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スライムスレイヤー ~イシノチカラ~  作者: 亜形
第五章 狩場の山編

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第76話 ブーストの反動

 トウマが蜘蛛に対して炎熱剣で解放した抗魔玉の力はブースト3倍だった。それは真魔玉【赤】との相乗効果により3×2の6倍の攻撃力を意味する。この時、トウマはスレーム・ガング内の最大火力を叩き出したのだ。勿論、モンスターに対しての最大火力という意味だ。使用した武器、熟練度や身体能力の差は加味していない。

 バンはブースト5倍まで出せるが真魔玉を使ったロッドは特殊効果のみの為、相乗効果はない。ロッカはブースト4倍まで出せるが真魔玉の相乗効果は使っていない。

 仮にバンがトウマの炎熱剣でブースト5倍を出せば10倍の攻撃力となり、ロッカも同様で8倍になる。

 能力の違う武器で比較するものではないがトウマが炎熱剣で使ったブースト3倍は現状のロッカやバンの最大火力に匹敵する力だった。


 蜘蛛は倒せたものの魔石は谷底に落ちて行ったので残念ながら回収できなかった。

 ロッカとイズハが先に橋の上に引き上げられ、最後にトウマが引き上げられて全員無事。『巨大蜘蛛討伐』成功だ!


◇◇


「俺、さっきので何か掴んだ気がします。

 今回はどうやったかハッキリ覚えているし」


「トウマ、忘れないうちにもう一度やってみせて。

 今度は炎熱剣じゃなくて通常で構わないわ」


 蜘蛛との戦いでトウマの剣の抗魔玉の力は約5分、真魔玉の力は3回分消費したが橋の上に戻るまでに時間を要したのでフル状態に回復している。


「分かりました。じゃ、いきますよ」


 トウマは剣を鞘から抜いて一息ついて集中した。周りにいる皆が息をのんでそれを見つめた。


 うっ、皆に見つめられてると集中できないよ・・・。


 トウマは目をつぶって集中し直した。


 周りの音が聞こえなくなるまで集中するんだ。


 トウマは剣を上段に構えた。


 蜘蛛が直ぐそこにいると思え、あの時の状況をイメージするんだ。

 集中、集中—――――。


 少し経つとトウマはにわかに汗ばみ出した。すると剣の刀身の白い輝きが僅かに膨らみ揺れ出す。

 トウマは蜘蛛を一刀両断したときを思い浮かべ、剣を勢いよく振り下ろした。トウマが目を開けると剣の白い輝きが炎のように揺らめいていた。


「できた!」

「「おー」」


 ロッカは真剣な表情でバン見やるとバンも同様で互いに頷いた。二人にしか分からない意思疎通があったようだ。


 トウマのブーストはすぐに解けた。


「あれ? 解けた」


「集中切らしたからよ。

 確かに解放できてたわ。今のはブースト2倍ってところね」


 セキトモは興奮気味だ。


「トウマ、凄いじゃないか! ついに意識して出せるようになったな!」


「はい! やっとできるようになりましたよ~」


「でも、発動までに時間かかり過ぎ。

 目つぶってたし、剣振り下ろしてたし、まだ実戦では使えないわね」


「うっ、それは、こ、これからですよ。コツは掴んだし」


「うふっ。そうですね。

 トウマさんが自在に出せるようになるのを楽しみにしておきましょう」


◇◇


 一同は設置したロープを回収して待たせている馬次郎の元に戻った。立ててある看板に済のマークとパーティー名を書き込み、討伐が終わっていることを示しておく。


 トウマは興奮が落ち着いた途端、急に頭がぼーとして身体が重く感じ出したようだ。


「あれっ、なんかめっちゃ疲れてる感じがしてきた・・・」


「やっぱり反動きたみたいね。短い時間で2回使ってるし、普通はそうなるのよ。

 ブーストの練習は万全なときにやって慣れていくしかないわ」


「これがブーストの反動かぁ。大して動いてないのにこんなに疲れるのか。

 今ならロッカがあまり使わないのが分かる」


 セキトモとイズハが顔を見合わせた。


「ブースト使えるのうらやましいけど、一長一短みたいだな?」

「そうっすね。使えてもその後が大変そうっす」


 一同は峡谷に掛かる橋を渡り、街道を下って狩場の山近くにあるオドブレイクを目指した。


◇◇


「この調子で進めば暗くなる前に余裕でオドブレイクに着きそうね」


「狩場の山ってそのオドブレイクの近くにあるんですよね?

