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スライムスレイヤー ~イシノチカラ~  作者: 亜形
第六章 ダンジョン編

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第89話 見張りの順番

 スレーム・ガングの5人は都市ヨゴオートノ管轄区域の堺である関所に到着した。

 山脈間を繋ぐように数十Kmに及ぶ高い壁で塞がれていて壁に覗き穴のような小窓があちこちに見える。壁の内部には関所で働く衛兵の詰め所や倉庫などの部屋があるようだ。関所の門以外に先に進む道はない。


 関所の門前には大勢の人が並んでいた。


「メルクベル方面から俺たちを抜いて行った馬車ってそんな多くなかった気がしますけど、並んでる人多いですね」


「メルクベルから来てる人だけじゃないからね。

 ラギアサタから来てる人だっているし、クエストに出てた討伐者もいるはずよ」


「そっか」


 少し離れた場所に大きい建物がある。そこからメルクベル方面に鉄道が敷いてあり、付近では駅も建設中のようだ。


 セキトモは大きい建物を指さした。


「あの建物の中に蒸気機関車ってのがありそうだな?」

「マジ?」


 トウマとイズハはすぐさま反応して走って建物を見に行ったが、途中で建物周りを警備している衛兵に止められ肩を落としながら引き返して来た。


「ダメでした~。見せて貰えなかった」

「残念っす」

「わはは。そりゃ、そうだろう」


 都市ヨゴオートノには海側以外では関所を通らなければ向かえない。なので都市の入り口ではなく関所でパスを確認しているようだ。


「海側も一部の箇所からしか上陸できないらしいわ」


「山脈を登れば入れそうですよね?」

「あの切立った崖みたいな山脈を? トウマ凄いなぁ~、行ってみれば?」

「セキトモさん、真面目に答えないで下さいよ」

「真面目に答えたように見えた? わはは」


◇◇


 順番待ちで時間はかかったもののパスは全員持っていたので難なく関所を通過。関所を通過すると宿場町に入った。都市まで急いでも2日はかかるようなので一同は宿場町で一泊していく予定だ。


 店先や露店ではテントやシート、薪、携行食など野宿用の品が置いてある店が多い。移動中の夜は街道脇で野宿することになるので需要があるのだろう。ヨゴオートノ管轄区域内にオドブレイクはないようだ。


 とりあえず、一同は巨大烏討伐の報告でギルドに寄った。東大陸にあったような広さの普通のギルドだ。


【巨大烏討伐依頼 難易度C】

 討伐報酬 60万エーペル


【魔石換金報酬】

 魔石・中 1個 5万エーペル

 魔石・小 36個 18万エーペル(道中のモンスター討伐分)


 合計 81万エーペル。

 分け前は一人15万ずつにして、残りはパーティー管理費に回す。


 クエストの掲示板を見ているロッカは残念そうだ。


「んー、都市管轄区域内の街道に近い場所はクエストなさそうね?

 高難易度のクエストがあるのは街道から離れた場所か関所の外側だけみたいだわ」


「討伐者は多いようですから近い所はすぐになくなるのでしょうね。

 今回はクエストが目的ではないですし、受けずに都市を目指しましょう」

「仕方ないか」


◇◇


翌日-----。


 一同は早朝に宿場町を出発した。

 道中はモンスターと戦闘することもなく穏やかなものだった。


 俺たち的にはね。

 ロッカが見つけてすぐに倒して来ちゃうから出番なし。

 まあ、スライムみたいだけど。

 虫なら沢山いるからすぐ擬態できそうなもんだけど質量増やしたいスライムが多いんだろうな。

 ロッカが荷台にいるときがチャンスなんだけど全然モンスター見つからないや。

 ロッカはよく離れた場所のスライム見つけられるよな?

