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第二十二話 酔いつぶれた変人と夕食。


「ちなみに今日はどんなご飯なの?家政婦さん」

「家政婦さん、ふふっ、面白いあだ名ですね。普通に坂柳とかでいいですよ。あ、そういえば自己紹介してなかったですね。名前は坂柳結奈です」

「あ、おおおお俺は山中隼です!!」

「じゃあ、山中さんって言えばいいですかね?」

「そ、そうだね!!」


(お前、こんなかわいい子がいるなら事前に言っといてくれや)

(いや伝え忘れたんだよ。てかお前きょどりすぎな)

(絶世の美女を目の当たりに普通にしゃべれるか!)

(まあその気持ちはわからんでもない)


俺から見てもこの子の可愛さは半端じゃない、とか口が裂けても言えないので飲み込んでおく。


「今から作り始めるところなので、小一時間ほど待っててもらってもいいですか?」

「り、了解です!」


取り敢えず、今からやることもないので隼が買ってきた酒でも飲んで世間話でもするか。

未成年がいる前での飲酒は少々憚られるが、せっかく買ってきてくれたしな。




―――何でこいつは自分が酒が弱いことを自覚しながら、こんなに飲んでしまうのか。

結局酔いつぶれてめんどくさくなった隼を介抱する羽目になった。


「結奈ちゃん、ハグしても良i―――」

「黙ってろ」

「へぶしっ!急に殴るなよぉ~!」

「くっつくなめんどくせえ」

「うえーん結奈ちゃーん!梗介がいじめてくるー!!」

「これは重症ですね……。取り敢えずご飯できましたよ~」

「やった~!美少女の手料理だ~!!」

「はいはい。あ、今日はたまたま和食だったので味噌汁用意してますけど、飲みます?」

「飲む!!!」

「なんかかわいい」


え、隼が?この酔いつぶれてくそダル絡みしてくる隼が??


「ほんとに言ってる?」

「え、はい」

「このめんどくせえ奴が?」

「なんて言うんでしょう、母性をくすぐられますね」


…………俺には一生わからんな。


「ささ、こんな茶番はさておいてご飯にしましょ!」

「そうだな」

「わーいご飯だー!!」


と、酔いつぶれた男子大学生、顔が抜群に良い女子高校生、俺で夕食を食べるというカオスな空間の出来上がりである。






「え…………うっっっっっま!!!???!?」

「そう言っていただけてうれしいです」

「お前、こんなおいしいご飯食べてたのか!しかもかわいい子に!?…………この子一家に一台あるべきだろ」

「それはわかる」


酔いつぶれてる人と初めて意見が一致した瞬間である。

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