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戦い初夜

―――「う、うううっ。ここは、どこだ、、、?」

目が覚めた。

テントの屋根が見える。

テントがあるのは将軍だけのはずだが、、、。

はっ。

そんなことより!戦争はどうなった?!

俺は勢いよく立ち上がろうとした。が、

「いったぁぁぁ。」

体中が傷んで転んでしまった。

「お!!!起きたか!!!!!」

ん??なんでここにいるんだ?

目の前にはツンとイン将軍がいる。

「お前ほんっっっっっとうにありがとな!!!お前のおかげで被害が最小限に済んだ!」

「え??じゃあ敵を退けられたの??」

「今日の所はな。ありがとよ。」

ツンとインの二人は俺の頭をくしゃくしゃと撫でた。

「それよりお前の体見てみろ。」

俺はそっと包帯をめくってみた。

「うわっ。すごい傷だらけだ。」

「違うよそこじゃねえ。俺が言いたいのは、体の前にしか傷がないってことだ。背中には1矢も受けてねえ。あの武器の前であんだけ敵に押されていて、全員逃げることだけを考えていた。誰も戦おうなんて考えちゃいねえ。とにかく生きることだけ考えた。俺たち将軍だってそうさ。お前だけだ、前を向いていたのは。矢を受けながらもみんなのために全部の台の矢をとったんだ。その傷は、お前の誇りだ。」

よかった。最後の1台も矢をとれていたのか。

目頭が熱くなった。

「ありがとう、、、。」

「しかもお前、最後の1台の後、気を失って倒れてな。そしたら光を発しながら宙に浮いて俺らのもとに降りてきたんだ。そのおかげでこの戦場にいるみんながお前のこと天使だと言っているぞ。」

はぁぁぁぁ?!なんだそれ。

「まあとにかく、起きたことだし、行くぞ!!」

「え??どこに??」

「決まってるだろ、レオ将軍のとこだよ。」

「ええええ?!なんで?!」

「当り前じゃねえか!お前が今日の立役者なんだから。」

ツンとインの二人は俺をひょいっと持ち上げ、二人の肩において俺を運んだ。

「ちょっ、恥ずかしいよ!おろして~!」

俺のそんな叫びもむなしく、俺は本陣のテントに連れ去られた。


「よ!大将!連れてきたぜ!」

―――バッ!

いきなり、レオ将軍がひざまずいた。

「少年よ。本当にありがとう。おかげで助かった。」

「あ、頭を上げてください!!僕にできることをやった、それだけです。」

「そのできることをほんとうに行動に移せる人間は少ない。君のおかげで何千、何万という命が救われた。感謝している。」

「こちらこそ、僕が戦えたのは将軍の励ましのおかげです。ありがとうございます。」

「そなた、名は何という。」

「ミナトです。」

「そうかミナト。よくやった。、、、。ん??ミナト???ミナトだって???!!!」

レオ将軍は俺を連れてみんなから離れたテントの隅に移動した。

「そなた、苗字はなんだ???」

さすがに苗字は隠した方がいいな。

「あ、平民なので苗字なんてありませんよ。あははは、、、。」

「そ、そうだよな。、、、。俺の勘違いだったようだ。いやなに、俺の友達にお前さんくらいのミナトという子供がいてな、表向きは上司と部下って感じだが、実は古い仲なんだ。先日写真を見してもらったんだがとても似ているような気がして、、、。まあ、ここにいるわけないか。」

