アビボ共和国③
こんにちは、ナコです! 今、七宝というなんでもアリの生き物の背中に乗ってアビボ共和国に向かっています!
「猫だってば。もう着くよ」
七宝には心の声も聞こえるようだ。滅多なことは言えないな。もう着くのかよ、まだ家出て10分だぞ。
「ようこそ!」
アビボ共和国の受付の女性が元気よく言った。
「6名様ですね! こちらのコップとお皿をお持ちください!」
猫もちゃんとカウントしてくれるようだ。コップとお皿を貰ったけど、なにこれ。あと突っ込むの遅れたけど、この受付嬢なんなの? そういう場所じゃないだろ。
「席に箸、スプーン、フォークがございますのでお使いください」
それから受付嬢は丁寧に説明してくれた。この国はバイキング形式で、何回でも取りに行っていいが、客数があまりに多いため皿が1人1枚しか用意出来ず、デザートを取りに行く時は紙で拭いてから取りに行った方が良いと言う。そして、どれだけ食べても無料だという。アルコールも充実しているが、私たちはJKなのでもちろん飲まない。七宝は知らない。
「よっしゃ飲むぞ! 手羽先手羽先ーっ!」
どうやら七宝は飲む気満々のようだ。とりあえずアビボに来たからには私たちも楽しまねば。イカの塩辛あるかな。
「どれだけ殴っても壊れないサンドバッグありますよ〜」
係員の誘導であさひちゃんがどこかへ行ってしまった。本当に壊れないのかな。ほこたてになるよ。
「大仏見放題ですよ〜」
サンバサンバブンバボンバがつられてどこかへ行ってしまう。
「ゆっけ食べ放題ですのよ〜ん」
ゆっこが連れていかれる。
「ハッカ飴作り放題ですよ〜」
麤珠美もどこかへ行ってしまった。
「もふもふパンダちゃんいますよ〜歯も爪も抜いてあるので安心して触れますよ〜」
もふもふ! うっひょーい! ⋯⋯歯も爪も!? 危ないところだった、私までどこかへ連れていかれるところだった⋯⋯
アビボ共和国は人口世界一を目指し、そのためなら手段を選ばない国として有名なのだ。甘い罠で外国人を釣り、アビボに慣れさせることで知能を低下させ、いわゆる「アビボ化状態」にするのだ。共和国とは名ばかりで、裏にいる人間がアビボ化したバカどもを操っている。そのために可愛いパンダまでも⋯⋯! 許せない!
とはいえ、全員バラバラになってしまった。結局1人で来たのと変わらないじゃん!
「#$#♪♪&€4(^-^)」
アビボ人が話しかけてきたが、当然何を言っているのか分からない。分かりたくもない⋯⋯
「@@@@@☆(^-^)」
「はは⋯⋯」
愛想笑いでやり過ごす。
「僕は変態、君の後ろにいる(^ω^)」
アビボ化していないけど変な人がいる。こんな奴に背後取られてると思うと怖くて動けない。
「その後ろにワイもおる!? ((( ;゜Д゜))」
もっとヤバそうなのもいた。え? じゃあ私を先頭に今3人並んでるってこと? 怖いの通り越して面白いんですけど。背後霊みたいだし行列だし、行列の出来る霊媒体質者ってか。振り返ってみよ。
しかしそこには誰もいなかった。そしてやたら肩が痛い。
「今君の上にいます、靴で(^ω^)」
重いよ。
「その上にワイもおる⋯⋯(´;ω;`)」
なんで泣いてんだよ。重いんだよ。
「月まで届かせるぞー!」
私潰れるよ!?
「気合い入れろー!」
気合いで何とかなるわけねぇだろ! アビボ人はバカしか居ねえのか!
「リーダー! あと2cm足りません!」
「キンタマ伸ばせ!」
かの斉天大聖も使用していたという、にょいボール。
「無理です! 月の近くは寒すぎてωがキューってなってます!」
冬はバリカタ、夏は液状。無理ならもう協力しなくてもいいよね。お辞儀するよ。ペコっ。
ドシャーン! ドサーン! ドサンドサンバサンバブンバボンバ! ドーン!
こうしてこの国にいた人は全員死に、私と不死身の七宝だけが生き残った。
「ねぇ七宝、作者なんだからみんなを生き返らせてよ」
「アビボ人も?」
「いや、私の友達だけでいいよ。もちろんミーコも忘れずにね」
七宝が念じると女子高生が5人生えてきた。見た目も声も同じだが、なぜか偽物感がある。気のせいだろうか。
「みんなありがとね! 私のためにわざわざここまで来てくれて!」
いつもの顔のミーコが言った。良かった、アビボ化も解けてて。もし自力で解くことになってたら1年間は息を止めてなきゃいけない、さすがのミーコでも死んでしまうところだった。
「さ、帰るべか!」
七宝はそう言うとまたオープンカーに変身した。大親友のミーコを助け、ついでに悪の国を滅ぼすことが出来た、大満足だ。




