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スライムスレイヤー ~イシノチカラ~  作者: 亜形
第二章 アーマグラス編

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第33話 中央絡み

 巨大蟻討伐を終えたスレーム・ガングの4人はギルドに立ち寄った。アーマグラスのギルドはバルンバッセと違いギルド内にも魔石換金所がある。大抵のギルドで併設されているようだ。


【巨大蟻討伐依頼 難易度C】

 討伐報酬 18万エーペル


【素材】

 巨大蟻の牙×2 10万エーペル


【魔石換金】

 魔石・中 1個  5万エーペル

 魔石・小 32個 12万8千エーペル(今まで換金していなかった分を含む)


 分け前は一人11万7千エーペル。


 次回からパーティー管理費を捻出していこうという話になった。博士との契約で支援されている資金はバンが管理しているのでパーティー管理費もバンに一任。基本はきれいに分配できない分をパーティー管理費に回す感じだ。パーティー管理費は主に共通で使える道具購入費、交通費、支援額を超える宿泊費、食費などに使われる。いきなり支払いできない事態にならないようにまずは一人5万ずつ出し合って20万を初期費用とした。旅費の積み立てと考えれば少なくとも一人だけお金がなくて別行動になるとかいう事態にはならないだろう。メンバー同意の上で使う。パーティー解散するときは人数割で分配するという取り決めだ。


 カウンターのおばあちゃんが声をかけてきた。


「あんた達、難易度Cを達成したそうじゃな? 若いのに中々やるようじゃ。

 そうそう、最近この街に来た『ユニオン・ギルズ』とやらもやるようじゃよ」

「「ユニオン・ギルズ?!」」


 ロッカとバンは驚いたように顔を見合わせた。


「知ってるパーティーなんですか?」

「ちょっとね~、中央絡み」

「あの人たちもこの街に来ているんですね・・・」


 ロッカとバンの表情からして親しいパーティーでは無さそうだ。


◇◇


 ギルドを出て博士の邸宅に戻る途中、男女二人組の討伐者に出くわした。体躯のいい背の高い男と長い髪を後ろで束ねたグラマラスな女だ。噂をすればってやつだ。早速出会ってしまったようだ。


「何だロッカとバンじゃねーか?」

「ギル?! 何であんた達がここにいんのよ?」

「それはこっちのセリフだ。こんな所にいたのかバン、探したぜ!」

「相変わらず小さいコたちだね、ギルどうする?」


 バンはトウマの後ろに素早く隠れた。


「まったく、しゃーねーな。おらよっと!」

「ちょっと、何すんの! 離しなさいよ!」


 ギルと呼ばれた男にロッカがあっさり捕まり、肩に担がれた。


「何だいきなり、ロッカを返せ!」

「あん? 誰だよお前ら」


 トウマはギルと呼ばれた男に向かっていったが即座に鳩尾を殴られ動けなくなった。セキトモも向かって行ったが蹴り飛ばされた。


「バン分かっているよな? コイツと引き換えだ。

 俺たちはしばらく酒場で待ってるからな。いい答えを待ってるぜ」

「離しなさいってば!」


 ロッカは担がれたまま手足をバタバタとさせているがギルと呼ばれた男は意に介さずといった感じだ。そのままロッカは連れて行かれた。


 トウマとセキトモはしばらく動けずにいた。


「くそっ、あのギルって男強いですよ・・・」

「痛っつつ、僕も油断してたよ。

 あのロッカが簡単に捕まった時点で警戒すべきだった」

「すみません。私のせいです!

 私がギルさんからずっと逃げていたからです」

「何があったのか分かりませんけどバンさんは何も悪くないんでしょ?

 だったらどうにかしてロッカを取り返しましょうよ」

「そうだよね。事情は分からないけど、いきなりで一方的過ぎるよ。

 話はロッカを取り返してからだ」


 3人はロッカを取り返すべくギルが待っていると言った酒場に向かった。


◇◇


 冷静さを失っているトウマとセキトモは酒場に入って行った。バンは二人の後ろに隠れながらついて行っている。3人が店内を見渡してもギルたちの姿は確認できないようだ。


 トウマは店員に聞いてみた。


「小さな女の子を担いだ男女の二人組ここに来ませんでしたか?」

「ああ、あれか。もうびっくりしたさ。

 『知り合いだから大丈夫! 気にすんな』って笑顔で言うしさ」

「その人たち何処に行きましたか?」

「奥の個室だよ。何だか分からないけど騒ぎは御免だからなー」

「気をつけますが向こうの出方次第ですよ。有難うございました」


 3人は急いで奥の個室に向かって行った。個室に入ると想像していたものとは全く違う光景が目に入る。テーブルの上でロッカがギルの頭を踏んづけていたのだ。周りの男一人と女二人が足でギルの頭をぐりぐりしているロッカを止めようとしている。ロッカが軽いのが幸いだ。


「痛て、てて、わーったよ。参った! ロッカ、もう勘弁してくれ!

