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遥か昔に封印されし最強術師は頭だけ!?お姉ちゃんを名乗りたい首だけ術師と魔導学園生活の始まりです!  作者: はーにゃ


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第2話 残念な雷の女神

「な、何だこれ……。不気味すぎるだろ!!」


目の前にあるのは、青い光と稲妻を放つ巨大な結晶。

そしてその中に封じ込められていたのは――腰まで届く長い銀髪を持つ、女の生首だった。


断層のようになった結晶の足場を登り、恐る恐る近づいてみる。  

腐敗も白骨化もしていない。まるで眠っているかのように瑞々しい肌。

だが…俺は戦慄した。


「……髪と目の色が、俺と同じじゃねえか」


銀色の髪に、カッと見開かれた黄金の瞳。  

中性的な顔立ちは、まるで俺自身を女にして、より美しく整えたかのような……。

いや、生首相手に自画自賛してる場合じゃない!こえーよ!!


俺はブンブンと首を振り、意識を切り替える。

今は鑑賞会をしている場合じゃない。

ここから生きて出ることが最優先だ。


広場を見渡すが、横穴の一つも見当たらない。  


あるのは、俺が落ちてきた天井の大穴だけ。

あそこまで登るなんて不可能だ。


「……くそ、自力での脱出は無理か。なら!」


俺は腰の巾着から、最後の希望を取り出した。

青い結晶石――【平逆石ひらさかいし】だ。これを使えば、黄泉の奈落ダンジョンの入口まで転移できる。

高かったが、お守りとして持っていたのだ。


「頼むぞ、動いてくれ……!」  


祈るように魔力を込めようとする。

だが…石は冷たいままだ。


「……だよなぁ!!」


俺は石を地面に叩きつけそうになって、寸前で止めた。


この石の対応範囲は『奈落レベル:伍断ごだん』まで。ここは『漆断しちだん』。

言ってみれば「圏外」だ。  


万が一の備えのはずが、十万が一の事態が起きて役に立っていない!


「はぁ……マジで詰んだか? 黄泉鬼との死闘以前に、脱出手段がねえぞ」


絶望的なため息が漏れる。


俺は縋るように、再び目の前の青い結晶を見上げた。


「なぁ……ここは何のための場所なんだよ? 生首さんよぉ」


答えなど返ってくるはずもないのだが…。

そう思いながら、俺が何気なく結晶に触れた、その時だった。


――ジジ、ジジジジジ!!!


「…なあっ!?」


指先からバチリと衝撃が走る。

内部で青い電撃が膨れ上がり、結晶の表面にピキピキと亀裂が走り始めた。


「ちょ、ま……ヒビどころか、割れ……ッ!?」


俺がたじろぐ間に、結晶を走る雷撃は暴走し――ガキイィィン!!! と甲高い音と共に砕け散った。

そして気味悪い生首がコロリと転が…らない?


そう、生首は落ちてなどいなかった。


「……は? 浮いてる?」


長い銀髪をゆらりと揺蕩わせ、生首が宙に鎮座している。

カッと見開かれた黄金の瞳が、俺を射抜いた。


――ビリビリと肌を刺す威圧感。

俺の『柳葉刀』の素材となった上位級黄泉鬼なんぞ比較にならない。


「それにこいつの生首から発する雷撃は【霊法術式】か!?であれば…最上位級!?

だが…あれは最上位級どころじゃねえだろ!もっと上だ…。少なくとも8段階中6番目の『特級』…いや、その上の『混沌級』か!?」  


だが思えばここは『奈落レベル:漆断』の深層。

こんな化け物がいても不思議じゃねえなあ!!


「…っ、だがなぁ…生き残るためにはやるしかねえ!!ぜえああ!!」


俺は迷いを捨て、ズジャアアン!!と結晶をにクレーター作り地を蹴った。  

浮いている雷の生首を中心に、床に壁、更には天井高くまで飛び移り、ズガアン!!ビュウウン!!ズジャアアン!!と至る場所を超高速移動でビュンビュンと動き回る。


5等級開拓者にあるまじき踏み込み速度!

雷の生首の黄金の目が俺を追っているのか、ギョロギョロと視線が動き回る。

…流石は「混沌級」だ。


本来ここまでのあり得ない速度と身体能力に付いて来れた奴など、黄泉鬼含めて誰一人として追い付けなかったのだが…これは確実に俺の速度に付いて来ている。


しかし…雷の生首の視線がついぞ俺を見失った。

その隙を見逃すはずもなく、天井より真上から一瞬で間合いを詰め、天空から渾身の力で柳葉刀を振り下ろす!


