原田夏菜のとある放課後その1
これはとある日の話。
とある日と言っても初めてジュエルを回収してから僅か5日後のいつかの話、いつかくる夏休み前の時期のとある一幕。
夏休み前といえばどんな学校、どんな学生には逃れられない一大イベントがある。
そう、期末テストだ。
それの結果によって夏休みが楽しい青春の思い出を作る最高の舞台となるか蒸し暑い教室で先生と仲良く補習授業を受けるかの運命の分かれ道を決める重要なお祭りが待ち構えてる。
この時期学生にとっては誕生日や年末年始、好きな人に告白する前のようなソワソワに襲われているのである。
じゃあ家に帰って勉強すれば〜?
「えー。」
ワタシの言うとおり家に帰って大人しく勉強をすればいい、というかそうしなきゃいけない。そのための今週1週間は午前授業なのだ。
でもしかしどうして私は広場のベンチに座って噴水のダラっと見つめているのであろう。
「だって面倒くさいじゃん。」
面倒くさいってなんだよ、それが学生の本分でしょ?今の夏菜は会社をクビになったけど家族言えず公園で時間を潰す元サラリーマンだよ。
「そうかこれがサラリーマンの気分か、まだ中学生なのに貴重な職業体験ができたよ。」
こんな嫌な職業体験私が先生だったら許さないよ。
「まあそれは冗談で家にお母さんがいるじゃん。」
お母さんは週4のパート勤務だから最低でも必ず1回平日休みになる。その休みが丁度今日。
「私が帰るとねお母さんは私に気を使って貴重な自分の時間が無くなってしまう。でも私が帰らなかったらお母さんはそんなこと言わずに自由な時間を満喫できる。
私はお母さんの為を思ってここにいるのだよ。」
よくもまあそんな屁理屈を言えたもんだよ。お母さんは自分の事を気にせず夏菜に勉強してもらってテストでいい点数を取ってもらったほうが嬉しいと思うけどな。
「その点なら大丈夫、だって私は普通に勉強できるから。ワタシも知ってるでしょ?私の成績。」
知ってるもにもずっと一緒にいるんだから嫌でも分かるよ、国語数学英語理科社会保健体育技術美術可もなく不可もなく全部平均的、びっくりするくらい普通だよ。
「驚いちゃうよね〜、自分でも笑っちゃったもん。でもまあそれはそれでいいのかなぁって。」
だったらもっと成績を伸びるように頑張ればいいじゃない。可もなく不可もなしから不可をなくして可を増やせばいいのにさ。
「不可を無くすために負荷をかけるのは良くないよ。私の容量がパンクする。」
ほら、まーた言い出したー。
「それに私は今の自分に満足してるのだよ。例えば普段普通盛りの定食があって私はそれに満足している。ある時気が向いて大盛りを頼んでみた。確かに最初はいつもより量が多くて喜んだけど普通になれてた私の身体は次第に入り切らなくなり喜びが苦しみに変わり定食も残してしまった。
私そんな思いをしたくないんだよ思いも重い必要以上はいらないんだよ。」
勉強はいくら蓄えても溢れ出さないし残す事はないと思うけどな。そんな屁理屈言える頭脳があるなら夏菜はもっとやれるはずなのに。
「ワタシは私を過信しすぎなんだよ。」
私は学校で買っておいた水を飲むためにカバンの口を開けると中が昼間でも分かるくらいに光り輝やいている。
その瞬間私は速攻に手早く口を閉じ立ち上がる。
「ま…まあそこまでワタシが言うなら偶には勉強してみようかなー!」
ねぇ、夏菜?
ワタシが白々しい私に問いかけてくる。
「なんだいワタシ?私は今から勉強しなくちゃいけないんだ!」
良かったね、勉強しない理由ができて。
「いや、私は勉強する。そうワタシだって言ってたじゃん!今の私の決心は硬いよ!」
勉強はいつでもできるよね。でもジュエルはもたもたしてたから別のコレクターに回収されちゃうよね、
丁度いいじゃん、夏菜は勉強したくなったんだろ?いい口実ができて良かったじゃん。
「だから私は…!」
夏菜、ジュエル探し、しましょうか?




