1.はじまり……?
青い空、見渡す限りの草原………というのを期待していたが、全く違い、曇り空、今にも噴火しそうな山が近くにある荒野が広がっていた。
「雰囲気あるなー…」
直哉の周りの感覚が、自室にいるときのものではなく、今見えているものに近い感じがする。どうやらあのコントローラーで再現出来ているようだ。すごい。
「そうそう、操作とか装備とかは……」
体はまぁ思い通り動くようだ。むしろいつもより軽い、15歳くらいの身長になっている気がするから、これは後で確かめよう。しかし、メニュー周りの出し方がわからない。しいていえば、名前として「ベルク」というのが浮かんだくらいだ。情報が全然ないなぁ。装備? 外套と気休め程度のひのきのぼうがあるくらいだ。
「……チュートリアル終わるまでメニュー使えないタイプかな?」
そんなことを考えながら直哉は不安をぽつりともらす。
しかし多少の不安はあるものの、もはややるしかない。そもそも開発途中で凍結していたゲームだしな、まだこの辺り作り込めてなかったんだろう。直哉……いや、ベルクはひとまず山の方に向かってみることにした。これだけぱっと見、目立つのだ、何らかのイベントがあるに違いない。
ゲームはまだ始まったばかりだ