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スライムスレイヤー ~イシノチカラ~  作者: 亜形
第六章 ダンジョン編

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第85話 都市ヨゴオートノ

 中央大陸の北西に位置する都市ヨゴオートノ。豊富な資源で工業が盛んであることから工業都市とも呼ばれている。

 ヨゴオートノへの陸路は大きな関所の門を通らなければ管轄区域にすら入れない。関所周りは数十Kmに及ぶ高い壁で塞がれていて関所以外からは入れないのだ。管轄区域の両端は隆起して切立った高い山脈に囲まれている。関所周りが壁で塞がれているので他に都市に向かえる路は海側しかない。


 現在、ヨゴオートノとメルクベルの都市間に鉄道を引く工事が行われているが関所を貫通して引いている訳ではない。駅は関所の外側に建設予定のようだ。


 元々ヨゴオートノの管轄区域は周りに天然の城塞壁を持つ国であった。管轄区域の中心に城が残っており、城下町を含めて竹を斜めに切ったような『そぎ』の形状の城壁で囲まれている。この城壁で囲まれた場所が今では都市と呼ばれているのだ。城壁の入口は南側の門一カ所しかない。


 国であった当時の国王の名はヨーゴ。国の名はオートノ。

 天災で多くのものを失った国王は災害の復旧を優先させた。王は有能な人材を各所に手配し終えると、後継を作らず身を引いて国を解放したのだ。

 復旧させた城は今、都市の中枢機関が利用している。

 この元国王ヨーゴの功績をたたえて都市の名は『ヨゴオートノ』になった。


 だが当時の王の臣下の者は知っていた。楽しいことは面倒なことでもやる王だが、それ以外はやりたがらない性格だということを。王は全ての責任を負って国を奔走するのが面倒になり、投げ出したのだと。


 ヨゴオートノ管轄区域の関所付近には宿場町があるが炭鉱夫も多く住んでいる。炭鉱夫たちは山脈の崖に穴を掘り、様々な鉱石を掘り出しているのだ。それは昔から続いており各所で掘った穴が洞窟と繋がって、時折、太古の迷宮が発見されている。

 天災以前は発見された迷宮に太古の遺産目当ての探検家や冒険家が潜っていたようだ。


◇◇


 ユニオン・ギルズ。

 ギルをリーダーとした討伐者パーティー4人はヨゴオートノ都市内にある鍛冶屋の工房を訪れていた。現在、武器のパイオニアであるワイルド・ライツに並ぼうとする有名な武器を作っている名工ベル・ウルフ工房である。


「おっさん!

 俺の2スロットタイプの剣は炎熱剣に耐えられないのか?」


 ギルが剣を見せて話しかけたのは名工ベルウルフ本人だ。


「いきなりだな。ふむ、その剣はお前の手に渡っていたか。

 それでは炎熱剣は無理だろうな。

 真魔玉【赤】を着けるつもりならワイルド・ライツ製を選んだほうがいい」


「あいつらの言う通り、やっぱ炎熱剣には耐えられないか・・・」


「まあ待て、その剣に真魔玉【青】を着けるというのなら話は別だ。

 火耐性は無理だったがその剣には冷耐性がある。

 その剣は炎熱剣に対抗してワシが凍結剣仕様として作った作品だ」

「は? 凍結剣?」

「凍結剣は熱を奪いながら切り進み切り口が凍る。

 凍結したモンスターの部位はやがて崩れるが追い打ちで凍結した部分を叩き割ってもいい。叩き割っても壊れない頑丈な作りにもしてある。

 説明書きに書いてあっただろ?」

「!!!」


 カリーナは呆れ顔だ。


「ギル、あなた確か飾ってある剣を持ったまま買ったわよね?