 カリーナ、こいつなんとかしてくれよ!」


 どういう事?


「あ、トウマ、セキトモ。バンも遅かったじゃない」


 話を整理しよう。まず、スレーム・ガング4人以外は、ユニオン・ギルズというパーティーのメンバー4人だ。


・ギル(リーダー)

 25歳。ロッカを連れ去った男。均整の取れた体格に整った顔。

・カリーナ

 24歳。ギルと一緒にいた女。ギルと恋仲。グラマラスねーさん。

・サイモン

 22歳。セキトモが持っているグレイブを興味深そうに眺めている眼鏡の男。

・タズ

 14歳。ロッカより小さい。ロッカを「師匠~」と呼び抱き着いて離れない少女。


 ロッカが簡単に捕まったのはギルが殺気を出さずに素知らぬ顔で近づき、不意を突いたからである。虫や小動物を捕まえる要領だ。ロッカをこの個室まで運び、離した瞬間にあの様になったようだ。それからバンが逃げ回っていてギルが探していた理由についてだが。バンが何処で真魔玉を手に入れたのかを聞き出す為だった。バンはギルがギラギラした目でしつこく聞いてくるのが怖かったそうだ。


 ユニオン・ギルズはギルドの要請を受けてバルンバッセの特急クエストの応援に向かっている最中だったようだ。しかし、案件が片付いた知らせを受けたのでしばらくこの街に留まって活動していたらしい。その応援に行くはずだった特急クエストとは巨大爪熊の事だ。


「その熊倒したの私たちよ」

「何だよ、お前らだったのかよ。せっかく急いで中央から向かってたのによ~。

 最終的に難易度Aになったらしいじゃねーか?」

「どのくらいの強さだったか知らないけど、このコたちがバルンに居るって分かってたら応援は必要なかったかもね?」


 タズがロッカにまた抱き着いた。


「さすが師匠~」


 ロッカはタズを引き離そうとしている。


「で、そこの二人はお前らのパーティーメンバーってわけか。

 まさかお前らがこっちでパーティー組んだとはな。

 さっきはてっきりナンパしてる男たちかと思ってたわ、わはは。

 トウマとセキトモだっけ? 悪りー、悪りー」


 誤解もあったようだ。ギルに笑顔で謝罪されて怒る気も失せた二人だった。


「だがなー、真魔玉の情報は諦めてねーぜ、バン」

「ギル、しつこいわよ。バンが怖がってるでしょ。

 真魔玉だったら中央で探せば売ってあるんじゃないの?」

「それが全然手に入らねえから持ってるバンに聞いてんだよ」


 それってお金持ちの博士が真魔玉独占してるって可能性ないか?

 俺の真魔玉、今持ってなくて良かった~。


 ギルは思い立ったように言った。


「一つ勝負をしねーか?

 俺たちが勝ったら真魔玉の情報をよこすって条件だ。

 物を奪う訳じゃねーからいいだろ?」

「何それ、私たちが得すること何もないじゃない」

「そうだなー、そっちが勝ったらもう情報を寄こせとは言わない。約束するぜ」

「それは当たり前でしょ。そっちが一方的に聞いてきてるんだから。

 話にならないわ」


 俺たちとか私たちとか、これ完全に全員巻き込まれる流れじゃないか?


「なら、俺たちが現時点で得ている中央の情報を全部お前らに渡す。

 質問には全部隠さず答えるってのならどうだ?」

「ちょっと、本気? ギル?」


 カリーナが割って入ったがギルは構わないそぶりを見せた。


「・・・それなら釣り合うかもね。情報は貴重だもの。で、勝負の方法は?」

「決まってるだろ、俺たちは討伐者だぜ。

 だがそっちは経験が足りないヤツが二人もいるみたいだしな~。

 そうだ、タズ。お前でいい」

「ふぁえ?」


 ロッカに抱き着いていたタズは驚いた表情でギルを見た。


「タズ。一番若いお前が俺たちの代表だ。

 そっちはそこの一番若いの。トウマと討伐勝負ってのはどうだ?」


 トウマとタズは顔を見合わせた。


「俺たちが討伐勝負?」


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