↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/1

最後のセーブデータ

『やくそう』


『やくそう』


『どくけしそう』


『やくそう』……


アイテム欄のほとんどが、体力を回復する『やくそう』で埋め尽くされていた。


「なんでこんなに回復薬ばっかり……?」


首をかしげながら、最後に残っていた『だいじなもの』の欄を開いた。


そこには、ゲーム内の手紙機能で保存された、短いメモが残っていた。


日付は、僕がこのゲームをやり込んでいた、十年前の冬。


『たかしへ


おとうさんは下手だから、ぜんぜん追いつけそうにありません。


だから、たかしが強いボスと戦うときに困らないように、たくさんやくそうを集めておきます。


こんど一緒につかう時まで、だいじにとっておいてね。』


——父さんは、ゲームを進めるためにプレイしていたんじゃない。


僕が全滅しないように、仕事が終わったあとの遅い夜、一人で画面に向かって、回復アイテムをひとつずつ集めてくれていたんだ。


『やくそう』の所持数は、99個。


上限いっぱいに届いたところで、父さんのセーブデータは終わっていた。


「……父さん、ずるいよ」


画面が、涙でぼやけて見えなくなった。


画面の中の父さんのキャラクターは、十年間ずっと、僕に薬草を渡すためにその場所で立ち続けていた。


僕はコントローラーを握りしめ、データ1の自分のキャラクターを起動した。


そして、あの懐かしい街の広場へと歩いて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。