高田冬子の日常その4
私は授業中ずっとカバンの中を気にしていたよ、それはもちろんレインボージュエルのことなんだけど多分これはママさんに言ったら怒られるから絶対に金輪際言わないんだけどレインボージュエルの輝きが消えることをずっと期待していたんだよ。
レインボージュエルが光ってるってことはこの近くに、多分この学校のどっかにフリージュエルがあるってこと。
まぁこんな近くにあるなんてラッキーね冬子ちゃん!
ってママさんは凄い嬉しそうに言ってたんだ。私はここ何日夏菜ちゃんと遊べてないから今日は絶対に遊ぼうと思ってたのにほんと残念だよ。夏菜ちゃんの寂しそうな顔が今でも頭の奥底にこびりついてるよ。
でもしょうがないよね、私はママさんには逆らえない、とくにコレクターとしてジュエルを探すことは絶対に。
「はぁ〜」
どうしたの冬子ちゃん?そんな大きなため息ついて。
ママさんが私の心情を知ってか知らずか知らないけど心配そうに話かけてきたよ。
「なんでもないよ〜。」
私はまたママさんに嘘をつく。
授業が終わってみんな部活に行って校舎いる人達が少なくなってきたこのタイミングで私のコレクターとしてのお仕事が始まるよ。
この学校はね〜、こんなに人数がいるのに文化部が1つもないんだよ〜。みんな運動部、汗かきベソかきみんな青春に明け暮れてるんだよ〜。
でも絶賛インドアな私はどこの部活も入らずにコレクターになるまでは夏菜ちゃん達と一緒に放課後帰宅部をエンジョイしていたんだよ〜。
だけど今の私はしいて言えばコレクター部に強制入部させられて今日もジュエル探しに勤しみ校舎内を徘徊してるんだ。
ため息をすると幸せが逃げるっていうからあんまりしないほうがいいわよ、ね?
ママさんが気づかいながら言った。
私は手に持っているレインボージュエルをみつめるよ。
人がいらないなら別にカバンに隠して置く必要がない、もちろん他のコレクターさんに見つかれるのは駄目だから誰かがくる気配や足音がしたら隠すしママさんが教えたりしてくれるからそこは安心なんだよ。
「それは違うと思うよママさん〜。」
えっ
「もし本当にため息をすれば幸せが逃げるなら生きてる人みんな幸せになってないよ〜。大企業の社長さんも〜、テレビに沢山出てる芸能人さんもみんなみ〜んなため息沢山してるよ〜、みんな貯めに貯めたものをため息として吐いてるんだよ〜。
だから溜まっていた物を吐き出して廃棄させて寧ろ幸せになるんだよ〜。」
じゃあ今ため息をした冬子ちゃんはなんかを貯めてたの?
「ママさん〜私も人だよただの人間だよ〜?いろんな物を貯めたり吐きたい時だってあるんだよ〜
。
吐いてスッキリ、出してシャッキリだよ〜。」
冬子ちゃんもいろいろ抱えているのね、いいのよもっと私に相談にてこの抱えているものを少しでも投げ捨てられるお手伝いができたら嬉しいな。
「分かった〜!その時はよろしくね〜!」
その抱えているものが現在進行系で膨らんでいることをママさんは知らない。
ママさんが投げ捨てても言いって言ってたから今手に抱えてるこのレインボージュエルを窓から放り投げてもいいのかな?
これが無くなれば私はコレクターじゃなくなる、そうすれば毎日夏菜ちゃんと遊べるいつもの日常が戻ってくる。
私は廊下の窓に体を向けるとガラガラと窓を明けた。
そして手を窓に伸ばしてジュエルを投げ落とそうとした、ママさんに邪魔される…その前に…無心で…。
冬子ちゃん…!冬子ちゃん!!
ママさんが声を荒らげ必死に訴えてくる、でももう遅いよママさん、私の決意は硬いんだよ。
ジュエル!ジュエルを見て!!
「えっ?」
私は言われた通り夕日に照らされてるレインボージュエルを見たんだよ。でもそのジュエルは照らされてはいるけど光ってなかったんだよ。
これはつまり
ジュエル回収されちゃったわね…。
ママさんは残念そうに呟いた。
「そっか〜、そうなんだ〜、残念だね〜。」
私は凄い白々しくワザとらしく言ったよ〜。
冬子ちゃんとりあえずジュエル落とすといけないから手降ろそうか。
「そうだね〜。」
私は言われた通り手を降ろし窓を閉めたよ。せっかくコレクター辞めれるチャンスだったのに〜。
私はまた大きく「はぁ‥」ってため息をついたよ。
冬子ちゃんもよっぽど悔しかったのね。
「ほんと残念だよ〜、せっかく近くにあると思ってたのにね〜。」
でも冬子ちゃん、これで1つ分かったことがあるわね。
「ん、な〜に?」
いい、よく考えてみて?もう完全下校が近くて学校が閉まるって時にまず外から生徒や先生以外の人達を入れることはまず学校側がしないしできない。
そしてジュエルは自分で現れてるけど自分では消えないのよ。でも今このジュエルが消えたってことは誰かに回収されたってことよ。
つまり。
「つまり〜?」
コレクターはこの学校にいるってことよ。
「わお〜。」
これはこれは驚いたよ〜。私以外にもコレクターがいるのはママさんの話からして分かったけどまさかこんな近くにいたなんてね。
この時私の頭の中に一つのよからぬ考えが私の頭の中に浮かんだよ。
もし本当に学校の中にコレクターさんがいるならこれからジュエル探しはその人に任せれば私は何もしなくてもいいんじゃないかって。
でもそんなことママさんにはとても言えないよ。
私はママさんにコレクターとしての私を見せるんだ。
「そうなんだ〜、それはビックリだよね〜。」
そうね、ここにコレクターがいたとなるとこれから私達の慎重に動かないといけないわね。
「ママさんは冷静だね〜、私は驚きすぎてビッくらポンだよ〜。」
いいのよ冬子ちゃんは心配しなくて、何かあったから私の言うとおりにすればいいんだから。
「…、そうだね〜、ママさんの言うとおりにすれば間違いないもんね〜。」
それじゃあジュエルも回収されちゃった事だし今日はもう帰りましょうか。
「うん〜。」
こうしてコレクターのしてのとある1日が終わったんだよ〜。
なんだかこれからいろんなことが起きて起きまくっていくけどまたこれは別のお話〜。
でも衝撃の事実!まさかの裏切り!みたいなことはないから心配しないでね。
これはこれは何気ない日常を過ごしていた人達の何気ない日常が少し変わっただけのほんのたわい無い与太物語なんだから〜。