大嫌いな向日葵は大好きなあなたに似ている
私は、向日葵が大嫌いだ。
庭に咲いた向日葵を見て、毎年このように思ってしまう。普通の人なら向日葵が好きで、嫌いなんて思う人はいないだろう。私が向日葵を嫌いになったのは、あなたが向日葵のようだったからだと思う。
私は地味で引っ込み思案な女の子だった。私はあなたのことが大好きだったけれど、あなたに話しかけることすらできなかった。そんな私はあなたに気づかれるはずがなかった。
だから、あなたは私以外の人を好きだったね。あなたの好きな人はとても明るくて、いつもニコニコしていた。そんな人達はまるで太陽のようだった。あなたはそんな明るい人達ばかり見ていて、私なんか見てくれなかった。
だから、あなたは向日葵だった。向日葵は、太陽の光を追いかけて、花を動かすけれど、月の光は追いかけないで、東に昇る太陽のために花を東に動かす。月はささやかに向日葵を照らしても、その光を見向きもしない。
だから、向日葵が大嫌い。
「おーい、そんなところに突っ立ってどうしたんだ。」
仕事から帰ってきたあなたは庭に立っている私に話しかけてきた。
「向日葵を見ていたの。」
「そうか。向日葵っていいよな。一途に太陽を見つめ続けていて。」
「一途なのかな?明るく光っているものならなんでもいいらしいわよ。」
「お前は、やっぱりあまのじゃくだな。理屈とかじゃなくて、素直に受け取ろうぜ。でもそんなこと言っておきながら、お前はその向日葵を毎年育てているじゃないか。俺は向日葵大好きだから、向日葵をたくさん見てきたけど、お前の育てる向日葵は別格に綺麗だよな。」
「そうね。これにはコツがあって、いい肥料を使うことが大事なの。」
そう言い終わると、私はあなたが手に掛けているスーツを受け取った。スーツには長い髪の毛が付いていて、かすかに女性用シャンプーの香りがした。
「また、いい肥料が手に入りそうだわ。」
「そうか、いい向日葵育ててくれよ。毎年の楽しみなんだから。」
「分かったわ。あなた。」
私はそう言って、にこりとほほ笑んだ。
あなたの太陽は、私だけだからね。
豆知識
昔はイワシを肥料に使っていた。しかし、イワシをそのまま使うのではなく、天日干ししたイワシを擦り潰して、土にまいていた。天日干しする理由として、イワシの血によって、農作物の根が腐ってしまうことを防ぐためである。この肥料が生まれた理由として、この時代にイワシが大量にとれており、余ったイワシの処理に困った昔の人が肥料として使ったことが由来と言われている。
確かに、本来は捨てて、置き場所に困るイワシを有効活用することができて一石二鳥ですね。




