第15話 帰ってきた狐
遅くなってしまって申し訳ございません。
どうも皆さん。狐族のフェムティスです。
旅に出てから早四十日前後経過し、現在は王都のすぐ近くの森の中です。
標高の高い山岳地帯で修業と言う名の山籠もりを終えて帰ってまいりました。
今現在の私の容姿と装備に関して説明したいと思います。
髪と尻尾は濡羽色で、耳と尻尾の先端部分は白い毛となっております。
髪の長さは肩に少し掛かる程度にしてあります。
肌は依然として白く、肌理細やかなままだ。
体つきに関しては、以前よりも筋肉が全体的に着いた感じです。
さりとて筋肉質のマッスル体系と言う訳ではなく、うっすらと見える程度になっております。
加えて、インナーマッスルもみっちり鍛えられており、女性らしい柔らかな身体を維持しつつ、豹の様なしなやかさと強靭さが合わさったかのような惚れ惚れする身体を手に入れました。
はっきり言って、前世の世界に喧嘩を売っているようなご都合主義満載のボディーです。
何せこの細さで自分の二倍はある大岩をなんなく持ち上げられるのだ。
装備に関してはほぼ現地調達した。
山羊みたいなやつから毛を頂戴し、人間サイズの芋虫の繭から糸を頂戴し、強力な魔獣や魔物から様々な部位を剥ぎ取り、それらを元に創造魔法で錬成した。
前世の軍の戦闘服の様なシャツとカーゴパンツ。
現地調達できた金属で作った胸当てと脛当て、加えて腕当ても装備。
前回と同じように耳付きフードの付いたローブ。
ローブの見た目は、メインの色に紺色を使い江戸紫の縁取り、その縁取り部分には植物と魔法陣をイメージした金色の刺繍を施し、裏地には白藤色の布を使ってある。
手に持っている杖は、自分の身長より少し低めの長さ。
二本の木が螺旋状に絡みあっている様な柄。
石突きには金属を使い、形は正八角錐、木と金属の繋ぎ目部分には金の輪をあしらっている。
先端には赤黒い水晶の様な球体があり、それを守る様に二本の木が絡みついている。
さらにその球体にピッタリ沿うように角の様な装飾が付けられており、その角の様な物の鋭い先端は槍の穂先の様に真っ直ぐ上を向いている。
・・・先端で突っつかれたら痛そうだ。
それに加えて、重量と強度があるのでメイスとしても十分に使える。
私の容姿に関しては大体こんな感じだ。
始めの頃に着ていた装備の性能と比べると雲泥の差である。
そこら辺の刃物では傷すら付かないだろう。
ついでに私の今のレベルは七十四まで上がりました。
王都でカードを作った時が三十一だったので、かなりレベルアップできた。
・・・。実の所、あそこはかなりの高レベル地帯だった・・・・・・。
なるほど、死にそうな目に会うはずだ。
まぁ、なにはともあれ強くなって王都に戻ってきたというのが今の状況です。
◇◇◇◇◇◇
私は約四十日ぶりに王都に入った。
相変わらず活気に満ちている。
さて、先ずは冒険者ギルドに行ってお金を増やすとしようか、
今回の旅の準備で大分所持金が減ってしまったので、手に入れた素材や作った薬を売ってしまおうと考えている。
私は以前から目立ちたくないと考えていた。
だが、私は死にたくないので強くなりたい。
強くなるためには自分を鍛える事と、より良い装備を揃える必要がある。
しかし、強かったりいい装備を着けているとどうしても人目を引く事になってしまう。
その事を危惧して強さを抑えたり、装備の調達を怠ったりしたら命の危険がある。
実際に装備が貧弱だったお陰でティラノサウルスもどきに身体を穴だらけにされたしな。
あれは私自身が油断していたという事もあるとは思うが・・・。
命を危険に晒す事と目立つ事を天秤に掛けて考えれば、命を優先したいのだ。
故に、お金稼ぎと装備品で目立つ事になろうとも自重しない事にした。
無論、面倒事は遠慮する方針なのは変わらない。
・・・うっし。ガンガン稼いで悠々自適の隠居生活でも目指しますかね。
あの旅で訪れた山岳地帯の拠点もあるし、森の中で隠居も面白そうだ。
久しぶりの冒険者ギルドだ。
扉を開けて中に入ればあっと言う間に視線が集まってくる。
その視線の殆どが驚きを含んだものだった。
やっぱ視線が集まるのは少し苦手だな。
集まる視線に癖癖しながらも、買い取りカウンターに辿り着いた。
早速買い取りカウンターの肝っ玉母ちゃんのパウロさんが声を掛けてくれた。
「あれまぁ。随分と久しぶりじゃあないかい。こう言っちゃあなんだけど生きてたんだねぇアンタ」
「・・・ん。死にそうにはなったけどね」
「おやおや。一ヶ月以上も顔を出さないで何してたんだい」
「・・・散歩」
「…そうかい。まぁ、生きてんならなんでもいいさね。さて、ここに来たってことは散歩で拾ったものを売りにきたってとこかい?」
「・・・ん。結構大きいんだけど、どうすればいい?」
「そんならここの隣に大物用のスペースがあるからそこで作業しようかね。その前にカードを確認させてもらえるかい?」
「・・・ん」
軽く頷いてパウロさんに自分のカードを渡す。
「…!…確認完了だよ。それじゃあ着いておいで」
カードを返してもらい、パウロさんの案内に従って移動する。
若干驚いたような仕草が見えたな。
やっぱりレベルかな。
着いた場所は体育館の様な内装で、広さは半分程度の部屋だ。
「さぁ、ここだよ。大物の時はこっちの部屋を使うから覚えておきな」
「・・・ん」
「それじゃあ早速物を出してみてくれないかい」
「・・・分かった」
それでは旅先のお土産を出しますか。
いくら位になるのかな?
金貨一枚に届いてくれると嬉しいな。
修行編はざっくりカットしました。
機会があれば閑話といった形で投稿しようか思います。しかし、淡々と修行しているお話なんて需要はあるのでしょうか?




