第7話 冒険者と言う仕事
評価されるというのは予想以上にうれしいものです。評価してくださった方々並びに読んでくださっている方々、本当にありがとうございます。
未熟者ですが何とか続けていけるよう頑張ります。
*修正報告・宿代を大銅貨二枚から銅貨五枚に修正しました。
あー、あー、本日は晴天なり。
どうも、冒険者になったフェムティスです。
冒険者となって初めてのお仕事と言う事で、王都から出て近場の森に来ています。
門を出るときにあの眼鏡が話しかけてきたのですが、軽く手を上げて挨拶しただけでさっさとその場から離れてきました。
その時は後ろから舌打ちが聞こえたので少し気分がブルーです。
さて、私は今まさに冒険者が最初にやる事のテンプレとも言える薬草採取をしています。
ゴーレム達に辺りを警戒させて、私は予め買っておいた剪定バサミで薬草の葉を採取しています。
ナイフとかでも可能なのですが、ちゃんとした道具の方が安心して使えます。
そんな訳で私はチョキチョキと薬草を採取しているのです。
ちなみにこの薬草は、『緑魔法草』と言うのが正式名称の様です。
この緑魔法草は葉っぱ二枚で小銅貨一枚になります。
危険な森に入って採取しているのに、葉っぱ二枚で小銅貨一枚とは何とも安いです。
小銅貨はこの世界において、一番安い硬貨です。
とはいえ、この緑魔法草は回復薬の基本素材。
需要が無くなる事は無いのです。
・・・・栽培すればいいのでは?と思うかもしれませんが、それは今までも試みられてきた事ですが、成功した者はいません。
私だってそうだろうなとは思う。
だってこの植物は花が咲かない。
花が咲かないという事は種が出来ないという事。
なら根で繁殖するのかといえばそれも違う。
そういった訳があって、栽培はうまくいってないそうだ。
そんな緑魔法草を採取しながら、魔物の類も狩っている。
以前からよく獲っていたダッシュラビットも数匹仕留めた。
そして、真っ白な毛をした『クリーンラビット』も仕留める事が出来た。
このクリーンラビットはとても便利な生き物で人間達によって乱獲されている魔獣だ。
その毛皮には〈洗浄〉のスキル効果がある為、日常によく使われている。
代表的なのが、ヘアブラシと歯ブラシだ。
〈洗浄〉の効果のお陰で、髪にも歯にも十二分なケアが出来るのだ。
実際に私はこのクリーンラビットの毛で出来たヘアブラシを購入している。
お陰で尻尾はツヤッツヤである。
本当に便利な世界である。
魔法と錬金術のお陰で、生活レベルはかなり高い。
一部においては“記憶にある日本”の水準を超えているかもしれない。
◇◇◇◇◇◇
採取活動が楽に終わり、今はギルドの買い取りカウンターに来ている。
「・・・・すいません。・・・買い取りお願いします」
私がそう声を掛けると、カウンターのお姉さんがこっちに視線を合わせてきた。
「はいよ、いらっしゃい。お嬢ちゃんは新顔だね。あたしはここで買い取りを担当しているパウロだよ。今後ともよろしくね」
なかなかに姉御肌な人物である。
「・・・・これの査定をお願いします」
そう言って私は獲ってきたものをカウンターに置く。
「はいよ。あとギルドカードを出してくれるかい?」
言われた通りギルドカードを出す。
そして、パウロはギルドカードを確認してから獲物の査定を始める。
数分後、査定が終わったようで、パウロは一枚の紙を持ってきた。
「終わったよ、これが査定額だ」
私は査定額をチェックする。
・・・無事に宿代は稼げた様で何よりだ。
「アンタ、なかなか狩りが上手いじゃないか。獲物の処理もちゃんと出来ていたし」
パウロさんがニヤニヤしながら私を値踏みするように見てくる。
「・・・それじゃあ、大銅貨七枚と銅貨十二枚で・・・お願いします」
「あいよ、ちょっと待ってな」
パウロさんはそう言って、後ろの棚から硬貨を取り出している。
・・・なかなかの稼ぎになった。
大銅貨八枚と銅貨二枚。
大銅貨は一枚だけ銅貨に両替しておいた。
宿代は銅貨五枚なので、稼ぎは十分だ。
「はいよ、おまたせ」
パウロさんはそう言って、小さなトレイに硬貨を乗せて持ってきた。
「・・・ん」
私は硬貨を数えて、間違いがないのを確認してからギルドカードに硬貨を放り込んでいく。
ギルドカードは結構便利な代物である。
このカードは必要無い時には消えており、必要な時には出てくるよう念じれば手元に自動で出現するのである。
加えて、硬貨限定ではあるがカードの中に収納出来るのである。
云わば冒険者用の財布である。
カードに硬貨を入れ終った私は、軽く会釈をしてギルドから出る。
「毎度〜。次の頑張るんだよ〜」
そんなパウロさんの声が後ろから聞こえてくる。
後、買い取りをしている時から、結構な人数から見られている。
何故私を見るのだろうか?
・・・と、言うか私は怯え過ぎなのだろうか?
ギルドから出て、大通りを歩いていく。
・・・もう視線は感じない。
・・・やはり怯え過ぎ、もしくは自意識過剰なのかもしれない。
そう思っていても、やっぱり人間は怖いのだ。
警戒を止める訳にはいかない。
そんなコミュ障な私は出来るだけ気配を薄くして街中を散策して行く。
街の散策が終わり、必要な物も無事買う事が出来た。
今日の狩りの成果と合わせて上機嫌なまま、宿へと帰ってきた。
「いらっしゃいませ〜。あっ、フェムティスさん。お帰りなさい」
宿の受付の少女ノーラに声をかけられた。
「・・・ん。鍵をお願い」
私はそう言ってギルドカードをノーラに渡す。
「お預かりします。・・・はい、確認が出来ました」
ノーラはそう言うとギルドカードと一緒に部屋の鍵を渡してくれた。
それらを受け取り、私は昨日と同じ部屋へ向かう。
先程、笑顔で対応してくれたノーラという少女は、首輪を付けている。
・・・そう、奴隷というやつだ。
この宿には他にも首輪を付けた人が何人もいる。
まぁ、知ったこっちゃないが。
ファンタジーな世界で、奴隷制度まであるとは・・・。
まさにテンプレというやつだな。
閑話休題
私は部屋に戻り、ゴーレム達に警備させ、シャワーを浴び、寝間着を着て毛繕いをし、寝る。
そんなルーチンをこなして、私は明日に備えるのであった。
物の値段を考えるのは思った以上に難しいと感じます。