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第十三話 同僚騎士との訓練試合

「なるほどな。盗賊退治か」

ここは王都ゼステリアの騎士団本部のアゼル・グラシアスの執務室だ。

ホーンラビットとの戦闘後、王都ゼステリアについた俺は、依頼完了の報告のために騎士団本部に戻った。

ちなみに、ユースティアは門につくと同時にフードを被り、宿屋に行くと言ってどこかに行ってしまった。

まあそのうち会えるだろう。

アゼルは机に頬杖を突きながら、つまらなそうに俺の報告を聞いていた。

「ああ、それで報酬としてこの剣を貰った」

腰に帯剣していたザーラから貰った剣をアゼルに渡す。

アゼルはしばらく無言でその剣を眺め、こちらに返してきた。

「なかなか良い剣だな。銘は何て言うんだ?」

銘か…そういや知らないな。

「さあ?何も聞いてないからな」

「はぁ………まあいい。もう出て良いぞ」

溜め息をつきながら、早く出て行けとばかりに手首を振る。

こちらとしても執務室は別に居心地のいい場所ではないので剣を腰に差して、退室した。



執務室を出た俺は、訓練所に向かった。

理由は言うまでもなく訓練のためであり、ザーラから貰った剣---面倒だからザーラソードとでも名付けよう---に慣れるためだ。

俺は基本的にはどんな剣でもすぐに使いこなせるが、使い慣れるに越したことはないだろう。

訓練所に到着し、藁人形相手に訓練を開始しようとすると声がかかった。

「よおリク。また藁人形相手に剣の訓練か?」

同僚のジョセフだった。

「ああ、剣の調子を確かめたくてな」

そう言ってザーラソードを振ってみせる。

「へえ、良い剣だな。ならどうだ?藁人形なんかじゃなくて俺と手合わせしないか?」

ふむ………どうしようか。

藁人形相手にザーラソードをならす予定だったが、ジョセフとの手合わせというのも捨てがたい。

「ああ、いいぞ。やろうか」

色々考えた末に、手合わせを受けることにした。

藁人形相手にザーラソードを振るというのはいつでもできるし、何より対人戦というのはそれだけで俺にとっては十分意味がある。

吸血鬼だって人型なのだから…。



「よし、じゃあルールは普通ので良いよな」

ジョセフの確認に首を縦に振って了解の意を示す。

普通のルールとは、ゼステリアの騎士団で通常使われるルールで、魔術は使用しない。

寸止め。

内容は大ざっぱに言ってしまえばこの二つである。

ちなみに使用するのは真剣だ。

騎士団本部には治療術が使える者も複数いるため、多少の傷ならすぐなおしてしまえるからだ。

「じゃあ、これよりジョセフ対リクの訓練試合を始める」

いつの間にか審判の役を買って出た騎士が、口上を述べた。「では、始め!!」

審判が挙げた手を振り下ろし、試合の開始の合図となった。

「ふんっ!」

ジョセフが開始と同時に一足跳びで接近してくる。

それを俺は剣を両手に構えて迎える。

「でやぁぁぁ!」

俺の懐に飛び込んだジョセフが剣を振り上げ、俺に向かって振り下ろす。

その動きを予測していた俺は半身になって避け、回し蹴りを放つ。

弾き飛ばそうと思って放った回し蹴りはきれいにジョセフの胴を打ち、吹っ飛ばすとまではいかないまでも、ズザザザザッとジョセフを後退させることに成功した。

「やるじゃないかリク。じゃあ、今度は別の手で行かせてもらう!」

そう言って、ジョセフは剣を両手持ちから片手持ちに切り替えた。

俺は何かをされる前にこちらから攻め立てて、その何かをする暇をなくそうと考え、行動に移した。

ジョセフが片手に掴んだ剣を正眼に構えたところで、一瞬で懐に飛び込む。

次の行動を起こそうとしていたジョセフは、いきなり懐に現れた俺に驚いて、一瞬動きが止まる。

俺はすぐに右手の剣をジョセフの首めがけて突き出す。

しかし、ジョセフも伊達に騎士をしているわけではなく、ギリギリで首に向かう剣を弾く。

だがまだ左手が残っている。

突きが弾かれた瞬間に左手の剣を逆手に持ち替え、ジョセフの首にねらいを定め振り抜く。

突きを弾いたばかりの剣では防ぐことは不可能だ。

ジョセフが回避に入る直前に俺の剣がジョセフの首に当たる寸前で停止する。

「そこまで!勝者はリク!」

そこで審判から判定が下った。

この試合は俺の勝ちで終わりのようだ。

「いや~、強いなお前」

ジョセフが敗北したにも関わらず、明るい声で話しかけてきた。

「そんなことないさ」

「そんなことあるっての。同期の中じゃお前が一番なんじゃねぇか?」

「………そうかもな」

同期の中では確かに一番強いかもしれない。

しかし、そんな強さじゃ駄目なんだ。

何故なら俺が殺そうとしているのは吸血鬼だ。

仲間内で一番強いくらいでは、強いのうちには入らないだろう。

ジョセフと再戦の約束をして、適当に別れを告げて藁人形に向かい合った。

大分手に馴染むが、もう少し馴らしておきたい。

それからしばらくの間、騎士達のかけ声が響く訓練所に小さく藁人形を切り裂く音が鳴り続けた。

ちなみにですが、エルフが得意としていたり、普通の人が使う『魔術』とリクやルルさんが使う『魔法』は別物です。


まあ、その辺の設定は後々どこかで説明できると思います。

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