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輝けるもの(上)   作者: 長谷川るり
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第13章 決断

13.決断


 関東全域梅雨の真っ只中で、毎日毎日曇りと雨の連続で すっきりしない天気が続いていた。そしてその空模様と同じ様に 沙希の心もジメジメとして、一日として晴れ渡る事はなかった。そして とうとう7月の暦がめくられた。

 7月1日。この日はサロンラヴィールに加賀美チーフが復帰して来る日だった。一週間後に控えた気の重い大地との再会の日の事を 一旦忘れ、もう来てるかなという期待を胸に サロンの玄関を入ってみるが、まだ姿は見えなかった。そわそわする気持ちで制服に着替え、掃除に掛かろうと雑巾を取りに行くところを青山に呼び止められた。

「悪いんだけど、これポストに出して来てもらえないかしら?」

封筒の束を手渡される。

「この間ミーティングで話した夏のコースのご案内なんだけど、チラシが刷り上がってきたのが遅くって、お客様への発送も遅れちゃったのよ。だから 朝からおつかいなんて悪いんだけど、急いでるから」

「だったら郵便局まで行ってきましょうか?どうせ5分位ですし・・・少しでも早いかもしれませんよね」

何かを任されたり頼られると 途端に前向きに力を発揮する沙希は、ゴムで束ねられた手いっぱいの封筒を抱えて 小走りに郵便局を目指した。郵便局は、サロンから駅の方へ向かった所の交差点を曲がるとすぐ見える。さほど遠くない距離を沙希は走った。少しでも早くポストへ・・・そんな気持ちもあったが、それだけではなかった。きっとサロンへ戻った頃には、チーフが出勤しているに違いない。そう思うと 早くチーフの顔が見たくて、自然と駆け足になるのだった。交差点に辿り着き、信号待ちの人波をかき分けて 先頭へ出る。一点に信号機だけを見つめ、じりじりした気持ちで 赤いランプが青に変わるのを待った。車両用の信号が黄色に移り、あともう少しだと はやる気持ちと同時に片足が一歩先に出る。その時、前方の信号へ目をやろうとしたその瞬間、見覚えのある顔が ふと視界に飛び込んでくる。確かめる様に 向かい側の信号待ちの人だかりに視線を投げると、最前列に立つスーツ姿の男に焦点が合う。その周りにいる大勢よりも 頭一つ分飛び出していて、すぐに分かった。まさかという思いで 目を疑った。悪しくも、相手も沙希に気が付いた様子で、みるみるうちに沙希の体は硬直し、頭の中も真っ白になっていった。自分がこれから郵便局に行く事も、チーフに久々に会える事も 全てが吹っ飛んでしまった。青葉をあの夜 公園で怒鳴りつけ 醜い捨て台詞を叩きつけてから、毎日偶然がない事を祈り続けた。しかし その偶然がこんなにも早くやって来てしまうなんて、神様のいたずらとしか 沙希には思えなかった。知らず知らずのうちに俯いていた沙希の耳に突然聞こえてきたのは、歩行者用の信号が青になった事を知らせるメロディーだった。その音に呼び覚まされ、既に渡り始めた人波に 一歩遅れを取りながら歩き出す。そして恐る恐る顔を上げると、真正面に居た筈の青葉の姿はなく、横断歩道の上は多くの人でごった返していた。反射的に 沙希はキョロキョロと辺りを見回し 青葉を探したが、その人影はどこにも見当たらなかった。まるで さっき自分が見た光景が 幻想だった様にさえ思える程、一瞬の内に影も形もなくなっていた。いくら人の波にのまれたとはいえ・・・。そして沙希はもう一度振り返った。しかしそこには、再び歩行者用の信号機が赤く点灯し、車が左右に往来している いつもと何ら変わりない風景があるだけだった。沙希は また我に返り、封筒を握りしめると 郵便局へ向かって走り出した。もしあの時振り返って 青葉を見付けたところで、きっと自分は何もしなかったに違いない。追いかけていって、声を掛けて、顔を合わせ、謝罪の言葉でも並べる勇気などなかった筈である。あの時 横断歩道に挟まれて 目が合った後、すぐに姿を消したのは、私が『二度と現れないで』と言ったせいではなく、青葉自身も 私に会いたくなかったのだろう。きっと・・・いや 確実に私に対し腹を立てているに違いなく、“とんでもない女”として語り草にでもなっていく事だろう。梅雨の合間の珍しく晴れた日で、久し振りに照りつける太陽を仰ぎ見ながら 沙希は考えていた。いや、現実に彼はさっき こんな所に実在しなかったのかもしれない。このところの神経質な自分が作り上げた幻影だったのかもしれないと。帰り道、同じ信号待ちをしながら 沙希はぼんやりとそんな事を思っていた。

挿絵(By みてみん)


