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スライムスレイヤー ~イシノチカラ~  作者: 亜形
第六章 ダンジョン編
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第99話 正解はどの通路?

ダンジョン3への挑戦2日目。


 特に疲れを残していなかったスレーム・ガングとワイルド・レオの8人は第2層に戻った。ユニオン・ギルズとはダンジョンの入り口で会った。今日から挑むようだ。ギルにすぐに追いつくから待ってろと言われたが待つつもりなどさらさらない。


 第2層への外扉から先に入ったA組はセーフティゾーンで10分待ってB組と合流。今は皆で昨日の中央にあった大穴のある広い空間を目指して歩いているところだ。


「昨日、確認した限りでは8方向に通路がありましたからね。

 二人一組の4組で各通路を探索するのが効率よいかと思いますがどうしますか?」


「魔石ランタンも4つあるから明かりは何とか確保できそうだね。

 あとは2人じゃ倒せないような手強いモンスターがいるかどうかだけど。

 昨日話した通りクリア証明を見つけたら2組分取って来ることを各人忘れないようにな。あとなるべくマッピングして戻ったら報告すること!

 集めた情報を俺とバンでまとめてロラックに報告するから頼むぞ」


「面倒だな~」

「レオ、お前には期待していない」

「・・・な、なるべくでいいんだろ」


 朝の時間帯だからなのか、他の討伐者はまだダンジョンに入って来ていない。昨日もそうだったが昼頃から動き出す討伐者が多いようだ。入り口付近には討伐者が集まって来ていたので浅い階層だけが少ない可能性も考えられる。単にお昼を食べてから動き出しているだけなのかもしれない。

 そう思っていた矢先にその理由が分かった。ダンジョン内中央の大穴のある広い空間に水場を求めて各所からモンスターが集まっていたからだ。午前中の早い時間帯は大穴近辺に散乱した水が乾かず僅かだが水たまりが残っている。モンスターはそれを求めて来ているようだ。


「私たちを見て逃げてったやつもいるわ。けど、二十数体は残ってるわね」


 モンスターは、蟻、蛇、ムカデ、蜘蛛、蛙といったところだ。すべて小型。同種がまとまって行動していないところを見ると複製体はいないようだ。勿論やつの姿はない。そもそもスライムがやつを取り込めるような速い動きができるとは思えない。やつはスライムが入り込めないような狭い隙間にいることが多いし、取り込まれたやつは余程油断していたのだろう。


 皆でモンスターを一掃した。襲って来るのだから戦闘は避けようがない。

 倒して回収した魔石・小は23個。合流用の巾着袋に入れた。相手が弱かったので苦も無く一人2~3体は倒した感じだ。バンは炎の球を小型のモンスターに当てる練習をしているようだった。ロッカだけは張り切って5体倒したようだ。双剣は温存しているのか使っていない。


「今のでこの層にいるモンスターは粗方倒したんじゃない?」


「かもね。もう今みたいな多数で襲って来ることはないだろう。この先は二人一組で探索しても大丈夫そうだね。んじゃ、組み合わせ決めようか?」


 今回はこの組み合わせで探索することになった。


 トウマ、クルーロ。

 イズハ、チナ。

 セキトモ、レオ。

 バン、ロッカ。


 組み合わせの趣旨はもっとお互いを知って仲良くなろうだ。バンとロッカは既に皆知っているので除外。スレーム・ガングの全員が方位磁針付きの懐中時計を持っているということもある。ワイルド・レオで方位磁針を持っているのはクルーロだけだ。


