第6話 散策と行動計画
どうにも事件を起こすタイミングが難しく感じます。まだまだ平穏な日常が続きますが読んでいただければ幸いです。
ギルドカードを受け取り、その後も簡単な説明を受け終えた私はギルドから外に出る。
ギルドから出るとそこは石畳の大通りで、大勢の人が行き交っていた。
私は石畳の大通りをゆっくりと歩き出した。
ギルドでの登録は結構あっけなく終わった。
背中にいくつかの視線を感じて警戒していたが何も無かった。
冒険者として必要な物は手に入れた。
次はこの王都の散策だ。
少なくともギルドの周囲や、大通りに面した店くらいは把握しておきたい。
そんな訳で、大通りを歩きながらどんな店があるのかを観察する。
流石に大通りなだけあって高そうな店が軒を連ねている。
さて、食事や買い物を済ませてさっさと宿に泊まるとするか。
◇◇◇◇◇◇
街中で諸々を済ませて、今は宿のベットで横になっている。
この宿もちょっと高かったな。
まぁ、その分部屋は綺麗だしサービスもいいので文句は無い。
ちなみに、この部屋の入り口と窓際にゴーレムを配置していたりする。
こうでもしないとどうも安心できない。
ゴーレム達に警備させて、私は部屋に備え付けられているシャワールームへと入る。
シャワーから出るお湯で体を洗いながら色々思い耽る
お湯で体を洗うのは何時振りだろうか?
少なくともこの世界で目を覚ましてからは初めてだ。
この世界にもシャワーはあるんだな。
魔法や錬金術といった技術のお陰だよ。
街中や店の中では意外と視線を集めてしまったな。
服装もあるけど、狐族は珍しいからね。
そんなに珍しい物なのか?
獣人の中でも狐族は数が少ないうえに、あまり外に出てこないからね。
なんかよく物語りで使われるエルフみたいだな。
それに近いと思っていいわよ。あと、エルフもこの世界に居るからね。
体を洗い終えシャワーを止める。
後は自分に対して〈乾燥〉の魔法を掛ければ、あっと言う間に体も髪も尻尾も乾く。
魔法とは何とも便利なものです。
・・・・意外と魔力を消費しますけどね。
そう言えば、ドライヤーも結構消費電力大きかったよな・・・。
髪と尻尾を乾かした後は、寝間着を着て、この王都で買ったお高い櫛で丁寧に梳かしていく。
耳の所や尻尾を梳かすと、猫が喉を鳴らしながら気持ちよさそうにしている理由が、何となく理解できてしまう。
正直、尻尾を櫛で梳かすのは癖になりそうです。
・・・言っておきますが、寝間着は長袖長ズボンですよ。
髪と尻尾の手入れが終わったら次は勉強の時間だ。
〈アイテムボックス〉から本を一冊取り出す。
これはギルドから借りてきた初心者用の教本だ。
私は同じように取り出した赤ワインを片手に勉強を開始する。
フムフム、ギルドにおいては薬草の採取などは常在依頼の様だ。
いちいち依頼を受ける必要は無いとのことだ。
獲れた分をギルドの買い取りカウンターに持っていけばいいだけか。
魔物の素材の買い取りもしていると書いてある。
これなら森に入って適当に狩りをすれば食いっぱぐれる事は無さそうだ。
・・・あれ、今までのサバイバル生活をあまり変わらない。
・・・・まぁいいか。
その後も、教本で薬草の相場や、近くで獲れる魔物や魔獣の簡単な情報や買い取り価格などを頭に叩き込んでおく。
そのついでに赤ワインを腹に流し込む。
・・・酔ってませんよ。
時より一口サイズに切り分けた干し肉を口に放り込んでゆっくりを噛んで食べる。
うん、干し肉はこうやって食べた方が楽だし美味しいです。
いちいち噛み千切る苦労を味わう必要はありません。
口の中でゆっくり噛めば味も染み出してきていいかんじです。
お陰で酒が進みます。
・・・・酔ってませんよ?
入口と窓際のゴーレムを見る。
それぞれ一体ずつ、ゴーレムが二カ所に悠然と立っています。
こうでもしないと私は安心して休む事が出来ない。
・・・ゴーレムに守ってもらっているこの状態が一番安心できます。
ゴーレムがある程度自律行動してくれて本当によかった。
そうでなければ私は今頃死んでいるし、そうでなくても安心して休める時間すら無かったはず。
私はそっと手を合わしてゴーレムに感謝する。
手を合わせて感謝するという行為は不思議なほど自然と淀みなく出た。
どのくらいそうしていたかは分からないが、とりあえず合わせていた手を離す。
さて、明日からどうするかな。
と言ってもかなり適当になるだろうと予測している。
薬草集めは簡単だが実入りは当然悪い。
となれば比較的高く買い取ってくれる弱い魔物や魔獣で稼ぐしかない。
しかし、あまり目立ちたくはないので少し加減しなければ・・・。
後はこの国が保有している迷宮に潜るかだ。
迷宮内部では魔物がうようよしているので稼ぎやすいのだ。
それに加えて、運が良ければ宝箱を発見できる。
この宝箱は未だに解明されてはいないが、中には硬貨や武器、防具、有用なアイテムなどが入っている可能性が高い。
そういったものがあるお陰でこの王都には周囲から冒険者が集まってくる。
王都も冒険者が迷宮から持ち帰る物を必要としているのだ。
周囲の魔物退治も含めて、王都を冒険者は利害が一致している訳だ。
どうやって稼ぐかな。
正直、今泊まっている宿『妖精の止まり木亭』は今後も泊まっていきたい。
とすれば結構な額を稼ぐ必要がある。
・・・目立つ事も止む無しですね。
さ〜て、冒険者として明日からがんばるぞっと。
ホントどないしよ・・・・。