 サロンに戻ると 9時を回っていて、皆いつもの様に掃除をしたり カルテを出したり 蒸しタオルの準備をしたりと 見慣れた光景がそこにはあった。そして その中に一人、懐かしい顔の加賀美が7ヶ月前と同じ制服を着て その中に混じっていた。沙希は嬉しさのあまり 駆け寄って挨拶をすると、元気そうに微笑む加賀美が 深々とお辞儀をした。

「ご迷惑お掛けしました。また、宜しくお願い致します」

年末の頃の顔色の悪い やつれた加賀美の面影は もうどこにもなく、ただ少し痩せた様に見えた。もともとすらりとした印象のチーフだったが、短く切られた髪型のせいか 顔がひと回り小さくなった様に見受けられた。もっともっと沢山声を掛けたくて、何でもいいから話がしたいと思いながらも、沙希の口は思う様に動かず 気持ちばかりが一人で空回りをし、ただただ加賀美を見つめるだけだった。そんな思いが伝わったのか、加賀美の方が口を開いた。

「河野さんには色々、本当に大変な思いをさせちゃったみたいで・・・。私もまだ毎日って訳にはいかないけど、ここに来た日は 今までの分も精一杯させてもらうから、また色々助けてね。それに ここ7ヶ月間の事は 河野さんに少しずつ教わっていかなくちゃ。宜しくお願いします」

ワクワクした気持ちのまま7月の第一日がスタートした。


 しかし、家に帰り着いて 日常に引き戻されると、やはり心は憂鬱なまま 変わってはいなかった。変わるどころか、7日までのカウントダウンが迫り来る音が 沙希には聞こえる様で、出来るものなら逃げ出してしまいたかった。あれだけ待ちに待った 大地とやっと会える日だというのに、こんな気持ちで その日を迎えなくてはいけない自分の愚かさに、ほとほと愛想を尽かしているのだった。一週間も二週間も 一体何を考えていたのかと聞かれれば、きっと答えに困ってしまうだろう。沙希の頭の中の想いは たった一つ、大地に何て話をしよう・・・ただそれだけだったのだ。自分のした事は、遠距離から生まれた淋しさを埋める為に ふらっと他の人と浮気をしてしまったという事。ただそれだけの単純な事で、世間では決して珍しい話じゃない。それはそれとして、やっぱり自分は大地が好きなわけで、また今まで通りに続けていけばいいんじゃないか。・・・そんな虫の良い思いつきを 沙希は真剣に考えていた。確かに大地を裏切ってしまったけれど、その後に溢れてきた涙は やはり本物だったし、いつ誰と居ても やはり心の隅には大地が住んでいた。・・・そんな自分勝手で 都合の良い言い訳を思うと、自然と7日に向けて心が軽くなった。段々とそういう生き方もあるんじゃないかと思えてくる様にもなり、そんなに人は真っ直ぐに真っ白にばっかり生きられない等と 自分に言い聞かせていた。そんな気持ちにほぼ心が固まりかけたその晩、やっと少し眠りにつく事ができた。そして数時間後には7日の朝日が元気よく東の空に昇った。

挿絵(By みてみん)


 夜の7時頃 成田に到着する便に乗って来る大地を迎える為に、沙希はこの日サロンを早退し 横浜のYCATから成田空港へのリムジンバスに揺られた。ここ数日 梅雨の中休みで、じっとりとした本格的な夏を思わせる陽気が続いていた。高速のバスからは赤々と燃える夕日が 西の空に傾いていた。今頃は天の川が夏の空に現れ、ベガとアルタイルが一年振りに無事会えそうな事を 遠い目で考えていた。

そんな中沙希はふと 約一年前 大地がメキシコへ発つ日、見送りに行く為に一緒にこのバスに乗った事を思い出す。あれからたった11ヶ月しか月日は流れていないのに、あの時には想像もしていなかった未来が 今ここに展開されている現実に、沙希は何とも言い難い複雑な思いを抱いていた。あの日あの時 バスの中で 隣に座る大地の手を握りしめた瞬間と同じ気持ちに戻れたら、どんなにいいだろうと思った。あの日と同じ視線で彼を見つめ、同じ笑顔で再会できるか否か。空港に近付くに連れ、沙希の心は大きく揺れ始めた。

早目に到着した沙希は、まず出発ロビーの自動ドアを入る。気を静めようと、とにかく あちこち歩き回った。南ウィングからショッピングアーケードを抜け 北ウィングへ。そして又南ウィングへと戻ってきた。一足早い夏休みを楽しもうという人や、この鬱陶しい梅雨の日本から避難する為か、夕刻にも関わらず 空港内は華やかな洋服に身を包み、浮足立つ旅行者の笑顔が目に付いた。すると、チケットを片手に持ったスーツを着た20代半ばの男性と それを見送りに来たらしい小柄な女性のカップルが目に留まる。彼の胸に 思い余って泣きつく彼女。その彼女の頭を愛おしそうに撫でながら、彼が何かを囁いていた。そんな光景を遠目に見守りながら、一年前の自分達とだぶってくる。あの時自分も ああやって素直に泣きつく勇気があれば、こんな事にはなっていなかったのかもしれない。しかし沙希は その時、大地の言葉を思い出す。

