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ジト目な狐は魔法使い。  作者: 大竹近衛門
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第10話 身近な変化



 森の中で見知らぬ冒険者の男と会ってから数日が経過した。

 私は今、森の中で魔法の修行の真っ最中です。


 あの男は『ライアン』と言うらしい。

 森の中で槍の修行をしている所で再会して、お互いに自己紹介を済ませた。


 さて、今の私は少しだけ行動に変化が出来た。

 と言うのもライアンの話で図書館の存在を知ることが出来た事が理由だ。

 図書館は冒険者ギルドの建物の斜め後ろにあって、冒険者ギルドが管理、運営しているとのことだ。

 そんな私の行動内容は一日でガッツリ稼ぎ、丸一日使って図書館で勉強して、丸一日使って修行するの三通りになっている。


 他の変化と言えば冒険者ギルドでのランクがDに上がりました。

 まぁ、上がったからって何かある訳ではないがな。

 その時の事を少し思い出してみよう。




◇◇◇◇◇◇




 私はいつもの通り素材を買い取ってもらっていたら、ギルドの受付に行くように言われた。

 そして教えてもらったカウンターまで行くとそこにはハニーブロンドの髪を背中の中間まで伸ばした巨乳の美人さんがいた。


「初めまして、フェムティスさん。私はこのギルドの依頼受付カウンターを担当していますマティルナと申します。今後ともよろしくお願いします」


「・・・フェムティスです」


「今回お呼びしたのはフェムティスさんのランクアップのお知らせとその手続きの為となります」


 ランクアップとは意外だ。

 私はギルドからの依頼とかを請け負った事は無いのだが・・・・・。


「ランクDへの昇格はギルドから試験を受けるか、素材を一定量買い取りカウンターに持ち込むかによって判断されます。フェムティスさんの場合は後者で、ランクDの実力ありと判断されました」


 マティルナさんは営業スマイルのまま説明してくれた。


「それでは登録しますので、ギルドカードの提出をお願いします」


 私は言われた通りにギルドカードを渡す。

 マティルナさんはギルドカードを受け取ると数十秒間作業をして、ギルドカードをこちらに返してくれた。


「これでランクDの登録は完了です」


「・・・どうも」


「それと今後のランクについても説明させていただきます」


 マティルナさんが姿勢を正して説明を開始した。


「この冒険者ギルドでランクC以上に昇格するためにはギルドに持ち込まれた数々の依頼を受け、その依頼を成功させてギルドからの信頼を得る事が絶対条件になります。もし依頼を失敗してしまえば信用を大きく失う事になる上に罰金も発生しますので、依頼を受ける際にはしっかり考えてから受けてください。なお、常在依頼に関してはカウントされませんのでお気お付けください」


「・・・分かった。気をつける」


「それともう一つ。詳細登録について説明させていただきます」


「・・・?」


「詳細登録と言うのは、冒険者が使えるスキルや戦い方、得意な武器と魔法、個人的な考え方やどんな仕事を得意としているか、もしくはどんな仕事を希望しているかを細かく記した書類を制作して、ギルドに登録してもらうことです。この登録をしていただければギルドの方でも紹介する依頼を調整できますし、冒険者個人を指名した依頼も受け易くなります。いかがいたしますか?」


「・・・・・・。詳細登録はしないでいい」


「かしこまりました。詳細登録はいつでも出来ますのでお待ちしております。今回の説明は以上になります」


「・・・失礼します」


 最後まで営業スマイルを崩さなかったマティルナさんに別れを告げ、私はギルドを出ていく。




◇◇◇◇◇◇




 とまぁ、こんなやり取りがギルドであった訳で、私はランクDになったのですよ。

 ついでに言えば、あれから何日も立っているが依頼は一個も受けていない。


 さて、魔法の修行の方だが、これは修行と言うより反復練習と言った方がいいかもしれない。

 何せひたすら初級魔法を繰り返しているだけだからだ。

 この魔法辺りの変化で言えば、店で魔法使い用の杖を購入したくらいだ。

 この杖も中の下といった品質だが馬鹿に出来ない。

 杖の有る無しでは効率も威力も変わってくるからだ。


 ここ数日で小さいながらも色々変化があったものだ。

 その中でも図書館の存在は大きい。

 情報や知識と言うのは偉大だ。

 と言うよりも情報や知識が無い事があんなにも不安感を感じる事だとは思わなかった。

 図書館で勉強するようになってあらためてその事を実感した。


 前の俺は情報や知識がすぐに手に入る環境にいた。

 あの環境では情報や知識が様々な方法で流されていたし、それが当たり前だった。

 だが、この世界に来てからは情報や知識は殆ど手に入らなくなった。

 ただそれだけの事で俺は強い不安感を感じていたのだ。

 そんな俺にとって図書館は非常に有り難い存在となった。

 お陰で少し前に比べて気持ちが軽くなった気がする。


 さて、唐突ではあるが、日常の少しの変化を受けて、私自身に僅かばかりの余裕が生まれたので自分の行動範囲を広げようかと考えている。

 要は迷宮へと入る事にしたという事だ。

 迷宮でどの程度稼げるかも気になるが、他にも確かめたい事がある。

 ライアンからある程度迷宮に関わる話は聞いておいた。

 図書館でも可能な限り調べておいた。

 薬や食料の準備も完了している。


「・・・、迷宮・・・か」


 はたして本物はどんなものなのか?

 今から不安でいっぱいだ。



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