あ、あぶねぇぇぇ。ばれたら即刻返されるとこだった。父さんの友達だったのか。

「将軍!まだかよ!将軍ばっかずるいぞ。俺たちのミナトを返せ!」

ツンとインが何か言っている。

何だよ俺たちのミナトって。

「ミナト少年、明日はゆっくり休んでくれ。今日は本当にありがとう。」

「いえいえ、それに、僕は明日も戦えます。」

「はー?お前そんな体で戦場に出ても戦えないだろ!」

「いやもう痛くないから大丈夫。心配ありがとう。」

「こいつ、矢を打たれすぎて頭までおかしくなったのか??」

おい、イン。聞こえてるぞ。

「お前戦うなら俺のとこにこい!絶対インの軍よりこっちのがいいぜ!」

「おいツン!ずるいぞ!俺の軍の方が絶対いい!」

ははは。どっちに行こうか。どっちって言っても殺されそう。

「2人とも黙りなさい。ミナト少年、明日はツンの軍についてくれ。明日の作戦はツンのほうが厳しくなるからな。」

「おい将軍。明日の作戦ってなんだ?」

「まず、ツンとインの軍がそれぞれ丸の軍陣になって平野の中央まで行く。敵は必ずお前らを四方から囲み攻撃するだろう。それを俺ら本陣が後ろから攻撃していく。」

「は??そんなことしたらみんな死んじまうだろ!」

「そうだ。だからお前らの力でなんとか耐えてくれ。俺が必ず敵を切り裂く。敵に勝つには真っ向から言ってはダメなんだ。勝つには犠牲が必要だ。だが、それでも生き残るのがお前たちだろ??」

「は!むちゃいうぜこのおっさん。当り前だろ。中は俺たちで何とかする。だからおっさんも頼んだぜ。」

「それにしても、なんでツンの方が厳しい戦いになるんだ?」

「それはな、ツンが敵対するだろう相手の軍がサウス国に恨みのある人たちで構成されているらしい。だからたぶん、どの軍よりも強いだろう。」

「俺たちの国に恨み?なんでだ。」

「それは分からぬ。しかし気を付けたほうがいい。」

「わかった。じゃあ、ミナトは俺の軍な。」

「わかった。よろしく、ツン。」

「ああ、よろしく。」

「うわー、ツンだけずりぃ。」

「将軍が言うんだから仕方ねぇ。」

「じゃあ3人とも、明日は頼んだぞ。」

「「おう!」」「はい!」


今日はゆっくり休めるようにと、ツンたちがテントを一つ貸してくれた。

あー、疲れた。

俺は横になった。

「主、傷大丈夫??」

「うわっシロ!びっくりした!」

そうだ、シロにはみんなにばれないように隠れてもらっていたんだった。

「あ!!てかシロ!!俺が倒れたとき運んだのシロだろ?!」

「うんそうだよ。主が活躍したのうれしくて光も付けたんだよ!!」

そんなほめてみたいな顔で言われても。

「もう!そのせいで変に目立っちゃったんだからね!」

「ええ、じゃあ主怒ってるの??」

頼むからそんな悲しい顔で見ないでくれ。

「ううん、運んでくれてありがとう。助かったよ。」

「わぁぁーーーい!!よかった!主に褒められた!!」

かわいいなあもう。

「傷ももう大丈夫だよ。心配してくれてありがとうね。」

「傷、今から治すね。」

「え?!シロ治せるの??」

「うん。俺は主が無茶しないようについてきたからね。主の傷を治すくらい簡単だよ。」

「そうか。ありがとう、シロ。」

「感謝するならもう戦争に行かないで!!とっても心配したんだから。」

「ごめん、シロ。それは無理だよ。みんな国や守る人のために戦っているのに俺だけ行かないなんて。俺は、誰かに守られるんじゃなくて、大切な人を守りたい。」

「主ならそういうと思ったよ。でも絶対に無理しないでね。」

「うん。ありがとう。」

「じゃあ、治すね。」

―――パアッ

テント中が明るい光に包まれた。

「よし、もう大丈夫だよ主。明日も頑張って!」

すごい、傷がすべてふさがっている。むしろ朝より元気だ。

「ありがとうシロ!」

俺はシロに抱き着いた。

「へへっ。どんだけ主が傷ついても俺が治してあげる。」

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