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スライムスレイヤー ~イシノチカラ~  作者: 亜形
第六章 ダンジョン編
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第103話 メンテナンスデー

翌朝-----。


 トウマ、セキトモ、イズハの三人は馬車の荷台で一晩を過ごした。昨日からの雨はまだ降り続けている。


「う~ん。せっかくのオフなのにまだ雨降ってますよ」

「こればかりはどうしようもないよな」


 レオとクルーロは戻って来なかった。おそらくギルたちと朝まで飲んでいたのだろう。今頃は店か、雨宿りできそうな場所でそのまま寝ている可能性が高い。

 ロッカ、バン、チナの三人はカリーナに宿の空きを抑えて貰ったので宿に泊まれるようになった。流石に8人全員分の宿は無理だったので女性優先といった感じだ。


「今日はどうします?」

「そうだな。オフだし、各々自由な時間を過ごしていいと思うよ。

 僕はスリーフォのギルドに行ってみようかと思ってる」

「俺も行こうかな。暇だし」

「自分も一緒にいいっすか?」


 雨が小降りになったので三人はとりあえずスリーフォの町に向かった。外套は必要なさそうだが一応着て行く。ダンジョンから町に戻る際にも役に立ったが、雨を弾く外套は傘を持ち歩くより利便性が高い。生地は薄いので使わないときはグルグル巻きにして腰のベルトに挟んでおけばいいだけだ。


◇◇


 店で朝食を済ませた三人はギルドに寄った。ギルド内は人がごった返している。


「そこまで大きいギルドじゃないようですね?

 人多いな~」

「東大陸のギルドと変わらない感じだな。

 ダンジョンに入れない日だからこっちに人が集まってるんだろう」


 ダンジョン運営とこの町のギルドは協力関係を築いている。普段は行かないギルドに立ち寄り、周辺のクエストを受けて貰う。ダンジョンのメンテナンスデーはそういう意味でも設定されているのだ。周辺の治安が良ければダンジョン目的の者以外の人々も集まって来るかもしれない。万一、モンスターが襲って来てもここには討伐者が沢山いる。町の発展にも繋がる施策だ。


 三人はクエストの掲示板を見てみたが、誰も手をつけていない依頼書は全くない状態だった。


「う~ん。軽いクエストならやっても良かったけど、何もないって感じですね」

「そうだな~。

 ひょっとして、今ここにいる討伐者たちは新しいクエストの出待ちなのか?」


「そろそろ雨止みそうっすよ。

 祭りは開催されないっすかね?」

「そっか! 祭りあるなら参加してもいいですね」


 カウンターの人に尋ねると、スリーフォのギルドでは祭りをやっていない事が分かった。祭りを開催しなくても周辺のスライムは日銭稼ぎの討伐者によって手当たり次第討伐されていくからだとか。


「ダンジョンに入れば必ず稼げるというわけじゃないからな。

 普段はスライムを倒して生活費を稼いでいる人が多いって事かも?

 日銭稼ぎ・・・前の僕と同じじゃないか。わはは。何か親近感が湧くよ」


「俺たちは生活保障と蓄えありますからそこまでしなくても大丈夫ですよね?」


 折角なので普段通らないスリーフォの町の北側に行ってみようという事になった。小降りだった雨は完全に止んだようだ。


 町の北側に行ってみると南側ほど人は多くなかった。


「確かこっち側ってダンジョン4に挑んでる人たちが多いんですよね?」

「そうか! ダンジョン4はメンテナンスデーじゃないんだ!

 だとすると、行ってみる価値はあるな」


「え? ダンジョン4に俺たち三人で挑むんですか?

