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ジト目な狐は魔法使い。  作者: 大竹近衛門
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第2話 生きる為の方法

 私が生き残るために何が出来るのか。その考えが一先ずまとまった所で実際に行動を開始する。

 まずは外に出る為、入ってきたように四つん這いになりながら出る。外に出てまずやる事は周囲の警戒だ。

 私は四つん這いのまま耳を動かし周囲の音を探り、自分の鼻で周囲の匂いを調べる。


 ・・・どうやら大丈夫そうだ。

 人間としての記憶の有る私としてはとても無意味な行為だが、獣人の記憶から言えば生きる為に必要不可欠な行為だ。

 まぁ、この意識の差は紛うことなき種族の差である。人間では周囲の音を拾う事はある程度出来るが、匂いに関しては無駄な足掻きというものだ。だが、獣人であれば耳も鼻も獣に近い性能を持っている。そして今の自分の体は獣人である。

 この森の中で生き残るには非常に有り難いスペックだ。けれど、人間の記憶と照らし合わせて考えると人間がいかに脆弱な存在かを身を持って体験している事になる。少し悲しくなってきた。


 さて、周囲の警戒が済んだ。ついでに空を見れば綺麗な青空で、太陽の高さから言って時間は朝かな。とりあえずは飲み水を確保しなければならない。私は再び耳を澄ませ、鼻で大きく空気を吸い込み、周囲に水の音もしくは匂いがないかを探る。

 幸運な事に水の流れる音が聞こえた。その方角に向かって辺りを警戒しながら向かうと、二十分くらいで小川に辿り着いた。


 焦らずゆっくりと辺りを警戒する。

 ・・・。よし、大丈夫だ。そう確信した私はゆっくりと小川に近づく。そして、小川の水で手を洗い、水を手で掬って飲む。


「・・・ふぅ」


 水を飲めたことで思わず声が出る。その後2度3度と水を飲む。喉を潤し満足した後は顔を洗って一段落だ。

 さて、ここまでで色々と発覚した事があるからまとめよう。


 まず小川は流れが緩やかだった為、自分の顔を確認できた。その結果、自分は美少女である事が発覚した。それはもうナルシストになってもいいかなと思うくらいに。

 自身の記憶にある基準から言っても、まず間違いなくトップクラスだろう。


 肌もきめ細かくなめらかで白く美しい。

 はっきり言ってサバイバルしている人の肌ではない。

 髪は烏の濡れ羽色の様な綺麗な黒髪で、とてもサラサラで指通りもいい。

 はっきり言ってサバイバルしている人の髪ではない。


 耳や尻尾も髪と一緒で黒だ。だが、その先端部分は白くなっている。

 記憶にある動物の狐は足や耳、尻尾の先端は体の狐色とは違い黒い毛になっているのを見た事がある。

 それと同様でこの世界の狐族も基本は狐色の髪に耳や尻尾の先端は白といった配色をしているようだ。


 そして問題は目だ。色はサファイアの様な綺麗な蒼だ。

 だがしかし!死んだ魚の様なハイライトが消えたジト目で色々台無しだった。


(とてもゾクゾ・・ゲフンッゲフンッ)


 兎も角、水を確保したら次は食糧が必要だ。

 自分の容姿については後でじっくり考えよう。

 食糧についてはここまで来る途中に果物と思しき匂いを見つけていたのでそちらに向かうとしよう。

 

 匂いの下に無事辿り着いた。そこには立派な木があり、その枝には赤い実がなっている。リンゴのように見えるがその実はリフルの実と言うらしい。一般の市場にも多く出回っている果物だ。

 私は大体二階建ての高さの位置にある実を目掛けてジャンプする。するとどうだろう、自分の手がリフルの実に届き、見事その果実を取る事が出来たではないか。

 私はその手に果実がある事を確認するとすぐさま例の洞穴に戻った。





◇◇◇◇◇◇





 洞穴の入口まで戻ってきた私は、周囲を警戒した後入口のそばで腰を下ろす。

 私は一息つき持ってきたリフルの実に齧り付く。


(味はリンゴだな。けど今まで食べた事のあるやつより遥かに美味い)


