共同生活
「魔王さんこんにちは~」
タクヤはなんといきなり魔王の部屋に突入した。なるほど初めから魔王と一対一で戦うつもりだったのか。それならタクヤでも勝てる可能性が…あるのだろうか?そもそも魔王とはどんな人物なのかと思って部屋を見渡すと、
「なんだお前達!私の部屋にに勝手に入って来て!あっ!壁まで壊したな!!フンだ!お父さんに言いつけてやるもんね!あやまったって遅いからね!」
そこには幼い少女がいた。これはどうゆうことなのかと思いカルエの方を見てみるが、カルエも私と同じく分からないそうだ。これはもしかして部屋を間違えてしまったのではないかと思い、
「ねえぇタクヤ。部屋間違えたんじゃないの?」
「いいや合ってるよ。今はこいつが魔王だよ。ねぇ?」
「一応代理だもん!お父さんが帰ってくるまで代わりにやってるだけだからね!」
「この子が魔王!?嘘でしょ!?そもそもなんでタクヤがそんな事…」
「あぁ?領主の屋敷に潜入した時に見つけたんだよ」
「えっ!私知らないわよ。そんなものいつ見つけたのよ」
「カルエを助ける前だよ?」
どうやらカルエもこのことを知らなかったらしい。
「おい!私に用があるんじゃないのか!勝手にそっちだけで話すな!」
「あぁわりぃ。」
「もしかしてお前ら私を倒しに来たんじゃ…」
「いやいや、全然」
「「「えっ!?」」」
三人の声が見事にかぶった。
「何お前らまで驚いてんだよ。俺が魔王を倒すなんて言ったか?」
確かにタクヤはそんな事一度も言ってない。それならタクヤはなおさら何しにここへ?
「なるほど。ほんとタクヤって面白い人ね」
どうやらカルエはわかったらしい。
「マミィは鈍いな。この中で一番付き合いが長いのに」
「だ~か~ら~。私をのけものにするなー!!」
その瞬間とんでもない魔力と殺気が部屋を満たした私はすぐ戦闘態勢に入ったが、タクヤは魔王に近づいて行った。そしてすぐ魔王も攻撃態勢に出たが、
「人間との共同生活だろ?お前の夢は」
魔王は驚愕の表情を浮かべたが、すぐに顔が赤くなって、
「な…なぜそれをお前が…」
「だってちょっと考えたら分かるだろ?そもそもこの近くに村が沢山あるが、お前ら魔王軍に攻撃されたことなんて全くない。しかも何人も魔王軍がさらわれてんのは、共同生活の件で国に向かわされた奴らだけだ。そんなことを繰り返されたら普通は国に戦争でも仕掛けるぜ。普通ならな。ただお前はそうはしなかったんだろ?」
魔王はコクリとうなずいた。
「しかしお前だけが我慢しても下の奴らはもう我慢の限界なんだろ?だから俺たちがなんとかしてあげようということでここに来たんだけど、助けって必要?」
「う…うん。ありがとう!」
魔王はタクヤに抱き着き泣いていた。
横で「羨ましい」と聞こえたが、聞かなかったことにしよう。