 入場できる人数足りてないですよ」

「いや、町の北側周辺のスライム討伐だよ。皆がダンジョンに入ってるなら昼間は放置されてる可能性高いだろ?」

「盲点っすね」


「祭りじゃないけど、僕たちでスライム掃除に行かないか?」

「そうですね。俺、昨日はモンスター倒してないし、試したい事あるから付き合いますよ」

「試したい事って何っすか?」

「スライムを踏んずけて倒すんだ。レオがやったのを見て1回マネしてみたけどなかなか倒せなくてね」

「そんなことできるんすか? 面白そうっすね」


 三人は町の北側周辺のスライム討伐をする事にした。昼過ぎのほうが討伐者も少なく雨上がりのスライムも発生しているだろうということで昼食後に出かける。


◇◇


「行くぞ、イズハ! せーの!」


 トウマとイズハは同時に飛び上がり、スライムを両足で踏みつけた。


”パキッ”


 スライムが霧散して行く・・・。


「やった! 今回は俺のほうが当たりだったぞ!」


 三人はスライムを踏みつけて倒す実験をしていた。最初は各自で片足で踏みつけていたがなかなか核に当たらないので一度に踏みつける面積を広くしようと、二人同時に両足で踏みつける事を思いついたのだ。


「同じ位置に核があるわけじゃなさそうだな。個体差なのだろうか?」

「核の位置は動いてるんじゃないっすか?」

「それに柔らかい地面だと、どこ踏みつけても核は壊せないみたいですからね」

「そうだな。ある程度の堅さはあるってことだろう。

 う~ん。そう考えると核は狙って壊せるものじゃないよな」

「レオが凄かっただけかぁ~。たまたまだったのかな?」


 核の場所が分かり狙えるのならば猟銃の弾一発でモンスターを仕留める事が可能になるだろう。それと猟銃のような対モンスター用の武器がないのには理由がある。猟銃の弾程度の大きさにモンスターを倒せるほどの抗魔玉の力は溜められないからだ。放った後の少しの時間、力を留めておくには最低でも武器として使われている矢の矢じりくらいの大きさは必要なのだ。


「でかい砲弾ならモンスターを仕留めることできるかもな。

 当たり所が良ければ核を吹き飛ばせる可能性はある。

 抗魔玉の力を溜めた玉が放てればなお良しだけど、量産するのは難しいか」


「踏みつけて倒すのはこれくらいにして本格的にスライム掃除しましょうか?」

「だね。ここらに討伐者来てないみたいだからやれるだけやって行こう」


 三人は可能な限り周辺に発生したスライムを討伐していった。


◇◇


 三人はスライムを全部で43匹倒した。魔石・小 43個。1個は道具用に残して42個を換金。分け前は一人7万になった。


「結構、稼げちゃいましたね」

「倒し放題だったからね」

「なんか得した感じするっす」


 三人がスリーフォの町を出て馬屋に戻るとクルーロとレオが戻って来ていた。


「あ~、三人ともどこ行ってたんだよ。探してないけど」


「ちょっと町の北側周辺のスライム討伐に行ってました」

「真面目か!」


 二人は何故か酒場裏の屋根がある場所で昼過ぎまで寝ていたようだ。店から追い出されたのかもしれない。レオは寝転んでいる。


「オフは休むもんだろ」

「レオは休んでばっかじゃん」

「雑魚退治は飽きた。オレは大物しか相手にしたくねえんだ」


「これだよ。まあ、雑魚相手に大剣使ってまた壊されても困るからな。

 ここってときは頼むぜ」

「分かってるって」


「あ、女性陣は酒場じゃなくって別な店で夕食取るってさ。

 俺たちはどうする?

 また酒場でいい?」


 多分、女性陣はスイーツが沢山ありそうな店に行くんだろうな。


「酒場でもいいですけど、毎日酒場ってのも飽きてきませんか?」

「そうだな。明日からまたダンジョン潜るし、食べ過ぎても良くないな。

 今日は定食屋で軽く済ますか」

「ん? クルーロ、今日は飲まないのか?」


「そろそろダンジョンも厳しくなるだろうし、体調は万全にして挑まないとな」

「そういうもんか」

「酒を飲むのは階層クリアしたときの祝いにしよう」

「じゃ、明日から毎日だな」

「おい! 厳しくなるだろうって言ったばかりだぞ」


「第4層ってどんな感じなんでしょうね?」

「どうだろうな。3層まで洞窟って感じだったし同じ感じじゃないかな?

 まあ、謎解きフロアの連続ってことはないだろう。

 それだと情報持ってるやつが軽く通過できてしまうからな」

「面白かったですけどね」


「ま、明日行ってみれば分かるさ。

 今日はしっかり休んで明日に備えよう」


 この日、男性陣は町の定食屋で軽く夕食を済ますと早めに就寝した。


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