『何も言わずに気持ち良く送り出してくれた事、本当に感謝してるよ』

自分のあの時の選択は 間違っていなかったのかもしれない。そんな2つの天秤が、不安定にゆらゆら揺れていた。


どうにかして自分を落ち着かせ様と、カフェインの力を借りるべく 缶コーヒーを購入してラウンジに下りる。一面のガラス窓から見える滑走路と待機中の飛行機達。そして準備を整え 様々な思いを乗せたジャンボが一機 徐行の速度を上げ、長い滑走の後 一気に空を目指して飛び立った。ぼんやりとその光景を目で追うと、視線の先には一番星が煌々と まだ暗くなり始めたばかりの空に瞬いていた。

去年大地から初めてメキシコ行きを打ち明けられた日の事、そして出発まで共に過ごした時間、そして この空港で 歯を食いしばって大地の背中を見送った事などが、まるで昨日の事の様に思い出される。また 別々の生活を 絵葉書とたまにかかってくる電話の声を頼りに 必死に進んできた日々。色々なエピソードがその時の感情と共に甦ってくる。去年の8月、ここで大地と別れた時は まさかこんなに早く こうやって成田に迎えに来るなどとは想像もしていなかった。たかが一日でも、いや一時間でも再会できると初めから分かっていれば、自分はもう少し気丈に頑張れたのではないか・・・。そんな自分のした事の責任転嫁をしようとする自分を、沙希は汚いと思った。大地が好きになってくれた自分は こんなずるい自分じゃない。母が私を産んでくれた時、こんな人になって欲しいと願った筈はない。何年か前“びいどろ”を辞める時にママは 私にはなむけの言葉として『その笑顔とひたむきさを忘れないで』と言ってくれた。あの時の私はどこへ行ってしまったのだろう。私は変わってしまったんだろうか。

挿絵(By みてみん)

そんな事をずーっと ぼんやりと考えているうちに、あっとういう間に時間は経ち、慌てて沙希は腕時計を確認した。そろそろ到着する時間が近付いていて、沙希はコーヒーを飲みきると 空き缶をゴミ箱に捨てた。そして到着ゲートへと移動した。ゲートには、出迎えに来た人達が大勢 今か今かと待ち受けていて、その熱気か それとも今日の気温か分からない程湿度が高く、ムッとした暑さが立ち込めていた。その人混みから少し離れた端の方で、沙希は大地を待った。久し振りの日本の地に足を付ける大地は、どんな気持ちでいるのだろう。飛行機の中から 日本列島を見たのだろうか。横浜、東京と 見慣れた景色を 空からどんな思いで眺めたのだろうか。そして いよいよ成田空港に着陸した時、一番に考えたのは誰の事だろう。明日に結婚を控えたお姉さんの事か、それとも北海道の両親の事か、それとも・・・自分の事なのか。『話がある』と言ったきり そのまま内容を明かされず、どんな思いで日本に降り立つのだろうか。あんな思わせぶりな台詞を残され、きっと大地はその事を気に掛けているに違いない。その時沙希の待つゲートの前方から、ちらほら人が見え始める。出迎えの人達がにわかに動き出し、ざわざわと落ち着きを欠いてきた。そのうちに ゲートからは、大勢の乗客が流れ出してくる。そこで待ち受けていた人達も 一人二人と再会を果たし、それぞれに色々なドラマが展開されていた。いつの間にか沙希も身を乗り出していて、大地を一時も早く見つけ出そうと必死になっていた。すると、突然沙希の前に誰か立ちはだかり 視界が真っ暗になり、驚いているのも束の間、今度は沙希の頭に 誰かの手が落ちてきた。驚いて目をつぶる沙希に、懐かしい声が呼びかける。

「どこ見てんだよ」

目を開けると、そこには黒く日焼けして 髭を生やした大地が 沙希の頭に手を乗せていた。一生懸命 目を皿の様にして探していた筈なのに、いつの間に・・・という思いで、口を開けたまま 呆気にとられている沙希に 大地は明るい笑顔で言った。

「ただいま」

胸の奥がキュンとなり、目頭に熱いものが込み上げてくるのを 沙希は慌てて押し殺す様にして言った。

「あれ?いつの間に?私、ずっと探してたのにぃ~」

「相変わらずとろいなぁ」

大地に笑われながら、歩き出す大きな背中について行く沙希。ジーパンにTシャツという何も昔と変わりない大地だったが、どことなく頼もしく大きく見えた。

「お前さ、『おかえり』くらい言ってくれよ~」

そんな事すら忘れてしまう程 沙希の心は平静さを欠いていて、同時に『話がある』と言った後の あの電話での大地の態度はどこにもない事に安堵していた。

「先にホテルに荷物置いてきていいかなぁ。それから飯食いに行こうよ」

その一言で、二人はタクシー乗り場の列に並んだ。タクシーで5分も走らないうちに着いたビジネスホテルのフロントで 大地が部屋のキーを受け取ると、荷物の置いてある沙希の元に戻ってくる。そこで沙希は、大地が何か言い出す前にと 口を開いた。

