原田夏菜の場合その3
私的にはこのジュエル探しのシステムには欠陥がある、ううん、欠陥しかないと思ってる。
100歩譲って私がコレクターとしてジュエル探しをするとしよう。
じゃあ、探そう!手掛がりはレインボージュエルの輝きだけ!
はい???そんなの無理に決まってるじゃん!?
他にヒントも手掛かりもない中で明かり1つでどこにあるか分からないゴルフボールくらいの小さいものを探せって無理ゲーすぎるよ選挙で当選して国会議員になって日本を変えるほうが簡単だよ!
ほんと夏菜はコレクター関連のことになると文句ばっか言うのよね。
「当たり前でしょ、なりたくてなったわけでも探したくて探してるわけじゃないから。」
じゃあなんで探してるの?無視して素直にお家に帰ってもいいのに?
「それはワタシが一番分かってるでしょ。」
ごもっとも。
放課後で生徒がほとんど減った校内の2回廊下で夕焼けとジュエルの光りに照らされながら私は1人歩いていた。
ワタシ曰くレインボージュエルの輝きはコレクター以外には見えないらしいから安心していいとのことらしい。
何を安心していいのかは分からない、逆にそれは暗にあたし以外にもコレクターがいるって言ってるようなもんじゃないか。
当たり前でしょ、なんで夏菜だけを特別だとおもってるのさ。
こんな広い宇宙に生命が存在してるのは地球だけだと信じているタイプの人間かい?夏菜は。
「別にそんな分けじゃないけど、だったらジュエルよりも先に他のコレクターを探して協力して集めたほうが効率いいんじゃないの?」
それはダメだ。
珍しくワタシが強めの言葉で言ってきた。それに思わず私は足を止めてしまった。
「どうしたの急に…。」
コレクターは自分がコレクターだと他のコレクターに教えちゃ絶対駄目なんだ。絶対にね。
だからホントはレインボージュエルもカバンの中に閉まっててほしんだけどさ。
「なんでよ?」
シリアスなトーンで語るワタシの言葉に無意識につばを飲み込む。
それは…、ワタシにも分からない!!!
「はぁ?何それ???」
私は思わず大きな声を上げてそう叫んだけどすぐに我に帰り周りに聞こえていかとキョロキョロ確認し誰もいないと分かるのホッとしながらため息をして力が抜けたように壁に寄りかかる。
「で、理由を説明してくれるかしら。」
だからワタシにも分からないんだよ。でもねコレクターに自分もそうだと教えるのはダメなんだってワタシの胸の中からずっと声が聞こえてくるんだよ。
教えたら大変なことになるって。
「あんたには胸なんてないけどね。じゃあ何、ワタシも私にみたいに声が聞こえてそれに従ってるってこと?」
そうとられてもいいよ。
「まさかかと思うけどジュエルを探すように私をコレクターにしたのもその声のせいとは言わないのよね。」
私にと問いに珍しくワタシは一瞬黙り込んだ。多分それが答えだ。
なるほどなーるほどそういうことですか。少しはコイツのことを分かってきたよ。
私はずっと手に持っていたレインボージュエルをブラウスの胸ポケットにいれる。
何をやってるんだい?
「他のコレクターにバレるの駄目なんでしょ?でもこの明かりがないとジュエルを探す手がかりが無くなるからカバンにも入れられない。だからあんたには無い胸ポケットに入れただけ。このくらいの明るさなら余程近づかないと分からないでしょ。」
なんだい、急にやる気を出しちゃって。
「別に、あんたに命令されて無理矢理やらされるよりはマシなだけ。」
素直じゃないんだから。
私は重い腰を上げ再びどこにあるか分からないジュエル探しの旅にでる、旅と行っても校舎から出る気はないけれど。
あっ、1つ言うこと忘れてた!
「なに…?」
レインボージュエルは取られるとジュエル探す手段が全く無くなるから気をつけてね!!
ごめんワタシ、他の人におかしく見えるけどこれだけは…これだけ叫ばせて…!
私はすぅ~と大きく息を吸い込み口を開く
「それを最初に言って!!!」




