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スライムスレイヤー ~イシノチカラ~  作者: 亜形
第一章 バルンバッセ編

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第7話 沼地の巨大蛙

 トウマは沼地に足を踏み入れている。眠っている巨大蛙を沼地の中から平地におびき寄せる為とはいえ泥で足がどんどん重くなってきている状況だ。


 歩き辛い、これ逃げるとき走れるのか?


 少し前、3人で巨大蛙を倒す作戦を考えた内容はロッカが沼地に点在している岩場を渡り、蛙の近くまで行く。眠っている蛙に石を投げつけて起こす。トウマを蛙の視界に入れて沼地から戦いやすい平地におびき寄せるだ。トウマの 「俺も岩の上にいたらダメなんですか?」という問いは「蛙に捕らえられると思わせないと食いつかないからダメ」と却下。「身軽なロッカがおとりになっては?」というトウマの意見には「泥で足が汚れるのはイヤ」だと。


 わがまま娘め。


 とにかく沼地ではまともに戦えないので蛙を引き連れて平地に誘い出すのが最優先との事だ。平地に誘き出せたらバンが迎え撃つ手筈になっている。


 配置に着いたトウマは手振りでロッカに合図した。ロッカは僅かな音しか立てずに岩を次々に飛び渡って蛙に近づいて行った。


 あれは俺にはマネ出来ないな。


 ロッカは蛙近くの岩まで行くとすぐに持っていた石を投げつけた。


「ゲコ!?」


 蛙は起きたようで辺りを見渡し始めた。ロッカはいち早く岩場を飛んで平地のほうへ向かった。


「あとは頼んだわよ!」


 ロッカはトウマにウインクをして去って行った。トウマは蛙の気を引くように大きく手振りする。


「こっちだカエル! 来いよ!」


 蛙はトウマに気づいたようだ。


 さあ、鬼ごっこ開始だ! 平地まで逃げ切るぞ。


ビョ~ン! ”ドシャ!”


 大きく飛躍した蛙はトウマの直ぐ近くに降り立った。降り注ぐ泥の飛沫の中から姿を現す。


「ヤバっ、何て跳躍力だよ」


 トウマは泥まみれになりながらも平地に向かって全力で走り出した。


「うぉーーーーーー!」

「トウマ、急いで!」


 あと少しで平地に着きそうなところでトウマは何かに身体を巻き付けられた。


「うわっ! な、なんだ?!」


 トウマの身体に巻き付いて引っ張ったのは蛙の伸びた舌だ。トウマは沼地に引きずり戻されていった。必至になって抵抗するトウマだが踏ん張りの効かない沼地ではズルズルと引っ張られるばかりだ。その状況を見て引き返して来たロッカが岩の上から飛び降り様に伸びた蛙の舌を短剣で斬りつける。怯んだ蛙は舌を放して元に戻した。トウマは泥まみれになりながらも身体を起こす。


「ハァ、ハァ、今のは食われるかと思った」


「トウマ! 無事?」

「大丈夫です。助かりました」


 二人は急いで沼地から平地に飛び出した。蛙はまだ二人を追って来ている。


「もう一回飛んで来そうだわ。もう少し離れるわよ」

「はい!」


ビョ~ン! ”ドシャ!”


「ゲコっ!!」


 蛙はまた大きく飛んで来たが蛙が降りた地は沼地ではなく平地。少々手間取ったが作戦通り蛙を平地におびき出すことに成功したようだ。


 さあ、ここからは反撃の時間だ!


「バン、出番よ!」


 バンは蛙の近くにある岩の上だ。2mほどの大きな鎌のような武器を持って仁王立ちしている。まるで死神の鎌、刀身は薄白く輝いている。それは包で覆われていた長物の中身だ。トウマは折り畳み式になっていた刃を本来の鎌の形に変形させて見せてもらった時にも驚いたがその長く重い武器を軽がると扱うバンにも驚かされた。長い柄はしなるように出来ているので重い大鎌の刃を狙った所に振り下ろすのは難しい。だが、当たればその分強く重い一撃となるようだ。


”タッ!”


 バンは蛙の正面から少し逸れて左側へ向けて飛んだ。背中越しに両手で持った大鎌を力強く振ると長い柄がグググっとしなり大鎌の刃が遅れてやって来る。


「ハッ!」


”ズバンッッッ!!!”


 蛙の背中辺りの広い範囲が斬り裂かれた。蛙は悲鳴をあげてひっくり返り腹を上にした状態でもがいている。


 よし、今ならひっくり返っているし俺も蛙に攻撃できるぞ。


「トウマ、待って!」


 蛙に向かおうと剣を抜いたトウマをロッカは制した。バンは振りきった大鎌の勢いを殺さずクルクル回転しているようだ。そのまま旋回して蛙に向けてもう一度飛んだ。空中でもう一回転!