「私、ここで待ってるね」

あっさりと返事をすると、大地は荷物を担いでエレベーターに乗り込んだ。


 大地の為に沙希が探しておいたという空港近くの寿司屋ののれんを 二人はくぐった。白木のカウンターには、やはり場所柄のせいか 外国人連れの客でいっぱいで、二人ははっぴを着た店員に お座敷に通された。大地は靴を脱いであぐらをかき、出されたおしぼりを顔に乗せ、ほっと一息ついた。

「あ~やっと着いたな、日本に。やっぱ遠いなぁ」

おしぼりで手を拭きながら喋る大地を 沙希は笑顔で見つめていた。大地の一挙手一投足全てが懐かしく 見覚えのある仕草で、沙希にはそれが嬉しくて堪らなかった。大地の言葉に何の相槌もなく、ただニコニコしている沙希を 不思議そうな顔で窺う。

「どうした?」

「目の前にいるのが・・・なんか・・・嘘みたい」

同感といった様子で頷く大地。そこにさっきの店員が注文を取りに来る。冷酒と刺身の盛り合わせが運ばれてきたところで 二人は乾杯を交わすと、沙希が聞いた。

「むこうでは、毎日どう?楽しい?」

「毎日忙しいよ。俺って根っからの貧乏性なんだろうな。じっとしていられないんだよ。毎日夕方からの仕事の他に・・・ほら、この間もちらっと話したけど、ストリートライブに出たりして。他にもけっこう ちょこちょこ出掛けたりしてんだ。休みの日にはさ、色んな市場を覗いてみたり、景色のいい所探しに行ったり・・・この間は遺跡観に行ったんだ。あっちはさ、マヤ文明の歴史があるから 日本とは全然違ってて 凄く新鮮だし。遺跡って 見れば見る程 ほんと神秘っていうか・・・凄いパワーを感じるんだよなぁ」

目を輝かせながら話す大地のその表情で、沙希は言葉以上のものを見た気がした。そして大地はポケットからマルボロとジッポーを取り出し、テーブルに無造作に置いた。もちろんジッポーは 沙希がプレゼントした物で、メキシコにいる間中愛用していた様子が ジッポーの表面の年季の入り方から窺い知る事が出来た。ホテルで買ったばかりのマルボロから一本取り出し、火を点ける。

「沙希はどうなの?仕事とか・・・順調?」

まず一口目の煙草をゆっくり吸って 大きく吐き出すところも、昔と何も変わってはいなかった。そして 火を点け終えた後も、右の掌の中でジッポーをもてあそんでいる その癖も相変わらずだった。この人はいつもこうして 私を近くに感じてくれていたのかなと考えながら、沙希は答えた。

「12月にね、チーフのお父さんが入院して、それ以来ずっとチーフお休みしてたの。7月から又復帰してきたんだけど、それまでの間 代わりに入ってきた人が キャリアもあって 凄くバリバリやるタイプで・・・自分にも人にも厳しい人なんだ。なかなか・・・馴染めなくてね。でももう最近は平気なの。慣れたっていうか・・・。店長も私の事、良く分かってくれてるし」

何故そんなに格好つける必要があるのだろうと 内心疑問を持ちながら、どうしても沙希は強がってしまうのだった。しかし その本心を探るべく 大地が心配そうに顔を歪めるが、沙希がそれ以上何も言い出さないので、一言だけ付け加えた。

「俺、メキシコ行って分かったんだ。周りがどんな人だろうと、自分は自分らしく精一杯真面目に頑張ればいいんだって。そうしたら、遅かれ早かれ 必ず結果はついて来るって思うんだ。沙希は沙希らしく。それで充分なんだから。俺は沙希に 沙希らしく生きて欲しい。きっと店長さんだって それを望んでくれてると思うよ」

以前青山に言われた事と同じで 少々驚きながら、沙希は思い切って質問した。

「私らしさって・・・何かなぁ」

日本酒を一口飲んでから、大地は幸せそうな顔で言った。

「純粋なところ。純粋だからこそ 色んな事に敏感に反応したり傷付いたりして、人一倍苦しむんだと思うよ。それから・・・」

もう一口酒を飲んでから、大地が言った。

「正直で嘘のつけないところかな」

その言葉は、今の沙希の心を掴んで離さなかった。

「私、全然 純粋なんかじゃないよ・・・」

蚊の鳴く様な声で呟くと、酒を一口で飲み干した。そんな目の前の沙希に、明るく笑いながら大地が言った。

「俺の知ってる沙希は、充分純粋なヤツだよ。自分に自信の無いのが 玉に傷だけどな」

そんな冗談にも笑わない沙希。

「もし私のそんな部分を好きになってくれたんだとしたら・・・、私が純粋じゃなくなったら・・・嫌いになる?」

「沙希・・・間違ってるよ」

大地の顔から笑顔は消えていたが、顔つきは優しいままだった。

「人の長所と短所なんて 紙一重って言うだろ?その人の長所だって 度を越せば短所だし、短所だって活かし方によっては長所になるんだ。例えば、俺達結婚したとするだろ?」

