ナコの街ミステリー!
「すごい血の量だな」
ベテラン刑事、五十嵐が部屋を見渡して言った。
「ええ、すごい量です。そりゃ死にますよね、これだけ出てたら」
そう話すのは五十嵐の相棒、百地だ。2人はこの5年間で数々の事件を解決してきた。今日も解決してくれるに違いない。ナコの街の平和を守ってくれ!
「おい、そこに落ちてるスマホ、画面ついてるじゃねぇか」
五十嵐の目線の先には被害者のものと思われるスマートフォンが落ちていた。画面には、バーチャルアシスタントであるSiriが表示されていた。
『林翔!!!!!!』
ダイイングメッセージだろうか。しかし、林翔という人物が犯人だとして、こんな証拠品をそのままにしておくだろうか。そもそもなんだこのエクスクラメーションマークの数は⋯⋯どれだけ大声で叫べばこうなるんだ。
あ、やべ、鼻に虫が入った。は、は、
「はっっっしょい!!」
久々のとんでもない勢いのくしゃみだった⋯⋯しまった! 被害者のスマホの画面を触っちまった!
『林翔!!』
あれ、エクスクラメーションマークが減ってるぞ。いや、1個前の履歴は『林翔!!!!!!』のままだ。ということは⋯⋯
「今誰か林翔!! って叫んだか?」
一体誰が⋯⋯
「五十嵐さん、あなたですよ」
百地が五十嵐に向かって言った。
「あなたのくしゃみが『林翔!!』だったんですよ」
そうだったのか、なら林翔!!!!!!は俺のくしゃみを遥かに上回る威力だったってことか。喉が張り裂けるほどの。
【死因:くしゃみ】