「ハアーーーーッ!」


”ズバンッッッ!!!”


 バンはひっくり返った蛙の腹側の広い範囲を斬り裂いた! 蛙は身の部分を残し上下を薄く切り落とされた三枚おろし状態だ。泥が着いて分かりづらいが切断面は肉がなく粘土が詰まったような感じに見える。バンに腹を斬られた蛙は元の正面に戻って這いつくばった。


「今よ、トウマ。行って!」


 トウマは蛙に向かって走った。バンは目が回っているのか大鎌を手放し片手で頭を押さえている。


「トウマさん、あとは宜しくお願いします」

「了解です!」


 トウマは動けない正面を向いた蛙の頭に飛び込んだ。


”ズバッ!!!”


 蛙を縦に一刀両断! 蛙はあっけなく霧散していく・・・。蛙は複数の魔石を落として消えていった。 『巨大蛙討伐』成功だ!


「蛙倒せたー! やりましたよ!」


「トウマが蛙に捕まった時は冷や冷やしたわ。

 見てよ、こんなに服汚れたじゃない。もう!」


 それ俺のせい?


◇◇


 しばらくしてバンが泥だらけで厚みのある風呂敷を畳んだような物を拾って来た。


「やっぱり残っていました。どちらかの部位は残ると思っていましたがこんなに広い蛙の皮が2枚とも残るなんて幸運です。この皮はゴムのように伸縮性があるんです。もっと小さい素材は知っていたのですがこれほどの広さの物は滅多に無いですよ」


 それってあの上下切り落とした蛙の皮?

 バンさん、狙って蛙の皮剥ぎやったの?


「ちょっとバン、これ見てよ! 私の服泥だらけなんだけど」

「うーん、それは・・・仕方がないですね」

「バンは少ししか汚れてないじゃない」


 二人とも俺が一番ひどい状態なの分かってる?


「あ、そうそう。見て、この大きい魔石が多分蛙のだと思うけど他にもこんなに魔石落としたのよ」

「どうやら他のモンスターも食べていたようですね」

「バンもそう思う?」


 どうやら蛙は他のモンスターを食べて巨大化したようだ。モンスターは絶命すると霧散してしまうので食べようがないと思われるが体内に取り込んだ後に絶命させたのならば食らったモンスターに吸収されるとか。そして質量が増えた分だけモンスターは大きくなるようだ。


「蛙が付近のモンスターを取り込んでいたとしたらこの辺りにはモンスターはいないかもしれませんね。周囲を警戒する必要なさそうですしお昼にしましょうか?」

「賛成~」


 お昼? バンさん切り替え早いな。

 そういえば腹ペコだ。なんかどっと疲れが出てきた。

 思い返すとゾッとするな、下手したら俺、死んでたぞ。


 バンは背負い袋から第3のロッドを取り出した。手の甲側に伸縮性がありそうな袋のような物がついた武器だ。


 何だあれ?


「本来の用途ではないのですがまずは身体を洗って泥を落としましょうか?

 少しチャージする時間を下さい」


 何のこっちゃ?

 ロッドに付いている袋の部分がぐんぐん膨らんでるような気がするけど。


 バンはロッドの先に何かの部品を取り付けてロッドをゆっくりと傾けた。本来の用途ではないと言っていたがしっかり別の用途で使おうと準備していたかのようだ。


 ロッドの先から噴き出した水が雨のようにこぼれ落ちる。


”サーーー”


 え~と、それって花に水あげるときとかに使うやつだよね?

 『じょうろ』?

 あの袋の部分に水が溜まっていってたのか。

 そんな事もできるんだ。


「トウマ、泥だらけで汚いから先に洗っていいわ。

 一人真魔玉の力3回分までよ」


 あら、ロッカさん。お優しい。よく分からんけど、3回分ってことは約3分くらい出る水の量ってことかな?


 バンにじょうろを持って貰ったまま、トウマは頭から全身に水を浴びて泥を洗い流し始めた。


 バンさん、更に魔法使い感が増したかも。

 あ~、気持ちよ。寒い時期じゃなくて良かった。


「トウマさん、この水は飲んではいけませんよ。

 抗魔玉の力が残っているうちに飲むと下痢になります」


「え? マジですか?!」

「あ~、言っちゃうかなぁ~」


 おい、ロッカ! 俺を下痢にさせる気だったのか?

 バンさん? あなたもシマッタ、みたいな顔しないで。


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