「結婚?!」

思わず敏感に反応する沙希に対して、大地も思わず 敏感になる。

「いや、だから・・・もし・・・もしだよ。もし・・・結婚するとしたって、相手の良い所とそうでない所とひっくるめて その人全部を受け入れたいって思えるから、一緒になるんだと思う」

黙って そのまま何かを考え込んでいるところに、注文した握り寿司が運ばれてくる。すると大地は 早速箸を取り、嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。

「うお~!寿司なんて久々だなぁ。元々日本にいた時だって食ってなかったんだから、何年振りだろうな。感激するよ」

そして真っ先にトロに手を伸ばす。口いっぱいに頬張ると、感無量といった様子で その表情だけで充分美味しさが伝わった。

「ほら、お前も食えよ。旨いぞ~。沙希はイクラ食いたかったんだろ?」

そう言って、イクラの軍艦巻きを沙希の前に差し出す。気を取り直して、言われるがままに そのイクラを口へ運ぶと、さっきの大地と同じ顔になる。

「女の子の機嫌取りたかったら 美味しい物食べさせればいいって言うけど、心得てるね」

「そうなの?初めて聞いた。でも、沙希には当てはまりそうだな。ま、どんな理由にせよ、沙希のその笑顔見られたから、俺も帰って来た甲斐があったよ」

二人で寿司をぺろりと平らげ、脇に乗ってきたガリまでも綺麗に食べ尽くすと、大地が腕時計を見た。そして大地が何か言おうとした時、一歩早く沙希が喋り出した。

「その時計、してくれてるんだ・・・」

以前に沙希が一目で気に入ってプレゼントしたアンティーク調の腕時計が、大地の左腕に 大事そうに巻かれていた。

「これさ、ほら ここをこうやって合わせておくとさ、メキシコ時間と日本時間がすぐ分かるんだ。だから すっごく重宝してる。いっつもさ、この時計見ながら 今頃沙希何してんのかなぁ・・・とか考えてんだ。もうこれ無しでは 俺は生きていけないね」

大袈裟な言い方に、自分で笑ってみせる大地。そして、さっき大地が言おうとした言葉が、やっと口から出る番がやってくる。

「お前、今日どうすんの?帰るなら・・・そろそろこっち出ないと電車なくなっちゃうだろ?それとも・・・」

そこまで言いかけて、大地が思い出した様に付け足した。

「あっ、そういえばこの間、話があるって言ってたな。・・・どうした?」

“とうとうこの時が来た”という思いが胸いっぱいに広がり、恐る恐る大地の顔を見ると、大地もまた 少々緊張気味な面持ちで 沙希の反応を待っていた。しばし沈黙が流れた後、沙希がその空間を破った。

「いいの、いいの・・・もう」

それにしては『いい』顔をしていない沙希に、大地は煙草とジッポーをポケットにしまいながら言った。

「場所変えるか?」

藍染ののれんをかき分け表に出ると、大地は伸びをした。

「あ~旨かった。久々に寿司腹いっぱい食ったよ」


 当てどもなく歩き始めた大地の腕に、沙希は手を伸ばそうとして思い留まった。というより、それ以上沙希は手を差し出す事が出来ず、大地に触れてしまうのも怖かったのだ。止むなく出した手を下ろした時、空を仰ぎ見ていた大地が言った。

「今日は晴れてるから、織姫と彦星も会えただろうな。きっと望遠鏡で見たら、天の川も綺麗なんだろうな」

沙希も、大地の横に並んで歩きながら答えた。

「私ね、大地がメキシコ行ってすぐ、天体望遠鏡買ったの。誕生日にプレゼントしてくれた星 見てみたいって思って」

「そっか・・・」

沙希の顔を振り返り いつもの温かい笑顔を送ると、また空を見上げた。そんな屈託のない大地に比べ、何かを必死で取り繕おうとしている自分を 沙希はますます嫌になってしまいそうだった。沙希が自分の中で葛藤を続けていると、突然大地が言葉を吐いた。

