2.ヒロイン登場
しばらく歩いていると、山小屋が見えてきた。
山小屋は、少々古いものの煙突から煙が出ているところをみると誰かいるのだろう。正直、まだどう進んでいいのかもわからないベルクにとって、現状唯一の指針だ。なにか聞かれたら記憶喪失ということでゴリ押せばいい。
「すいませーん、誰がいませんかー?」
ベルクがそう言いながら、返事も聞かずに山小屋の扉を開けると、そこには少女がいた。少女は150センチ位の身長で、さらっさらな青いセミロングの髪、ぱっちりくりくりとした大きな琥珀色の瞳、そして慎ましやかながら確かに自己主張をする胸を支えるブラジャーに、ちょっぴりだけ大人になりだしたささやかなくびれ………そう少女は着替え中であった。
「えっ!?」
「すみませんでした!!!!」
相手が正常な判断をする前に、ベルクは扉を閉めた。すぐに閉めれば見てないと言い張れると信じつつ、脳裏にはしっかりと焼き付ける。
「………いいですよ」
少しの後、着替えが終わったのだろう。山小屋から少女の声がした。ベルクは改めて山小屋の中に入る。
「さっきはごめんなさい!」
「………みた?」
開幕一番先手必勝とばかりにベルクは謝るが、少女の目は冷やかだ。これはまずい、ここでうまく友好関係を築けなければもはや詰みだ。
「ち………ちょっとだけ見ました!!あざっす!!」
ベルクという男は、誤魔化さず正々堂々と言い、平手打ちの一、二発貰うつもりでいた。
しかし、とんできたのはグーパン一発。ベルクは気絶した。
次回から話が少しずつ動きます。実質、ここまでがプロローグ