王女との出会い
―――5年後―――
「今日はミナトの誕生日だね~。嬉しいな。」
「なんで俺の誕生日なのにお兄ちゃんのほうが嬉しそうなの?」
「まったく、ノアはミナトが大好きなんだから。」
「主、誕生日おめでと~。」
そう、今日は俺が人間界に降りてきた日だ。
誕生日パーティーは今日から3日間行われる。
「主様、お誕生日おめでとうございます。1年間見ない間にずいぶん大きくなられましたね。」
「おお!オーガ、シズク、久しぶり!」
誕生日パーティーにはいつも聖獣3体が集まる。
1歳の誕生日パーティーの時に俺が3体を連れてきたときは家族のみんなびっくりしていた。
「1年間主人に会えなくて寂しかったです。シロがうらやましい。」
「へへん。主が僕と一緒にいたいっていうから仕方ないよ。」
「主様、こいつをかじってもいいですか。」
「えええ。オーガが怖いよ~。主助けて~。」
「ははは。3人とも久々に会えて楽しそうだね。」
コンコン。「ミナト、いいかな。」
お父さんが部屋に来た。
「おや、召喚獣さんたち来ていたんだね。こんにちは。」
「「こんにちは。」」
「ミナト、そろそろパーティーが始まるからおいで。」
「はーい。じゃあ、みんなまたあとでね。」
パーティーが始まった。
俺が座る椅子の前には王国貴族の長蛇の列ができている。
今日1日はこの人たちへのあいさつで終わりそうだ。
すっかり夜になった。
俺は一度休憩するために、自分の分身に貴族の相手をさせてバルコニーへ行った。
バルコニーの扉を開けると、同い年くらいのきれいな女の子が夜風に当たっていた。
俺はそのあまりの美しさに見とれていた。
「誰ですか??」
「あ、名乗らずにすみません。
こんばんは。僕はミナト・マーティンです。」
「あら、今日の主役の方でしたのね。知らずにごめんなさい。
私はサクラ・ルイス。本日はお誕生日おめでとうございます。」
「ルイス?これは、王女様でしたか。ありがとうございます。」
この女の子は俺と同い年の第1王女だ。今まで公の場に出てこなかったから顔を知らなかったが、今年は5歳ということで社交界の場に顔を出し始めたようだ。
「それでは今夜はお楽しみください。失礼します。」
それが俺と王女の最初の出会いだった。