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スライムスレイヤー ~イシノチカラ~  作者: 亜形
第五章 狩場の山編

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第74話 妙にやる気出してない?

 『巨大クワガタ討伐』は予定より随分早く終わったようだ。そこで難易度Dの『爪猫5体討伐』もやって行くことになった。

 難易度Cの『巨大蜘蛛討伐』に挑む前に少し寄り道だ。


「クエストに挑むのは一日1回でもいいと思いますけどね。やり過ぎじゃ?」

「物足りないのかもよ。クワガタはロッカ留守番だったからね」


「トウマ、セキトモ。聞こえてるからね」


 御者のイズハ以外は全員馬車の中にいるのだ。耳打ちでもしない限りコソコソ話も聞こえてしまう。


「私たちには時間がないのよ。

 一つでも多くのクエストをこなして経験積んで行かないと強くなれないわ」


「どういうこと?」


「それは・・・」


 ロッカは話すのが面倒になったのかイズハと御者を交代した。


 おい、ロッカ。理由くらい説明して行けよ。


 御者のロッカは鼻歌を歌い出した。

 そのリズムに合わせるように馬次郎は歩き出している。

 バンはロッカを見やり、やれやれといった感じで代わりに説明した。


 それはトウマとセキトモがバルンで中央大陸行きを決めた日の話だった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 博士の邸宅の裏庭でトウマとセキトモが新しい武器の練習をしている時。

 博士とロッカとバンの三人は邸宅のラウンジで口論していた。


「ロッカ君。さっきはトウマ君とセキトモ君の中央行きを認めたがやはり彼らには早すぎるのではないか?」


「博士。一度口にした事は覆らないわよ」


「しかしだな。君らは中央に戻る際に難易度の高いクエストを消化して行くつもりなのだろう?」


「よく分かってるじゃない。バンと私だけだとちょっと人手不足だからね。

 あの二人が加われば高難易度クエストも行けると思うわ」


 博士はロッカにビシッと指をさした。


「そこなんだよ!

 ロッカ君は彼らの力を認めているのかもしれないがバン君も言ってただろ?

 彼らはまだ初心者同然だと」


「でもあの二人は経験が足りないだけよ。カマキリだって二人で倒してるんだし、数多くのクエストをこなした方が成長は早いと思うわ」


「うーむ。しかし、契約して貰ったばかりで危険なクエストにつき合わせるのはどうかと思うぞ。ロッカ君のクエストの選び方の問題だ。私は分かっているぞ!」


「わ、私だって行けそうと思ったクエストしかやらないわよ。

 それに道中でスカウトできそうな討伐者見つけたら引き入れるつもりだし」


「また勝手なことを・・・」


「勿論、スカウトするかはバンと相談して決めるわ。それならいいでしょ?」


「・・・分かった。道中でメンバーを追加するのは認めよう。但し、条件を満たしている場合だけだ。我々の目的は分かっていると思うが必ずバン君と相談して決めるんだぞ」


「分かってるわよ。

 すぐにでも私たちのパーティーで難易度Aだって攻略できるようにするんだから」


「また大きいことを・・・。クエストで死んだら意味がないんだぞ!」


「博士の言う通りですよ。ロッカ」


「も~、バンまで。目標は高いほうがいいじゃない?

 私は博士が中央に戻るまでに難易度A攻略するつもりでいるのよ。

 勿論、全員生きてね」


「ロッカ、それはどうでしょうか?

 難易度Aは他のパーティーとの共闘も考えないといけない難易度ですよ」


「私たちだってぬるい相手ばかりじゃ成長できないでしょ。

 バンだって今のままでいいとは思ってないわよね? 博士だって最終的には難易度Aをこなせる強さのパーティーを求めてるわけでしょ?」


「それはそうですが・・・まずはあの二人の成長が先です」


「分かってるわ」


「とにかくだな。彼らが早々に死ぬような事はするんじゃないぞ。

 バン君、ロッカ君が無謀な挑戦をしようとしたら絶対止めてくれ」


「分かりました。ロッカもいいですね?」


「分かったわよ。バンがダメだっていうやつには行かないわ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「で、そのあとすぐにあの街で特急クエストが出たのは御存知の通りです。

