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スライムスレイヤー ~イシノチカラ~  作者: 亜形
第六章 ダンジョン編
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第117話 新たな催し

 時刻は昼過ぎ。結果的にダンジョンに5日半も入っていたスレーム・ガングとワイルド・レオの8人は出入口の受付で換金中だ。 運営の人たちがざわついている事に関しては慣れてきたので放置している。


【三頭の巨大蛇 討伐依頼 難易度B】

 討伐報酬 300万エーペル

【巨大爪猫討伐依頼 難易度B】

 討伐報酬 180万エーペル


【換金報酬】

 魔石・大(不純物あり) 2個 32万エーペル。

 魔石・中 3個 15万エーペル。

 魔石・小 46個 23万エーペル。


 鉱石(バンがコツコツ拾ってきた分) 5万エーペル。

 古びたツボ 60万エーペル。


 第7層の小部屋で見つけた石台の上に乗っていた小さな古びたツボが高かったので一同は驚いた。持って帰って来たのは正解だったようだ。


 途中分断されていたが手分けしていたと考え、分け前は一人76万ずつ。残りはスレーム・ガングのパーティー管理費に回す。


「そういえば素材報酬なかったですね。

 ダンジョンのモンスターはあまり素材落とさないのかな?」

「そうかもしれませんね。それに暗い中、素材を狙って戦うのは難しいですよ」


「分け前がダン2の魚人1体のクエスト報酬に負けてるにゃ」

「あれはレア。地底湖に生息するやつじゃ対峙するだけでも難しいし、二度と現れない3種混合の複合体モンスターだったろ?

 それにあのときの報酬は3人での分配だったからな」

「にゃるほど」


 換金が終わると、腹を空かせていた一同は付近の出店で携行食を買った。価格はかなり割高。本来はダンジョンに入る前に足りない分を補充する為に買う所なのだがそんなことはお構いなしだ。


 レオは携行食をがっつきながら言う。


「町に戻ったら打ち上げだよな?」

「そうそう、それはやらなきゃな!

 ここで食べるのはほどほどにしておけよ」


「まずはお風呂に入りたいわ。

 私たちは水拭きしてたからマシだけど、あんたたちかなり臭いわよ」


「そうか? うげっ、くっさ~」


 男性陣は匂いを嗅ぎ合って悶絶している。


「少し腹の足しはできたし、僕たちはとりあえず、風呂屋に行くのが先みたいだね」

「よし!

 まだ早い時間だし、町に戻ったら風呂屋行って、その後、中央の酒場に集合な!」

「クタクタなのになんで中央なのよ」

「前行ったときあそこ空いてたから8人いても絶対入れるだろ?

 歩くのきついなら乗合馬車使えばいいよ」


◇◇


 一同はスリーフォの町に着くとダンジョンからやっと解放された反動なのか集団行動はせずにそれぞれ散って行った。女性陣は一旦借りている部屋に戻ったようだ。風呂屋にも各自で頃合いをみて行く。さっぱりして着替えた後に中央の酒場に集合。集まる時間もバラバラだ。ずっと一緒だったので一人の時間を作りたかったのだろう。

 トウマは少し昼寝してから向かったが一番遅いわけではなかった。最後に来たのはセキトモだ。


「やっと揃ったか。セキトモが一番最後だよ」

「え、ゴメン。待たせちゃった?

 時間的にまだ早いかなと思ってたけど」

「大丈夫ですよ。見ての通り、先に来た人から勝手に始めちゃってたんで」


「じゃ、改めて乾杯するか!」

「もう、これ何回目よ」

「無事帰って来れたんだ。何回やってもいいだろ? 乾杯~!」


『乾杯~!』


 一同が久しぶりの食事を堪能しているとひよっこりユニオン・ギルズの4人がやって来た。


「おー、お前らこっちにいたか。

 部屋は借りたままなのに戻ってないようだから心配してたんだぜ。

 俺たちも合流していいか?」

「師匠~! 生きてた~」

「泣くなタズ。なんで抱きつくのよ~」

「この人数ではここは狭過ぎますね。

 席を移れるか店の人に聞いてみます」


 バンが店の人に頼み、12人が入れる個室に移動させて貰った。お金の力は使わなかったようだ。


「あっさり個室に移れたな。やっぱここ穴場だよな~」


 個室ということもあり、ダンジョン3の5~7層の話で盛り上がる。


「だと思ったぜ。やっぱ蛇と猫はお前らだったか」

「猫はいきなりチナが襲われて大変だったんだぜ」

「それを言うなら私たちだって頭3つの蛇を正面から相手して大変だったわよ」

「俺たちだって転がる熊の相手は一苦労したんだぜ」


「転がる熊?」

「ああ、多分、取り込んだ熊が子熊だったんじゃねーかと思うんだが」

「僕たちが東大陸で倒した熊は威圧的で逃げ出したくなるほどの強さだったけど、その様子だとそうでもなかったってこと?」

「そういえばユニコーンも威圧が凄かったですね。

 俺なんて対峙してるだけで汗が噴き出て来ましたよ」

「それは僕も」

「お前らユニコーンと遭遇してんのか?