 半透明で見つけづらいのに。(※馬次郎が見つけています。)


 今回、夜間は街道脇で初めての野宿になるがオドブレイクではないというだけだ。夕刻が近づくと道中で休みやすそうな平地を探し、野宿する場所を決めた。


 改良された馬車の荷台の帆布はかなり広く、左右を外して広げることができるようになっている。帆布も軽くて丈夫なモンスター素材だ。雨水も弾く。

 帆布の四隅にパイプ棒を立てると日差しや雨よけになる簡易休憩所のできあがり。

 パイプ棒は抗魔玉の粉を混ぜた塗料でコーディングしてある。馬車の荷台も同様に半透明っぽい塗料でコーティングしてあるので多少のモンスター除けにはなっているかもしれない。


 簡易休憩所は荷台を中心に左右に広い範囲の屋根ができる感じで、テーブルを置いたり、テントを張るスペースも確保できる。前後は空いてるが、四隅の帆布の高さを地面に近づければ大きなテントのようにもできる。

 博士はここまでやっちゃったのだ。


 雨の時は馬次郎に何か被せてやらないとダメだけどテント形態なら個別にテント張る必要ないかもな?

 それと、馬が立ったまま眠ることができるなんて知らなかった~。


「こうなると椅子も欲しくなるわね?」

「荷台はこれ以上軽くはできないみたいですし、

 椅子を人数分用意すると更に重くなりますので馬次郎の負担を考えると・・・」

「そうね。まあ、なくてもいいか」


 早めの夕食を済ませ、各々が自由な時間を過ごして日が暮れた。


◇◇


 夜の就寝時間中は魔石ランタンをテーブルに一つ置き、二人組で見張りを立てることになった。5人いるので1時間で1番の人が交代。あとは一人2時間の見張りの繰り返しにすれば均等になるだろうという話だ。10時間で最低2回は順番が回ってくる。断片的になるが6時間は休めるようだ。


 ロッカとバンが先に見張りをすると名乗りを上げた。1番がロッカで2番がバン。

 トウマは、俺が3番目で行きますと言った。

 イズハは、では自分が4番目でと言った。

 最後に残ったのがセキトモで5番目となった。


 今回の見張りの順番は

 1.ロッカ、バン

 2.バン、トウマ

 3.トウマ、イズハ

 4.イズハ、セキトモ

 5.セキトモ、ロッカ

 を2周といった感じだ。


 皆、体を動かしているからか寝つきはいい。遠征する討伐者は短い時間で回復できたほうが有利らしく必要な要素の一つだとか。


 そういう意味では俺たちは優秀かもな。


 就寝するとトウマはすぐにロッカに起こされ見張りの番が回ってきた。

 起きているのはトウマとバンだけになった。他の人の睡眠を妨げたらダメなので二人は静かに見張り時間を潰した。たまに周回してまわりの様子を確認するくらいだ。

 バンはトウマにコーヒーを煎れて渡すと、あとは持ってきていた本を読んでいて静かなものだった。

 トウマはしばらく夜空の星を眺めていた。退屈だったのでブーストの練習をしたりもしてみた。


 雨降ってなくて良かったよ。

 見張り時間が2時間なのはちょうどいいかもな?

 あまり長すぎると退屈で眠くなりそうだ。


 次にバンと交代するイズハが起きて来た。


「結構、早く回ってくるっすね?」


 実はこの順番、休める時間の合計は6時間で平等という話だったが、1、2、5番目の人は3時間休める時間が2回。3、4番目の人は3時間休める時間が1回しかなく、残りが1時間休みと2時間休みに分かれる。

 見張りの回数としては1番目の人だけ3回回ってくるが見張り開始と終了前の1時間なので大した苦とは言えない。遅寝早起きと考えれば夜間の見張りは2回で一緒だ。


 □:見張り ■:就寝

 1.□■■■□□■■■□

 2.□□■■■□□■■■

 3.■□□■■■□□■■

 4.■■□□■■■□□■

 5.■■■□□■■■□□


 3番、4番のトウマとイズハは自らハズレを引いたわけだ。率先して手を挙げたロッカとバンは知っていたのだろう。

 そんなことをトウマとイズハは地面に小石を置きながら話していた。5個の小石であーだこーだ。頭の悪そうな会話だったのは間違いない。

 二人は就寝しているロッカに「うるさい!」と怒られた。


 まあ、寝る時間は短くても大丈夫なんだけどね。

 眠たければ昼間の馬車に乗ってる時間に寝ればいいだけだし。


 ・・・よし、やっぱ次から見張りの順番はくじ引きにしてもらおう。


 一同は見張りを交代で繰り返したが何事もなく朝が来て都市を目指し再出発した。


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