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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ゴ~~~ン

作者: 京本葉一

 真夜中に梵鐘が鳴った。

 どこか歪な騒音が幾度も響きわたり多くの眠りを妨げる。

 近隣に住まう檀家は「あのクサレ坊主が」と苦々しく吐き捨てたという。


 その寺院は荒ぶる土地神を静めて建立されたとされる。徳の厚い僧たちが代々の住職を務め、いつの世も信仰を集めてきたが、戦争と敗戦を経た昭和中期、すべてが汚されていた。


 当時の住職は酒と女と博打に溺れる金の亡者であり軽蔑の対象であった。表沙汰にはならない非道な行いもあったようだ。他者を陥れ、権力を握りつづける才はあったのだろう。彼を裁くものはなく彼はその地位にとどまりつづけた。修行に励むものは寺を去っており、その原因である住職がひとりで生活をしている。真夜中に起こった異変は酔っぱらった生臭坊主の仕業であるとおもわれていた。


 翌朝、檀家のひとりが墓に参ることで事態が発覚する。


 血に濡れた梵鐘のそばに吊るされていた住職の頭部はぐちゃぐちゃに潰れていた。橦木(しゅもく)のごとく縛られて生きたまま頭部を鐘に叩きつけられたとみられる。その凄惨な殺害方法は暴力団組織の関与を疑わせるものであったが容疑者の確保には至らず未解決事件となっている。


 その後、新しい住職があらわれては災難が起こり死人がでた。紆余曲折を経て廃寺となる。土地を管理するものは行方が知れない。朽ちてゆくだけの廃寺となったその土地に、もはや梵鐘などありはしないが、いまでもときおり歪な鐘の音が聞こえるという。それは不吉な出来事の前触れとされている。

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