 よく生きてたな」

「イズハが死にかけました」

「トウマさ~ん。それは言わないで欲しいっす」

「わはは」


「難易度BとAの差か」


「難易度Aって言ってもピンキリだからな。

 観測者によって評価選別されてるわけだし、トウマたちが遭遇した熊とユニコーンは別格だった可能性高いよ」

「ユニコーンはまだいるんだよな?

 クルーロ、メルクベルに戻ったらオレたちで倒しに行くか?」

「冗談だろ。難易度Aなんて余程の勝算がなきゃ挑む相手じゃないぞ。

 死に急ぐだけだ」


 ロッカは何か言いたげだが堪えたようだ。


 話はダンジョン3の新たな催しについてに変わる。最後のクリア証明を手に入れてどの層からでも入れるようになった組限定で第5層~第7層までの地図が購入できるようになったようだ。勿論、運営側が把握している箇所だけが載った地図だ。


「それって地図購入したら私たち随分楽になるんじゃない?」

「サイモン、説明してやれよ」

「私ですか?」


 説明が面倒になったのかギルはサイモンに丸投げした。


 サイモンの話によると、購入できる地図は各層で9の区分に別れているらしい。1枚2万エーペルもするそうだ。全部揃えようとすれば27枚。54万エーペル必要になる。宝箱や罠、クリア証明、クエスト対象のモンスターの位置などは載っていない。そこは自分たちで見つけなければならないようだ。ちなみに同じ地図を複数枚購入することはできない。

 そしてここからが新たに導入された催しだ。

 地図に記載されていない箇所を見つけたらその情報を買い取ってくれるらしい。情報の買取は早い者勝ち。すでに見つかっていてもより優れているとみなされた情報なら初の発見より低い額だが買い取って貰える場合もあるらしい。

 厄介なことにその情報で定期的に地図が更新されるので最新の地図を得る為にはまた買う必要があるとのこと。

 あまり買われていないのはセーフティゾーンから近い1~3番、皆が通る場所でもあり更新頻度が低いからだろう。遠い7~9番はよく買われているそうだ。


「それでも地図を全部揃えたいと思う人はいるよな?」

「収集欲をそそられるっすね」

「なるほど、よく考えられていますね」


「購入した地図を模写して売ったら儲かりそうだな」

「クルーロ、また悪い事考えてるにゃ。実現した試しないけどにゃ」

「模写する労力を考えるとそれは割に合わないかと。

 それに定期的に更新されるのであれば買い手がいるかどうかも怪しいですよ。

 地図が公開されたということはおそらくクリア証明の場所も定期的に変えられるのではないかと思います。クリア証明までの地図を作っても意味がないでしょうね」

「おおう? バンに先読みされた?

 やっぱダメか~」


 そしてバンはこの催しは一時的なものと語った。運営側の狙いは把握していない箇所の情報収集の手間を挑戦者を使って省こうとしているのだろうと。

 地図がある程度網羅できたら新しい場所を見つけるのは困難になるので収束していくのではないかとの見解だ。要は情報を売って稼ぐなら今のうちってことだ。


 明日はオフの予定だがロッカとバンが馬次郎とファスティオンの気晴らしを兼ねて地図だけ購入してくることになった。


「とりあえず、全部買ってくるわ」

「なら2枚ずつ買ってきてくれ。

 もう1枚は邸宅のロラックへの土産だ。

 出発する前にこっちの分の腕輪と費用も預けておくからさ。

 受付には顔も割れてるし、代理で来たって言えば多分買えるだろ」

「確かに私たちが買ったときクリア印の刻んである腕輪を確認されたわ」


 ユニオン・ギルズも全ての地図を購入したらしい。今は一日置きにダンジョンに入っているそうだ。手に入れた地図を元に怪しい所を探索しているのだとか。タズは折角マッピングの仕方覚えたのにとぼやいていた。


 そしてギルは気になる言葉を口にした。


「まだ行ってないようだし、次入るとき7層の出入口から入ってみな。

 すぐに踏破されていない理由が分かるぜ」

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