「俺も、話があるんだ」

その一言に 沙希の心臓は音を立てて脈打ち始め、一瞬にして周りの景色など目に映らなくなった。

「何・・・?」

「俺は後でいいよ。沙希だって、本当は話があるんだろ?」

「私なんか・・・。それより大地の話って・・・?」

聞きたい様な、聞きたくない様な複雑な気持ちが交錯する。大地が口を開くまでの間が、沙希にとっては とてつもなく長く感じられ、それがかえって緊張を助長させた。そしてようやく大地が、心を決めた様に話しだす。

「俺・・・沙希・・・以外の人と・・・キスした。ごめん・・・」

沙希の頭の中で、何かが割れた様な音が弾ける。全く予期せぬ言葉に、沙希は自分の感情をどう扱っていいのか分からなかった。

「好きな人・・・出来たんだ?」

「そうじゃない・・・」

「じゃ・・・」

沙希の頭の中で、次々と疑問や 物分かりの良い言葉が 浮かんでは消えていった。すると大地が、ゆっくりと話し始めた。

「俺の事を気に入ってくれた子がいて・・・その子はルームメイトの・・・妹だったんだけど、たまたま遊びに来てて 帰りが夜になったから、家の前まで送ってったんだ。その時・・・帰り際に・・・突然むこうから・・・キスされた。・・・ごめん」

大地の話から 勝手に想像を膨らませた沙希は、どうにも治まらない気持ちの中でもがいていた。追求したい思いや、責め立てたい気持ちは 山の様にあるのに、沙希の中の後ろめたさが それに歯止めをかけた。

「軽蔑した?」

沙希は首を横に振りながら、軽蔑されるのは自分の方だと思った。あまりに何も聞いてこない沙希に、大地の方が催促する。

「言いたい事あったら 言っていいんだよ」

しかし沙希はただ、首を横に振るだけだった。

「ほら!じゃ、沙希の番。もういいって、いい訳ないだろ?電話じゃ かなり深刻な声してたくせに。気にしないで早く言ってみろよ」

「ほんと、いいんだってば」

「好きな人でも出来たか?」

さっきから一度も沙希の方を向かないまま、大地が言った。

「違うよ。そんなんじゃない」

少し声が裏返りそうになる。

「どうして?」

変に慌てて余計な事を喋りそうになる自分を落ち着け、反対に大地に質問をした。すると大地はようやく一回、沙希の顔を見て笑いながら答えた。

「沙希が話があるっていう時は、別れ話だからな」

確かに二年前 初めて大地に別れ話を切り出した時も、突然電話で『話がある』と言った。今回もあの電話の後、大地がそんな予感を胸に抱きつつ 今の今まで平然としていた事を思うと、胸が痛み 言葉をなくした。その時、沙希は初めて気が付いた。大地の話は、自分が切り出しやすい様にとの心配りだったのではないだろうかと・・・。

「沙希、疲れた顔してるな」

悲しい気持ちから立ち直れないまま、大地の声に耳を傾ける。

「空港で会った時から思ってたんだ。最初は、仕事が忙しいのかなと思ってたけど、その原因は俺だったんだな」

何故突然そんな事を言い出すのか、沙希には見当もつかなかった。何とはなしに歩いてきた二人は、いつの間にか 成田空港の滑走路が見える場所に行き着いた。そこには、一日大空を飛び くたくたな体を休める飛行機の姿がいくつもあり、普段は見られない光景が広がっていた。夜の静まり返った滑走路を眺めながら、二人の間に暫く会話は無かった。

「そんなに疲れた顔してる?」

「すっごくしてる」

『ここ最近寝不足が続いたからかな』と おちゃらけて見せる言葉が喉元まで出かかったが、沙希はそれを飲み込んで そして言った。

「正直ね、大地から前 仕事の帰り道で事件があったって聞いてから、ちょっと神経質になっちゃったところがあって・・・。あの後心配で、朝とか何回か電話したんだけど・・・繋がらなくって・・・。丁度タイミングが悪かったのかな」

沙希は、当時の思い詰めた自分をカムフラージュする様に笑った。

「ごめん・・・」

謝る大地に 再び笑って首を横に振った。

「ううん、いいの。私、大地がストリートライブやってるなんて知らなかったから。昼間はずっとお家に居るもんだって思い込んでて・・・」

再び、音の無い時間が流れ行く。フェンスに寄り掛かる大地。そして その大地が何を考え、一体次にどんな言葉を発するのか、怯えた様子で その時を待つ沙希。すると大地がポケットからジッポーを出し、いつもの様に右手でもて遊ぶ。そして口を開いた。

「沙希には、今のこの関係・・・もう限界なんじゃないか?」

その言葉の奥には どんな真意が隠されているのか、沙希は怖くて その箱の蓋を開けられずに立ち往生していた。

「沙希の話って、そういう事だったんじゃないのか?」

依然として返事のない沙希を気遣い、大地はゆっくりと話を始めた。

「沙希に 他に好きな人が出来たんじゃないって聞いて、じゃ話って こういう事かなって思った。久々に沙希の顔見て、分かったんだ。この一年間、俺に『頑張れ』って励まし続けてきてくれたけど、沙希にはこの関係が辛くて苦しくてどうしようもないんだなって。今帰って来られて良かったよ。このまま何年もしてたら、沙希は潰れちゃってたかもしれないもんな」