「ゼやあああああ!!!」


「……わらわをそこらの雑魚、【黄泉の霊鬼】共と一緒にするでないわ。万死に値するぞい。」


…柳葉刀を卸す瞬間、そいつは喋り女の声が響いた。  

ぐるりと俺の方向まで首が回り目線がかち合う。

その直後、ギシギシ…と空間が引き裂かれる。


「【大雷・蒼おほいかづち・あお】」


ズガアアアアン!!!と極太の雷光が、まだ空中にいる俺の鼻先を焼いた。


「なッ!!……クソが!!」


振り下ろした剣の勢いを無理やり殺し、空中で体を後ろに強引に捻って雷閃光を俺の異質な身体能力のみで強引に躱す。  


ズジャアアン!!と着地と同時に、両足の膂力と本能だけで、生首の目線から逃れるようにビュウウン!!!斜め前方へまたもや超高速で飛び移る!

その瞬間…コンマ一秒遅れて、ズガアアアンと2発目の雷閃光が放たれ、俺が着地した場所が爆音と共に消し飛んだ。  


今度は距離が近すぎた事もあり、衝撃波までは避けきれない。


「ぐふッ!?」


背後からの爆風に煽られ、俺は無様に地面を転がった。  

全身が痺れて動かない。

視界がぐらつく。  

こんなダメージは…あの「一連」以来の経験。


顔を上げると――目の鼻の先に、あの「雷生首」が浮いていた。


終わったか……。

俺の実力でも…何も付与されていない剣一つではここまでか…。


「……おい、お主。妾を生首だの、気色が悪いだの、化け物だの。挙句の果てには「雷生首女」とは、中々ひどい罵倒をしてくれるではないか。いや実際、妾もこの状態何とかならんかと思っておるのだがな?」


……は?俺の心、読まれてる?


「当然じゃろ。妾の血がお主に入っておるのだぞ?言わば、遠い子孫のようなものじゃからのう。」


…はぁ!?子孫!?どういうことだ!?

ていうか、浮いた生首に説教されてるこの状況、シュール過ぎないかなぁ!?

さっき殺しかけてきておいて子孫?


「おい、心の声が駄々洩れと言っておろうに。そして妾の子孫を殺すわけなかろうが。ううむ…先ほどの術式攻撃は軽い実力テストだわい。んで…お主、流石じゃ!!合格じゃぞ!!と言うか大穴に呼び寄せて落としても見たが、普通にケロリと生存してるしの。流石は【霊法術師】じゃな!!霊力が半端なく高いわい!

それにしてもお主…妾の血が入ってるとは言え…顔がそっくりすぎではないかの?これでは姉弟ではないか!!ああ勿論、妾がお姉ちゃんじゃからな!お主が弟じゃ!!」


「……は?おいちょっと待て!【霊法術式】は知ってるが【霊法術師】って何だ!?それに【術式】は黄泉鬼が使う技だろ。俺は魔術ひとつ使えねえんだぞ?」


俺が言い返すと、生首はぽかんと口を開け、目を見開いた。


「……はあああ!?霊法術師を知らんじゃと!?しかも使えない!?ええ!?それよりも黄泉鬼しか使えないとはどういう状況なのじゃ!?それよかマジュツとは何じゃ!?」


おい…まさか魔術を知らない?こんな知性を持っていて?話が噛み合わねえよ…。


「……とりあえず、その生首状態はどうにかならないのかよ。怖えって」


「おい弟おお!!生首女とはなんじゃああ!!妾の名を知らんのかあ!!…って知る訳あるまいか。良かろう!その耳でとくと聞くがよい!!

妾の名はイザナミ!!かつて『黎明の天上神』と呼ばれた者である!!

あ、霊力をそれなりに消費するから実体のない、見せかけの体を構成するわい。」


いや…いきなり弟判定されてるんだが?


そしてイザナミと名乗った生首が輝きだす。

光が収束し、首から下の体が構成されていく。……って、おい。


「服も一緒に構成しろや!!てか、なんだその無駄なボンキュッボンは!お前の願望じゃねえだろうな!?」


現れたのは、あられもない全裸の美女だった。


「おいお主いい!!それは言ってはいけないタブーじゃろ!!これが妾の本来の美貌に決まっておるわああ!……ってお主、名はハールトじゃな?ふふん、思考が筒抜けじゃぞ。」


……え、待って。マジで全部筒抜けなの?


「むふう!昨日の夜中にコソコソと男の象徴を擦っていたこともs」


「いやあああああ!!お黙りいいいいいい!!??」

別作品を執筆もしているため、大よそ3日に1話ペースの投稿となる予定です。

閲覧していただきありがとうございました。

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