超圧縮砲
「カルエ!スキルを圧縮出来る魔道具ってあるか?」
「もちろん。すぐに作るわ」
「じゃあマミィはポピィンの治療をよろしくな」
「わかってるわよ!」
そう言って私はポピィンの治療を始めた。
「マミィ、ありがと」
「こんなのどうってこと無いわよ」
私は治療を続けながら、タクヤの戦闘を見ていた。
『配合技:人物制作』
これは、領主との戦いで使っていた技だ。片手で5つの属性スキルを使いつつも、配合技を使うなんて…と何度タクヤの戦闘で思ったのだろう。そういつもタクヤは意味もない行動をしている様に見えるが、ちゃんと考えて動いている。そして世界を救おうとしている。私はいつも見てるだけ…
「マミィだってちゃんと役に立っているのよ」
「私なんか全然だよ…」
「だってあの時マミィが治療くれなかったら私は死んでいたかもしれないのよ」
「そうだよ!マミィがいなかったら魔王軍だって全滅してたかもしれないんだぞ!」
「自信を持ちなさいマミィ」
「う…ありがとう」
ザーン
タクヤの分身が斬られていた。嘘だ…黒い騎士一人でも苦戦したのに…
「カルエまだか!!」
「ええ、出来たわよ!」
しかしカルエからタクヤまで少し距離がある。しかもタクヤはとても集中しているので動く事は難しい…私に何か出来る事は…
「マミィ!脚力増加スキルを!!」
「えっ?」
「いいから早く!!」
「わかったわ」
『脚力増加スキル』
瞬間ポピィンがカルエの魔道具を持って、タクヤのとこへ向かった。少し治療しただけなのでまだ動くだけで痛いはずなのに…
「タクヤっ!!」
「サンキュー。ポピィン」
タクヤは片手の5つの玉を魔道具に入れた。三銃士がもう目の前に迫っていたがタクヤはいつも通りの顔で
『超圧縮砲』
…少し遅れていたらタクヤは殺されていただろう。そんなぎりぎりのタイミングでタクヤは放った。そしてまばゆい光に包まれた。目を開けると三銃士は跡形もなく消えていた。
その後、魔王軍は魔王城の修理に取り掛かった。しかしそこまで被害が出てないのは、タクヤが最後に土スキルで攻撃をガードしてたからだ。さらに領主達もかばっていた。現在領主達も村で普通に暮らしている。そして今私達はポピィンの部屋にいる。あの時無理に動いたので治療に時間がかかったが今は無事だ。
「さてそろそろ行きますか」
「行くってどこに?」
「王国だよ」
するとポピィンが少し恥ずかしそうに、
「あ…あの。私もついて行ってもいいわよ…」
「別にいいです」
「魔王が一緒に行ってもあげるって言ってんだから素直になりなさいよ!」
と言う感じでまた新しい仲間が増えた。そして私達は王国に向かった。
しかしこれが最後の旅になることを三人はまだ知らなかった…




