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ナコの街2  作者: 七宝


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4/13

腹痛

 私は大仏


 あなたも大仏


 みんな大仏


 クラスに1人くらいは大仏?


 ノンノン


 クラス全員大仏


「委員長〜」


 どうしたんです


「漏らしちゃった〜しかも原液!」


 大仏の私でもさすがにこれは処理できませんね⋯⋯原液となると、校内にいるのは危険ですね、避難指示を出しましょう


 おぱんつ


「誰ですか、こんな時に私の頭におぱんつを被せるのは。余計に神々しくなってしまうではないですか」


「あ! あの大仏ニヤけてる! 変なの!」


 誰です? 私に失礼なことを言うのは


 おぱんつを被れば誰でもこんな顔になりますよ


 悟っているのです



 ハッ! 変な夢見た!

 おはようございます、ナコです! うっ、お腹が⋯⋯痛てぇ。


「ナコー! 早く起きないと遅刻するわよー」


 お母さんが呼んでるけど、めっちゃお腹痛くて返事もできない。


「仕方ないわねぇ」


 お母さんが学校まで車で送ってくれることになった。今日休みたいんだけど。


「ってなわけでさぁ、めっちゃお腹痛いんだよねぇ」


 自分の状況を聞いてもらいたく、特に仲がいい訳でもない隣の席の坂田みなみに話しかける。


「ナコちゃんまた拾い食いしたんじゃないの?」


 拾い食いか⋯⋯あのルアー食べちゃダメだったのかな。かえしが胃に刺さってるのかなぁ。あー痛てぇ。やっぱり無理だ、ちょっと先生に言って保健室行こ。


「先生、すみません」


 手を挙げ席を立つ。横にずれようとしたその時、私は机に膝をぶつけた。


「どうしました? 長辺さん」


「膝ぶつけたあああ! お皿取れたあああ! 洗って戻さなきゃああぁぁぁぁぁああ!」


 私は痛さのあまり教室を飛び出してしまった。しかしこれは結果オーライ。どの道授業を抜けるつもりだったんだ。


「甘ったれんじゃねぇ! 戻れ!」


 保健室の先生に追い返されてしまった。仕方なく戻ることにした。ゆーっくり遠回りしながらね。


「お、体調はどうだ?」


 教室に戻ると担任の松田先生がいた。ということは今から日本史か。


「体調悪いですけど追い返されたんで戻ってきました」


 松田先生の授業はこの世で一番つまらないので、基本周りの子と雑談をして過ごす。どれくらいつまらないかというと、タラコの粒を20腹分数えろと言われて無給でやっている時くらいつまらない。


「昨日の夜、バイト終わって自転車で帰ってたらさぁ」


 この子はお友達のゆっこ。いつも私の家で集まるメンバーの1人だ。


「途中で荷台を掴まれた感覚があって、もう血の気が引いて冷や汗だらだらで、振り返ることも出来なくて、ひたすら自転車漕いで家帰ってすぐ布団にくるまって寝たの」


「こわ〜」


 本当に怖いのでこわ〜、しか感想が出てこない。本当に美味しいものを食べた時も、あれがこうだのどうだのって言うより、美味しい! って言っちゃうよね。


「んでね、朝起きて外出たら、自転車の荷台に長い髪の毛が絡まってたの」


「羨まし」


 松田先生が割り込んできた。自分がハゲてるからって怖い話に水を差すのはやめてほしいな。⋯⋯やっぱりお腹痛いなぁ。保健室の先生はもう当てにならないから勝手に早退しよう。


 お母さんに電話したら来てくれた。家に帰ると、妹の奈子二(なこつー)がいた。お前も早退したのか。


「くそぅ、お姉ちゃんがいない間にプリン奪おうと思ったのに」


 プリンなんか買ってねえよ。毎日毎日プリン買ってきてると思うな親と金。あれ、よく見たら奈子二の頭にピンクの物体が⋯⋯


「奈子二、何被ってるの? もしかしてベーコンじゃないよね」


 ベーコンっぽいんだけど、さすがにそんなわけないよね。でも一応聞いてみる。


「そうだよ、さっき巨大ベーコンでターバン作ったの。作ってすぐ冷凍したからベトベトにはならないよ!」


 そうか、奈子二は頭が痛くて早退して、今頭を冷やしてるんだな。そうに違いない。そうであってくれ。


「これね、髪に良いんだよ」


 違うのかよ。なんだ髪に良いって。そんなわけないだろ。てか、髪気にするような歳か?


「もしかしてそのターバンの中って波平ヘア?」


「いや、サイドがサザエさんでてっぺんが永沢君になってる」


 かっけぇな。

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― 新着の感想 ―
[一言]  どうせなら昆布でターバンつくったほうが、髪にいい気もします。
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