そこで大地が思わず『しまった!』と言わんばかりの顔をする。そんな大地の顔を覗き込む様に眺める沙希。

「俺前は・・・メキシコ行く前は・・・沙希には俺がついてなくちゃダメなんだって思ってたんだ。だけど、それはただの俺の自惚れにしか過ぎなくて、かえって沙希の可能性を潰してきた事に、むこうに行って気が付いたんだ。沙希は感受性が強いから、つい色んな言葉に左右されたり 辛い思いも人一倍するかもしれないけど、本当は一人でもしっかりやっていける強い人間なんだと思う。俺がそれを信じてやらないで、誰が信じてやれるんだって」

沙希は力無く首を振った。すると大地が 沙希の前に向かい合った。

「お前は俺の事、信じられるか?」

「うん」

「じゃ、俺の言う事も信じてみろ」

再び 首をうなだれる沙希。

「俺は・・・まだ・・・帰ってきてやれないんだよ・・・。ごめん・・・」

二人の間に架けられていたロープから 今にも手を離さんばかりの大地を、沙希はただ黙って見ているしか出来なかった。本当に今 大地に手を離されたら、自分は糸の切れた凧の様に きっとなってしまう事も、目に見えていた。しかし、縋りついて泣きじゃくって、どうか一人にしないでとしがみつこうとする気持ちにブレーキがかかる。純粋そうな仮面を被った 実は腹黒い自分に、そんな事をする資格はないと もがく手足を縛りつけた。

「ごめんね・・・。嫌な事、いっぱい言わせちゃったみたい・・・」

いつもの『気にするな』と語りかける目で、大地は微笑んだ。しかし沙希は、自分の言葉に後悔していた。まるで大地からの別れ話に 快諾するかの様な口ぶり。でも、それなら 何と言っていれば良かったのか、沙希には思い浮かぶだけの余裕はなかった。これだけこだわってきた筈の大地との仲も、今日で本当に最後だというのに、沙希は不思議にも涙の一つも出て来なかった。二人はそれから暫くの間、フェンス越しに見える夜の空港の明かりを ただ黙って眺めていた。そして どれ程の時が流れたか、二人共見当がつかないまま、夢と現実の狭間にいるふわふわとした空間から、大地の一言で意識を戻す。

「5年後、お前いくつだ?」

「・・・27・・・8になってるかな」

「俺は、30か・・・31・・・か・・・」

一息ついてから、大地が言った。

「5年後・・・10年後でもいいや、お互い笑って会えたらいいな」

まるで あっさりと言葉にしてみせる大地だったが、沙希にはとても重く聞こえた。

「お前は、仕事バリバリやってるかもしれないし・・・・・・結婚して・・・お母さんになってるかもしれないしな」

目の奥で とてつもなく悲しい表情をする大地を、沙希は見てはいなかった。

「結婚なんて・・・。大地こそ・・・そうなってるかもしれないね」

精一杯強がって言った後、大地の顔色を窺った。

「そうだな。してるかもな。・・・5年経っても一丁前になれなくて、くすぶったまま一人でフラフラしてるかもしれないし・・・」

不吉な冗談を言って笑う大地。

「ま、そうならない様に頑張るよ。5年10年経ったらさ、今の事も 一昔前の思い出話として話せる様になるよ、きっと。沙希だって・・・結婚して子供でも生まれてたら、俺の事なんかすっかり忘れちゃうんだろうからな」

明るい声で大地が言うと、沙希が強く反論する。

「忘れないよ。そんな簡単に・・・忘れないよ」

「沙希が淋しくて辛くて苦しんでたって帰って来ない奴の事なんか・・・早く忘れちゃえよ」

沙希はぐっと奥歯を噛みしめながら、大地のTシャツの裾を握りしめた。もうこれからは話をする事もないと思うと、沙希はなんだかいっぱい喋り忘れた事がある様な気がしてならなかった。そして、もうこれからは 顔を合わせる事もないと思うと、もっともっと沢山大地の色々な表情を 目に焼き付けておけば良かったと後悔すると同時に、もっと笑顔をあげておけば良かったと 戻らない時間を悔やんだ。そしてもう触れる事のない大地の手の感触を、最後にもう一度覚えておきたかったが、手を伸ばすには 目には見えない距離がありすぎた。未練がましく想いを巡らす沙希に対し、大地の態度はあまりにもキッパリとして見えた。2年半前に別れた後と同じか それ以上の苦悶の日々が待っていると思うと、沙希は気が遠くなるのだった。が、それをどうする事も出来ない 目に見えない圧力みたいなものと、沙希は戦っていた。そして、弾けた様に 沙希の口から言葉が漏れた。

