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ナコの街2  作者: 七宝


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三途の川

「輸血だ! 同じ血液型の人はいないのか!」


 うっすらと目が見える。ここはしゅずつっちゅ、しゅつ、手術室なのかな⋯⋯


「富士通に連絡して富岳で調べてもらってくれ! 一刻を争う、早く!」


 そんなに血を失ったのか。人の血を入れるのって初めてだからなんか怖いな⋯⋯富岳?


「先生! 富士通からメールで返事が来ました!」


 早いな。さすが富岳。でもなんで富岳?


「先生、ダメです! 血液型ウーロン茶の人は地球上にいません!」


 え? 私血液型ウーロン茶なの? あ、思い出した。気を失う前に血の匂いじゃなくてウーロン茶の匂いがしたんだ。あれ私の血だったんだ。


「クソ! どうすれば⋯⋯! 今までどんなしゅずっ、ちゅっ、手術もこなしてきたこの俺の経歴に傷が付いてしまう!」


 自分のことだけかよ。堂々とそんなこと言わないでよ。でも頑張れ! 経歴が傷付かないように私を助けて!


「先生、富士通からまたメールが! 火星人の三村 良夫(よしお)さんがウーロン型だそうです!」


 ウーロン型って呼んでるのか。⋯⋯ってえ!? 三村くんもウーロン茶なの!? ていうか火星の情報まで調べられるのすごい!


「そうか⋯⋯あと何分くらいで着くんだ?」


「いや、それが、火星からこちらに来る手段はないそうです」


 期待させんなよ!


「クソぅ! 俺が患者を救えないだなんて⋯⋯!」


 先生⋯⋯


「娘に! 娘に会わせて! 部屋に入れなさいよ!」


 外からお母さんの声がする。私が心配で来てくれたんだ⋯⋯うれ⋯⋯し⋯⋯


「先生、心拍が!」


「クソーーーー!!」


「ウーロン茶飲めば治るから! 持ってきたから早く部屋に入れて!」


 結局、お母さんが持ってきたウーロン茶を飲んで私は一命を取り留めた。外科の先生は自分の経歴に傷が付かなくて良かったと喜んでいた。私が助かって良かったって言えよ。嘘でも。


 後日、手術代と富岳の利用料9900万円を請求された。

ナコの異変①血液型がウーロン茶になった

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― 新着の感想 ―
[一言] 「京」だったら、請求額、兆を超えてましたね(汗)
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