 お金払ってすぐに試し斬りに行こうって出て行ったし。

 あのとき、説明書き貰ってないわ」

「そうだったっけ? はは、覚えてねーな」

「もう! でもわざわざここまで来たかいがあったわ。

 ギルの剣は買い替え必要ないってことよね?」

「そうだな。気に入ったのが一番だが他の剣より高かったんだ。

 高かった理由が納得できたぜ。俺が探すのは真魔玉【青】ってことだ!」


 サイモンは眼鏡を直した。


「ここまで来たんですから真魔玉も手に入れて帰りましょう」


 タズがギルに抱き着いた。


「癒しのロッドもあったんです。きっとあります!」

「タズ、癒しのロッド300万もしたの忘れてねーからな」

「それは忘れてくださ~い。

 サイモンさんだって新しい槍と盾買ったじゃないですか~?」

「私のはタズと違って自費ですよ」

「なら、私は今後の働きで返します!」

「そこは金で返せよ!」


「うー。ではギルさんだけ治療費一回5万エーペルになりま~す」

「おい!」

「あはは、タズ言うようになったわね」


 サイモンは苦笑した。


「真魔玉【青】を探すとして、これからどうしますか?」

「ひとつ確実にある場所があるだろ?」

「まさか大会に参加するつもりですか?」


 都市にある城の前に建設されている闘技場。ギルはその中の一つの催しの大会の賞品として真魔玉【青】があったことを思い出したのだ。


「あの大会で勝てば確実に手に入るだろ?」

「確か参加費用が一人10万エーペル。

 闘技場内に解き放たれたモンスターを倒す催しだった気がしますが。

 多くの魔石を手に入れた討伐者に賞品が授与されるとかの」

「勝てなかったら10万の損失よ。

 モンスター倒して手に入れた魔石換金しても割に合わないんじゃない?」

「でも勝ったら真魔玉が10万で手に入る。だろ?」


「お前らいつまで喋ってんだ。用が済んだならさっさと帰れ!」

「すみませ~ん。うちの者がご迷惑をお掛けしました。皆さん、行きますよ!」


「タズに言われるとはな。わはは。

 おっさん、ありがとよ。この剣大事に使わせてもらうぜ!」

「ふん。説明書きも見とらん奴がよく言うわい」


 早速、ユニオン・ギルズの4人は闘技場に向かった。


◇◇


 闘技場では何やら開催されているようで場内が騒がしい。


「大会の開催日は明日みたいだ。ギリギリで登録間に合ったぜ。

 俺含めて参加者は10名らしい」

「何か行き当たりばったりばかりね」

「いつもの事です!」


 4人はギルが貰って来た内容が記載されているビラを読んだ。


――――――――――――

 討伐部門 第397回 『真魔玉【青】を手に入れるのは誰だ?!』


 優勝賞品:真魔玉【青】


 一回戦:小型爪猫20体。

 二回戦:小型牙犬20体。

 三回戦:中型爪猫と牙犬が5体ずつ。

 合計50体のモンスター。


 三回戦終了後に一番多く魔石を持っていた者が優勝。


 ※尚、手に入れた魔石はお持ち帰りいただけます。


 規定詳細:

  回戦が終わる毎に休憩時間があるので控室で治療は可能。

  使用する武器は公平を期す為、運営側で用意した物を使用して頂きます。

  etc...

――――――――――――


「この魔石を持っていた者っていうのが厄介だな。

 モンスターを倒したやつと拾ったやつが異なる場合がありそうだ」

「速い人が有利です。横取りですー」


「種類は選べるようですが使用する武器は量産品の物を支給されるみたいですよ」

「回戦ごとに抗魔玉の交換はできるが予備の持ち込みは禁止。ってことはモンスターを倒せるのは抗魔玉の力が残っている間だけか。この大会は数を倒す必要があるからブーストは使えないな」


「参加者同士で戦うのは禁止になってるけど、これって参加者の命は保証されていないんでしょ?

 もし参加者全員の力が切れた状態でモンスターが残っていたらどうするのかしら?」


「力が回復するまで逃げるんじゃないですか?」


「見せ物としては面白いのかもしれんが、やるほうはたまったもんじゃねえな。

 まあ、参加するのは俺だからな。力が切れる前に倒し切るさ!」


「私だったらギルさんが倒したモンスターから魔石を全部横取りして行きますー」

「そうか、倒したモンスターから魔石を回収するまでは離れられんってことか。

 単純に斬り倒していくだけとはいかないようだな」


「でも、これだけの生き物を取り込ませてモンスター化させてる主催者はイカれているとしか言えないわね?」

「捕獲クエストもあるから生け捕りにしたやつかもしれんぞ。

 まあ、どっちでもいいだろ?

 大会は興行としてやっているんだ。俺たちがとやかくいうべきじゃないぜ」


「今思ったのですが複数人で参加すれば協力し合えたのでは?」

「なに? サイモン、それを早く言えよ」


「あ、書いてあるわ。同じチームとして参加できるのは3名までだって。

 支給された武器と抗魔玉の交換は禁止になってるみたいだけど」

「参加者が全員チームなら俺以外で出場者9名だから少なくとも3チームいるわけか・・・」

「参加上限人数15名なので私たちも参加しようと思えばできたようですね」

「でも3人出たら出費は30万よ。勝つ自信がなきゃ出ないでしょ」


「ギルさん負けちゃいますね」

「ぬおおお~」


「条件を確認してないギルが悪い」

「ぬおおお~」


 ギルはダメ元で受付に追加で大会に参加登録できないか確認に行った。

 しかし、締め切り時間が過ぎていた為、ダメだったようだ。


「ぬおおお~」


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