 一応、あれで難易度Aは達成できたと思うのですが、討伐後の昇格でしたからロッカは納得していないのでしょう」


「なるほどね。

 ロッカは博士が戻る前に正規のクエスト難易度Aに挑んで攻略したいってことか。

 それには僕たちがもっと経験積んで成長する必要があると」


「そういうことになりますね」


「自分たちにやれるっすかね?」

「イズハ、俺たちの成長次第ってことだよ。

 博士が戻るまでなら確かにあまり時間ないかもな」


「僕たちも最初と比べたら成長してるとは思うけど、目先の目標が難易度Aか~。

 もっと頑張らないとな」


「私は皆さん順調に力をつけてきていると思っていますよ。想像以上の早さです。

 今の話で及び腰になる人がいなかったので少しホッとしました。

 それに難易度Aのモンスターをいつまでも放置というわけにはいきませんからね。

 誰かがやらないと」


 そうだよな。目標は難易度Aのモンスター討伐だ!

 今回はユニコーンに挑むわけじゃないけど、それなりに強くなって行かなきゃな!


◇◇


 しばらくして、『爪猫5体討伐』の目的地である廃屋跡地に着いた。民家が3~4軒建っていた場所のようだが今は屋根もなく家屋の石壁も崩れて古い木材や瓦礫が散らばっているだけだ。


「ほとんど家の面影ないですね」


「ここに爪猫5体が住み着いているって話のようだけど、姿が確認できないな」


「馬次郎が警戒しているようですし、この辺りにいるのは確かですね」


 近くにはいくつか盛り土された古い石が置いてある場所があった。おそらく亡くなった方の墓標だろう。古い花瓶が置いてあるが周囲に雑草が生えていないことからたまに手入れされていると思われる。


 皆が自然と手を合わせ、故人の冥福を祈った。


「おそらく依頼主はここで亡くなった方々の子孫か関係者でしょうね」


「お墓のすぐ近くにモンスターが住み着いてたらいい気はしないわね。

 私たちで片付けて行くわよ」


「おう!」

「やるぞ!」

「頑張るっす!」


 ロッカは不思議そうにバンを見た。


「何? 何かあの三人、妙にやる気出してない?」


「うふっ。さあ? ロッカのやる気にでもあてられたのではないですかね?」


「何それ」


 今回、バンは久しぶりに炎のロッドを使う。隠れている爪猫を火であぶり出そうという作戦だ。廃屋なので火が着いても大丈夫だろうという判断だ。

 バンは端から順に炎の球を放っていった。ほぼ瓦礫なので炎上するほどではない。


”ガサ、ガサ・・・”


「一瞬見えたっす、素早いっすね。黒猫?」


 するとロッカの背後から爪猫が瓦礫の上に飛び出し襲ってきた。


”シャーーーー!”


 ロッカは難なくかわして着地した爪猫を背後から斬り伏せた。


「まずは1体ね」


 今度は別の爪猫がトウマに襲い掛かってきた。

 トウマは爪猫の攻撃を盾で受けるも倒すことはできず、物陰に逃げられた。


「逃げられちゃいました! 素早いな」


 くそ~、的も小さいし素早いやつは斬るの難しいぞ。

 縦より横に斬ったほうがいいかな?


 イズハは気配を消し、飛び出して来た爪猫の背後に回って小太刀で斬り伏せた。爪猫はイズハに気づいてもいなかった。


「2体目っす」


 次に飛び出して来た爪猫をセキトモが大盾で追いやった。


「トウマ、そっち行ったぞ」


 トウマは狙いを定めて片膝をつき、横斬り一閃で爪猫を仕留めた。


「よっし、倒した! 3体目!」


 次に出て来た爪猫をまたセキトモが大盾で追いやると、今度はそのまま家屋の石壁の隅に追い込んでグレイブの一突きで仕留めた。


「ふ~、これで4体だな。あと1体だ」


 最後の爪猫は飛び出して瓦礫の上に乗ったところをバンが炎の球で仕留めた。


「ホッ。当たって良かったです。あやうく私だけ倒せないところでした」


「あはは、小型の爪猫くらい誰が倒しても一緒でしょ」


 他に爪猫はいないようだ。何も問題なく『爪猫5体討伐』成功!


 魔石を回収して小休憩。バンが放った炎が完全に消えていることを皆で確認した。


「もう大丈夫そうですね。さ、次行きましょう!」

「おう!」

「行くっすよ!」


「何張り切ってんのよ。気合入れ過ぎて空回りしないでよね」

「あはは、可笑しい」


 スレーム・ガングの5人は次に挑むクエスト『巨大蜘蛛討伐』に向かった。


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