 そんなことを考えながらリフルの実の美味さに舌鼓を打つ。一気に食べてしまったら勿体ないと思い、よく噛んで食べる。


(あ〜美味かった。ご馳走様でした)


 リフルの美味さを堪能した後、残ってしまった芯の部分は遠くへと投げ飛ばす。近くにあると匂いで何かが寄ってくるかもしれないと考えた上での行動だ。


 水も飲んだ。食事も済んだ。とりあえず今日は凌げるだろう。ならば今後の為に何が出来るか。何をするべきか。その事を考え実行しなければならない。とは言え、それに関してはある程度考えは纏まっている。


 それは勿論、身体能力とこの世界にある【魔法】をコントロールする事だ。

 これらはこの世界で生きていくには欠かせない武器だ。特に魔法がそうだ。この世界の魔法は人の営みに欠かせない要素になっている。それこそ一般の家庭で使われるくらいには。


 けれど、この魔法は上に行けばいくほど難易度が跳ね上がる。たとえば、一般人が生活に活用できる魔法が存在しているのだが、これの習得難易度が1として、戦いに使える初歩の魔法の習得難易度は3〜4になる。


 言葉にしてしまえばあまり差が無いように聞こえるが、実際の所はかなりの差が出てしまう。

 生活に活用できる魔法、これは生活魔法と言うがこれを習得し、使いこなせればそこそこ優秀な人として扱われる。

 それこそ、就職に有利になる(妬ま・・うらやましい。by男)くらいに。


 そして、生活魔法が使えても攻撃用の魔法を使えるとは限らない。

 生活魔法は使えても攻撃魔法は使えないという人は多い。


 とは言え、魔法の素質ですべてが決まるわけでもない。

 この世界には剣などを使った武術に優れた者も多い。

 魔法を使う人も切られればあっさり死ぬのだ。


 だがしかし人類社会の常なのか、魔法を使えると言うだけで選民思想に浸ってしまう人もいる訳で、そのお陰でこの世界には人種差別に加えて魔法差別もあるのだ。

 この差別は世界中どこでも大なり小なり存在している。もちろん差別を無くそうとしている国や団体もあったりする訳だが・・・。

 どんな世界でも人類という者は変わらないものだ。泣きたくなってくる。

 ・・・偉そうに言っているが自分も人の事など言えないくらいに屑な人間ではある事は自覚している。


 話が長くなったが、これからやるべき事は身体能力と魔法関連の制御とレベルアップだ。

 これに関してもあまり心配はない。リフルの実を取った時に何となく自覚できた事がある。それは私自身が始めから使い方を知っているのだ。

 例えるなら使い方がそのまま体にインストールされているような感じだ。

 おまけにステータスまで見えるようになってしまった。




〈狐族〉

『フェムティス』

年齢16

 レベル25


スキル

 格闘

 杖術

 生活魔法

 強化魔法

 火魔法

 土魔法

 雷魔法

 闇魔法

 自己治癒術

 状態異常耐性(強)

 隠密


レアスキル

 空間魔法

 ゴーレム職人


固有スキル

 獣化

 幻惑魔法

 創造魔法

 隠者

 解析の魔眼

 ゲーム思考




 これはチートだと思うが、正直有り難い。私の置かれている状況は命の掛かった現実なのだ。自分が生きられる手段は1つでも多い方が良い。強いなら尚更だ。


 今の所このステータスに表示されている力を使えるようになる事が目標だ。しばらくは地道な修行が続くことになるだろうな。


 ・・・・と言うか、〈ゲーム思考〉ってなんぞ??


2015/1/8 細かい修正と固有スキルにあった〈激運〉を削除しました。


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