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ジト目な狐は魔法使い。  作者: 大竹近衛門
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第12話 人助けの後は・・・(前篇)

コミカルなシーンを入れたつもりなのですが、友人からは「コミカルなんてどこにもねぇ!!」と散々な評価をされてしまいました。・・・げせぬ。

後、仲間を入れようかどうしようかの瀬戸際で・・・。



 ども。自分勝手な理由で人助けをしたフェムティスです。

 助けるまではしっかり計算して脳内シミュレーション通りだったが、その後を全然考えてなかった今日この頃。

 青年二人はこちらに剣を向けてはいないが警戒はしているようだ。


「・・・とりあえず助けたけど、余計だったかしら?」


 とりあえず考えるのは放棄した。

 あまり考えず素のままで行く事にしよう。そうしよう。


「いえ、貴女が来なければ我々は殺されていました。助けていただいた事深く感謝します」


 金髪盾剣士の青年は感謝の言葉を述べて頭を下げた。

 それに続いて赤髪の両手剣士の青年も軽く頭を下げ、


「それで、あんたはいったい何者なんだ?」


 警戒しているのをまったく隠そうともせずに聞いてくる。


「・・・そんな事より、先に自分達に回復魔法でも掛けたらどう?」


 あんたら血だらけだってこと忘れてるんじゃないのか?

 その言葉を聞いて若干苦虫をかみつぶしたような顔をしながら金髪君が頷いた。


「それもそうですね。カリーナ、回復を頼め・・・、ッ!!カリーナ!どうしたんだ!?」


 金髪君が後ろの治癒士に振り向きながら声を掛けようとしたが、肝心の治癒士は気絶していた。

 その事に初めて気づいた魔術師の少女も治癒士の肩を揺さぶり、起こそうとしている。

 赤髪君は剣を持つ手に力を込め、こちらへの警戒度を上げてきた。


 ・・・本っ当になんで気を失っているんだよ?

 確かこの治癒士は攻撃を受けていなかったはずだが?


 しかし周りを見て納得した。

 頭を吹っ飛ばされたおっさん達の死体。

 頭から飛び散った肉片と真っ赤な血。

 首から流れ出て作られた真っ赤な血溜まり。

 ・・・たぶんこれかな?


「・・・彼女には刺激が強すぎたのかな?」


 私の視線に赤髪君も気づいて周りを見て納得したのか、表情が引き攣っていた。

 そんなすったもんだがありつつも、治癒士は意識を取り戻しわたわたしながら彼らの治療を始める。

 彼らが回復作業をしている間、私は周りの警戒をすることにした。





 時折ポーションなどを使いながら治療を続けて数分、どうやら治療が完了したようだ。


「お待たせしてしまってすいません。私はエリックと申します。この度は助けていただいて有難うございました。お陰で皆、生き残る事が出来ました」


 金髪君が自己紹介を混ぜつつお礼を述べる。

 身長は私より高く赤髪より低い。


「俺はディーンだ」


 エリックに続いて赤髪ツンツン頭の自己紹介。

 つーか、ディーンはかなり身長あるな。

 私では見上げる事になってしまう。


「あたしはセレスです。見ての通り魔術師です」


 茶髪のセミロングで、幼さが少し残っている愛らしい顔立ちをしている。

 身長は私より少し低いくらいか。


「わたしはカリーナです〜。助けていただいて本当に有難うございます〜」


 金髪のロング、おっとりした感じの美人さんだな。

 発育もなかなかよろしいようだ。


「・・・私は・・・フェムティスです」


 少し考えながら自分の名前を告げる。

 細かい所まで自己紹介しなくてもいいだろうと、とりあえず判断する。

 相手もギルドランクとかは言ってこないしな。


「フェムティスさんですね。私達で出来る範囲で助けていただいたお礼をしたいのですがいかがでしょうか?」


 エリックが爽やかイケメンスマイルで問いかけてくる。

 これが本物のイケメンか・・・・・・。


「・・・必要無い」


 とは言え、私としては特に何も感じないのでジト目無表情のまま平坦な声色で答える。

 微動だにしない表情筋に加えて耳と尻尾も何の動きも示さない。


「しかし、助けていただいたのは事実です。何かお礼をしたいのですが・・・」


「・・・貴方達を助けたのは偶然近くにいたからに過ぎない。それに、既にお礼の言葉は貰っているからそれで十分」


「し、しかし・・・」


 エリックは「まいったなぁ」と頭をかいている。

 はぁ。

 まったく面倒くさいこって。


「・・・そう言う押し問答をするなら危険な迷宮の中では無く、外に出てからにしたいのだけれど?」


「それもそうですね。・・・皆もそれでいいかい?」


 エリックの声に他の三人が頷く。

 そして、全員が簡単な帰り支度をしている間にディーンが死んだおっさん達の側からギルドカードを回収する。


「集め終わったぞ」


 その声に仲間の三人が頷き、こちらを窺う。


「・・・私はいつでも行ける」


 私のその言葉を合図に、お互い距離を保ちながら王都へと帰還した。



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