「今日、もう私、泊まってこうかな」

「今から・・・部屋取れるかな・・・」

その一言で、沙希は大地の強い決意を感じ取った。しかし沙希は、最後にもう一度 悪あがきしてみせる。

「じゃ・・・大地とこうやって一晩中話してようかな・・・」

それには即答せずに、考え込む大地がいた。沙希が少し期待を持ち始めた頃、大地は言った。

「ごめん。俺明日早いし・・・今日も長旅で疲れてんだ。出来れば・・・少し横になりたい・・・」

「そうだね・・・ごめんね、わがままばっかり言っちゃって・・・」

笑顔がひきつっているのが自分でも良く分かり、下を俯く沙希。

「今なら、横浜までなら何とか電車あると思うから・・・帰るね」

そうは言いながらも、まだ引き止めてくれる事を待っている自分が 心の中に存在していた。すると大地が、すっと右手を差し出してきた。

「元気でな」

沙希はなかなか右手が出せずにいた。今握手をしたら、本当の別れが来てしまう。そして、その手を離したくなくなる自分が怖かった。しかし大地はじっと、その手を引っ込める事なく待っていた。

「ほら!」

二の足を踏む沙希に、大地が言った。

「一人でも前向きに 強く生きていけるパワーやるから」

やっとの思いで右手を差し出すと、その弱々しい手を 大地のしっかりとした大きな手が受け止めてくれた。約一年振りに触れる大地の手の感触と 肌の体温が、沙希の理性をぐちゃぐちゃにかき回した。それまで話をしていた大地も、口を閉ざした。磁石の様に吸い付いた二人の手からは、お互いにまだ感じるものがあった。沙希は、いっそのこと このままこの手を引き寄せて、抱きしめて欲しかった。しかし、そう望んだ沙希のシナリオ通りにいく事はなかった。

「成田まで迎えに来させて悪かったな。・・・今日まで、俺の事支えて 応援してくれてありがとう。本当に感謝してる。俺は 沙希に何もしてやれなかったけど、今度は沙希が頑張って幸せになる番だから。俺は・・・もう大丈夫だからさ。・・・沙希に会えて・・・本当に良かった。ありがとう」

刻一刻と終わりが近付いて来る その足音がまるで聞こえる様だった。ひとしきり言い終えると、大地がもう一度手に力を込める。そして ふっと力を抜いたのが分かったが、沙希はそれを食い止めた。沙希も 今までの気持ちや感謝や励ましの言葉をなんとか伝えようと、口を開いた。すると、そこからは思いがけない言葉が飛び出した。

「メキシコに帰ったら・・・その・・・大地を好きな人と・・・つきあうの?」

沙希は自分でもびっくりしていた。なぜ今そんな事を聞くのか。もっと言っておかなくてはならない事がある筈なのに。そして、自分の事を棚に上げ、大地に 一度だけキスした女の事を追及するなんて、なんてイヤらしい人間だろうと思った。しかし大地は優しく微笑みながら、首を左右に振った。

「そんな事、今は考えてないよ」

「・・・『ない』って言ってよ!」

半ば叫び声に近かった。今日初めての感情的な沙希に、大地は優しく諭すように語りかけた。

「これからはお互いに・・・新しいスタートを切るんだ。沙希だって、俺だって・・・。だから・・・」

「分かってる・・・」

いつもなら ここで、大地が沙希の頭を撫でたりしてくれるのだが、今日はその手はなかった。

「今まで、いっぱいいっぱいありがとう。大地もむこうで、悔いの無い様に頑張ってきてね」

口で言うのは簡単で、格好のいい事を言っている自分自身ですら出来ない事を、最後の強がりで言い切った後、思い切って繋いだ手を離した。

 

そして、この時をもって 二人の協奏曲は幕を閉じた。長い長い、山もあり谷もあった二人の旅は、ここで一旦荷物をおろし、それぞれの道へと進んで行った。この先、大地の道に崖があるのか、それとも険しい山の頂上の澄んだ空気と眼下に広がる一面の絶景を 我が物にする事ができるのか、誰も知る由はなかった。そして、沙希もまた同じだった。雨の日が多いのか、晴れの日が多いのか、長いトンネルに迷い込むのか 想像もつかなかった。二人の道が、再び交わる時が来るのかも・・・・・・。   

挿絵(By みてみん)                                

                                 完


最後まで『輝けるもの(上)』を読んで下さりありがとうございました。

毎週楽しみに読んで下さる方や 小さな興味から開いて下さった方達の思いに支えられて、連載させて頂く事ができました。今後の作品作りの為にも、色々な角度からの感想をお寄せ頂けると有り難く思います。

また、その後の沙希を追いかけた『輝けるもの(下)』も投稿させて頂いております。

併せて目を通して頂けたら、大変うれしく思います


約3年間に渡る沙希の人生を共にお見守り下さり、ありがとうございました。

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