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スライムスレイヤー ~イシノチカラ~  作者: 亜形
プロローグ

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この世界のモンスター

――――――――――――――――――――

 この世界のモンスターは全てスライムが擬態した姿である。


 現在、『モンスター』と総称されている生物が出現したのは天変地異ともいえる大災害が起き、生き残った人々が世界を復興している矢先の事だった。当初、モンスターは新たな変異種かと思われていたがのちに『スライム』と呼ばれる新種の生物が擬態した姿という事が判明。スライムとは半透明で泥水のような色をした粘性のある無形生物で中央大陸の火山が噴火した事が起因となって誕生した生物である。

 噴火した火山から出る黒煙には『魔粒子』と呼ばれる未知の粒子が含まれている。魔粒子は現在も世界中の上空を漂っているだろう。その魔粒子と雲が結合してできる小さな滴が『スライムの素』である。世界各地で雨と共に降ったスライムの素は引かれ合い、一定量集まることで生命をもったスライムになるのだ。

 スライムは生物を捕食し、取り込んだ生物に擬態する。人々は擬態したスライムをモンスターと呼ぶようになった。


 モンスターはスライムの質量に応じた大きさで爪や牙など攻撃性の高い部位を強化していることが多く好戦的でもある。擬態に関しては毛の類を精密に再現しない傾向がある。例えば兎に擬態したとすると髭やまつ毛もないハゲている兎の姿になる。勿論それは兎ではない。毛の無いやせ細った兎というわけでもなく、外見がゴムのような質感の兎の形体、姿を似せているだけである。人が見た目を似せて作った造形物に近いだろう。スライムが兎に擬態したモンスター名は、『ゴム兎』と名付けられている。モンスターは外見の他に眼の色でも識別可能だ。平常時は緑、警戒時は黄、怒り時は赤に変化する。また、モンスターには動物のような血は流れていない。血の代わりに魔粒子が流れていると言われている。


 スライムは取り込んだ生物にすぐさま擬態するという訳ではない。スライムがいつ何に擬態するのかは不明。この事からスライムには意思があると考えられている。

 スライムは丸のみにする事でその生物の情報を読み取っているようでそれができない生物には擬態できないようだ。スライムの質量より大きい生物を襲う場合は溶かして自身の養分にする事が目的だろう。モンスターが元のスライムに戻る事は確認されていない。


 モンスターの特筆すべき点は異常に再生能力が高いことだ。損傷を与えてもすぐに元の姿に再生する。切り離された部位は再結合する場合と霧散して新たに生える場合がある。例外として切り離された部位が霧散せずに残る事がある。モンスター素材と言われている物質だ。その物質に魔粒子は流れていないので抜け殻のようなものと思ってよいだろう。モンスター素材は軽くて丈夫な為、武器や防具、道具等様々な素材として活用されるようになった。


 モンスターは絶命すると霧散して『魔石』と呼ばれる物を落とす。当初はモンスターの核と思われていたが生きているモンスターの体内に魔石は存在しない。魔石はモンスターが絶命して霧散する際に初めて生成される物質でありモンスター素材と同様で魔粒子は流れていない。


 現在、魔石は主に燃料資源として活用されている。珍しい魔石は観賞用としても売買されているようだ。魔石にはまだ他にも活用方法があるのではないかと日々研究されて続けている。


 現状、人類がモンスターを倒す方法が3つある。


 ・体内にある小さな核を見つけ出して壊す。

 ・隔離して絶命するまで待つ。

 ・魔粒子を浄化させる石の力を伝達させた武器で倒す。


 魔粒子を浄化させる力をもった石は、『抗魔玉(こうまぎょく)』と名付けられた。そして武器に力を伝達させるという発想は人類の希望ともいえる画期的なものであった。


――――――――――――――――――――


 書斎にいる男は読んでいた書物を棚に戻した。白衣を着た白髪混じりの波打つ髪の中年の男である。


 抗魔玉の力の研究は面白い。

 偶然とは言えよくぞ見つけてくれた。

 皮肉なものだがモンスターの出現なくして抗魔玉の力の発見はなかっただろう。


 男は書斎の窓を開くと晴天の空を見上げた。


 「さて、彼女たちに任せてみたがここにはいるだろうか?」


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