 どんな所か知ってるんですか?」


「私たちも行ったことがないので詳しくは分かりませんけど、狩場の山は何故だかモンスターが多いらしいのです。地形的に雨が降りやすいのかもしれませんね」


 峡谷の先は南東の海岸側が山々に塞がれていて、狩場の山はその手前に広がる平地の中央付近にポツンとある比較的なだらかな高さ100mくらいの小さな円錐台の山である。頂上に向かうほど傾斜はきつくなっていくようだ。


 しばらく経つと目的のオドブレイクに到着した。オドブレイクは2mくらいの高さのブロック塀で囲まれていた。敷地は普通のオドブレイクの2倍以上ある広さだ。吹き抜けだが敷地の両端には雨水が外に出るように傾斜をつけた木造の屋根が設置してあり、オドブレイクに隣接するように衛兵用の宿舎も建てられているようだ。

 討伐者が多くいるようで少し中が騒がしい。


 皆が馬車から降りて中に入ろうとすると、入口の衛兵に呼び止められた。


「馬車はあっちに止めてくれ。テントは端の屋根がある場所にも設置していいが岩の上に予約札が置いてある場所の周囲10m以内には設置禁止な。

 場所を予約したいなら一日銀貨1枚。千エーペルで予約できるぞ。

 あと、人通りが多い中央付近にテントは設置しないでくれ」


「分かりました。有難うございます」


「ここを拠点として長居する討伐者も多いからな。設備もそれなりにあるぞ。

 まあ、いちいち説明するわけにもいかないから自分たちの目で確かめてくれ」


 一同はオドブレイク内に入った。中央は石畳の道で奥の倉庫まで真っすぐに続いていて建物は3つあるようだ。道の両脇には排水用の細い溝まで掘ってある。それと、テントを張れる広場には20~30mおきに平たい岩や丸太が置いてあり、討伐者が座っていたり物を置いたりしているようだ。


「なんだここ? ちょっとした集落ですね。

 露店開いている業者もいるし。売ってるのはポーションとか道具関連のようだな」


「早速、見て回りたい衝動が・・・」

「僕らは先に野営する準備だよ。いきなりどっか行くのなしだからな、イズハ」

「わ、分かったっす」


 馬次郎を指定された屋根がある場所に連れて行った。多くの馬車が停めてあり衛兵が巡回しているようだ。


 巡回している衛兵が声をかけてきた。


「馬車はそこに停めてくれ。

 専属がいるから費用を払えば預かるだけでなくここを出るまで馬の面倒も見るぞ」


「じゃあ、あとで依頼に来るわ」


「分かった。そのときはこの辺にいる衛兵に声をかけてくれ。

 まあ、2日経っても戻って来なかったら死んだと判断されて預けてあるやつは全部売り飛ばされるからな。気をつけろよ」


 一同はテントを設置する為、奥の倉庫に向かった。


「これだけ人が多いと貸し出し用のテント残ってるか心配だな」


 倉庫に着くとテントも食料も十分に用意してあることが分かり安心した。衛兵に聞いたところ倉庫の右にある建物は小ギルドで最低限の武器防具も揃えてあるらしい。左にある建物は男女別にしてあるトイレとシャワー室とのことだった。井戸があるので水がふんだんに使えるようだ。


「ここ暮らせますね~」


「シャワーがあるなんて助かるわ~。

 手拭いで身体拭くのも面倒だし、髪が洗えるわね?」


「小ギルドがあるって言ってましたね?」


「すぐに報酬が受け取れるように狩場の山専用で作ったのかもしれませんね」


「周りに建物が増えればここ村や町に発展しそうじゃないですか?」


「それはないんじゃない?

 危険な狩場の山が近くにあるし、それ目的で討伐者が多いってだけよ」


◇◇


 テントを張る場所を確保したらいつものように作業分担だ。トウマとセキトモ、イズハでテント設置を開始した。しばらくすると、ロッカとバンはやはり大量の食料を買って来た。


「ついでにシャワー室見て来たけど凄いわよ。

 皮むいた魔石を燃料として入れると温水になる設備だったわ。

 温度も自分でダイアル回して調整できるみたい」


「マジ?!」


「1個で長く使えるみたいだし、魔石切れのタイミングじゃなかったらタダで温水使えるわよ」


「魔石投入は高いかなと一瞬思ったけど、それならいいね。

 他の人が入れた後に使うのは何かセコイ感じするけど。

 燃料切れのタイミングに当たったらそういう巡り合わせってことだな」


「セキトモさん費用とかよく気にしますよね?

 魔石なんてスライム倒せばすぐ手に入りますよ」


「節約して生活してたから気になるんだよ。

 些細なことだけど気にしてないトウマのほうがおかしいぞ」


 イズハも頷いた。


「そうなの? でも高いか安いかくらいは俺だって」


「バルンでは高い宿に泊まってたのに気にしてなかったろ?」


「うっ、それを言われると・・・このままではマズいとは思ってましたよ」


「まあ、人それぞれだな。わはは」


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