「左から1,2,3,・・・8番としようか。

 通路が行き止まりや合流している場合もあるけど、各組で1,2番、3,4番、5,6番、7,8番と分けて探索していこう。探索終わったらここに集合な。

 時間的にお昼回りそうだから各自の判断で携行食は食べちゃって。

 よし。では、俺とトウマで1,2番行ってみるからあとはお好きにどうぞ」

「え?」


 クルーロはトウマを連れて1番の通路に入って行った。


「まったく。勝手に決めて行っちゃったわ」


「ま、どの通路が正解なのか分からんし、どこ行っても変わらんだろ。

 オレとセキトモで3,4番行ってみるか?」

「分かった。宜しくなレオ」

「・・・マッピングは頼む」

「はは。任せてくれ」


 セキトモとレオは3番の通路に入って行った。


「チナさん、自分たちは5,6番で行くっすか?」

「イズハもチナって呼んで構わないにゃ」

「そういうわけにはいかないっすよ。自分一番下っ端っすから」

「気にしなくていいにゃ。カワイイやつだにゃ~。むふふ。

 チナって呼ぶまでイズハと話さないけどいいのかにゃ?」

「うっ。それは困るっす。チ、チナ。行くっすよ」

「分かったにゃ! 中央側を残してまずは6番から行ってみるにゃ」


 チナとイズハは6番の通路に入って行った。


「バン、なんか私たち取り残された感じね」


 残ったロッカとバンは8番の通路に入って行った。


◇◇


2時間後---。


 トウマとクルーロは皆と別れた中央の大穴付近に戻って来ていた。何組かの討伐者たちが入って来だして通り過ぎて行っている。二人の成果としては・・・。


「ちくしょー。完全に読み間違えた。

 運営の事だから遠回りさせるんじゃないかと思って1番か8番が正解だと踏んだのに。これで8番だったら2択の選択をハズしたってことになるじゃん」


 二人が入った1,2番通路はどちらも分岐なしの一通路で先は完全に行き止まりだったのだ。


「俺たちは完全にハズレでしたね」


「宝箱もないし。モンスターも出ないし。トウマとお散歩してただけじゃん。

 よし。もし誰か声かけてきたら1,2番を勧めようぜ」

「ダメでしょ」


 しばらく待つと、7番通路からバンとロッカが出て来た。


「どうやら8番と7番は繋がってたみたいだわ」


 二人から話を聞くと、8番通路は奥が左右に別れていたのでまず右の通路を進んだそうだ。その先は結局行き止まりだったが分かりづらい岩陰に宝箱があったとか。


「宝箱には10万エーペル入ってたわよ」

「罠じゃなくて良かったですよね」


 そのあと引き返して左の通路を進んでいたら7番通路から出て来たようだ。途中で小型のモンスターを3体倒したらしい。

 バンはしっかり鉱石も拾って来ていた。 


「方向的に戻っている感じでしたからね。鉱石くらいは拾っておこうかと」


 俺も鉱石を少しだけ拾って鞄に入れてるけど流石バンさんだ。

 クルーロの予想は大ハズレだな。


「で、クルーロ。そっちはどうだったの?」


「教えない・・・」


 トウマは二人に向けて首を横に振った。


 次に戻って来たのは4番通路からのセキトモとレオだった。


「探し回ったがオレたちの通路にはクリア証明なかったぜ」


「3,4番、もしかしたら5番も繋がってるかもしれないよ。

 ただ僕たちでは通れそうになかった」


 3番通路の途中で4番通路に抜けられそうな狭い通路があったようだ。レオとセキトモの体格では通れなくて3番通路の行き止まりまで確認したあとに一旦戻って4番通路入り口から入ったそうだ。4番通路でも5番通路に抜けられそうな狭い通路があったとのこと。宝箱を3つ見つけたがどれも開けられていたそうだ。

 二人は道中で小型のモンスターを5体倒して来たようだ。


 どうやら正解は5,6番通路に入っているチナとイズハだ。二人がクリア証明を見つけ出して来てくれるだろう。


「しかし、遅いよな?」

「何かあったのでしょうか?」

「二手に別れて迎えに行く?」


 戻ってこないチナとイズハを皆で探しに出るか相談しているときに二人は6番通路から戻って来た。


 「やっと戻れたにゃ~」

 「長かったっすね」


 戻って来た二人から話を聞くと、6番通路は分岐が多く登ったり下ったりもあったそうだ。途中宝箱を2つ見つけたそうだがどちらも開けられていたとのこと。一番奥と思われる場所にクリア証明のカードが入っている宝箱があったとか。5番通路には行けていないようだ。


「でもクリア証明はちゃんと2枚持って来たにゃ」


「チナ、イズハ。よくやった!」


「戻る途中でコウモリのモンスターが出たっすよ。

 複製体を作ってて十数体飛んで襲って来たっす。

 天井が高い空間だったのであれを倒すのが一苦労でした」


 小型でもコウモリがデカいと結構強いかもな。

 噛まれたら血を吸われるんだろうか?


「襲ってくるやつはイズハに任せたにゃ。イズハの糸凄かったにゃ~」

「チナこそ凄かったっす。

 自分が届かない上空のコウモリを狙って貰ったっすけど、矢の命中率100%っす」

「矢の回収が面倒だったにゃ。手伝ってくれてありがとにゃ、イズハ」


 褒め合ってる二人は清々しい顔だ。


 俺は物足りないけど、全体で成果がでてるならいいか。


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