まろうとしていた。




