久しぶりの外食だよー!
こんにちは、ナコです! 今日は家族で外食をします! ドキドキワクワク! お父さんと、お母さんと、妹とと4人で行きまーす!
「へいらっしゃい!」
大将の威勢のいい声が響く。
「いなり寿司とかっぱ巻きと玉子で!」
妹の奈子二が元気よく注文した。
「かしこまりぃ!」
こういうお店って中々来ないから新鮮。実際私は初めて来たし。慣れた手つきで注文の品を作る大将。
「へいお待ちぃ!」
見事ないなり寿司とかっぱ巻きと玉子握りだ。奈子二は美味しそうに食べている。家族の笑顔っていいもんだね。
「パンツください!」
お父さんはパンツだそうだ。⋯⋯パンツ?
「パンツなんぞあるか! うちは蕎麦屋だ! となりの八百屋に行きやがれ!」
八百屋にもねぇよ。ていうかここ寿司屋じゃないのかよ。
「あいつは下着泥棒が本業だからパンツなら山ほどあると思うぜ」
大将が親切に教えてくれた。
「おっとこれは秘密だった。内緒な、ナ・イ・ショ」
お父さんは店を出ていってしまった。
「あいつは下着泥棒を極めてるから本当はそれだけで生活出来るんだけどな」
よく喋る大将だな。犯罪なんだから通報しろよ。下着泥棒だけで生活ってなんだよ、売るのかよ。じゃあ八百屋やる必要ないだろ。
「なんでわざわざ副業で八百屋をやってるんですか」
気になったので聞いてみた。気になることはすぐに聞くことが大事です。分からないことは恥ずかしいことではありません。この件に関しては知ってる方が恥ずかしい。
場面変わって八百屋の店主。
「被害者が買い物に来る商店街に店を出させてもらって毎日被害者の顔を拝む。これが本当の極みってもんじゃねぇかい?」
お父さんが真剣な顔で聞いている。
「自給自足、パンツだけ食ってらあ」
食ってんのかよ。
「しかし、下着泥棒なのにパンツだけしか取らないのはなぜなんです?」
お父さんが気になったようで質問している。そんなこと聞いてどうするつもりなんだ。
「ブラは骨があるから嫌いでい!」
なるほど、確かに。
「肉そばひとつ」
「うちは八百屋だよ! パンツしかねぇよ! となりの蕎麦屋行きな!」
「っていうわけで戻ってきました。大将、カルボナーラを」
「かしこまりぃ!」
一時はバラバラになった家族も、時間が経てばひとつになる。平和な平和なナコの家族なのでした。