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異世界に揉まれて  作者: オレンジキャット
第0章 突然転移した異世界で
9/23

化物がまた増えた

これくらいなら書ける……

 光が入ってくる。

 ……結局寝ちゃったんだな。寝落ちはよく夜更かししてやってたし、もう癖みたいなもの……ん?


「キュ―リ?」

「ニャ!」

「あ、おはよう。……えっと、なんで?」


 あの馬みたいな奴の毛がもふもふすぎて、気持ちよかったからあそこで寝てしまったはずだ。

 だというのに、隣にはキュ―リがいる。

 ルルはどこだろうと周囲を見渡すと、口から炎を吐き、その炎に翼を当て、身体を縮こまらせるようにしていた。

 馬もどきもその炎に近づいてブルブルしている。

 ……俺が寝ている間に、何があったんだろう。


「キュ―リ、あいつらどうしたんだ?」

「ニャ~?」

「お前も分かんないか……」

「キュ!キュッキュ、キュウ!!」

「ワフ、ワン、ワオーン!」

「……あいつらがキュ―リを示しているぞ?」

「ニャ?ニャー……」


 キュ―リがルルと馬もどきに視線をやった。

 なんということでしょう。ルルと馬もどきがキュ―リを示すことを止めたではありませんか。

 ……絶対キュ―リが何かしたな。大方吹雪を口から出したとか、寒がらせたんだろう。なんでそんなことが起きたのかは分からないが、キュ―リは怒らせたら駄目だな。


「まあ、いいや」

「ニャ!」

「さてと……」


 この件に深くかかわるのはやめておくとして。

 問題はこの馬もどきだな。


「馬~黒い馬~」

「ワフ?」

「ルルは炎、キュ―リは氷……なら馬はなんだ?」


 どうせこいつもとんでも能力を秘めているに違いない。ルルといい、キュ―リといい、これまでの人生でニュースでしか見たことないような自然現象をも超える力を有していた。

 なら、こいつらと同類の可能性は高い。

 能力を持っているのは別にいい。つーか一緒に行動しているのも成り行きだし、いつかは別れる日もくるはずだ。

 だがあのモフモフの毛を逃すのは惜しい。久々にフワフワの枕の感触を味わえた。あれを味わってしまった以上、自分の腕では当分眠れる気がしない。


「ニャ―ニャ」

「この地面……か?」


 キュ―リが示したのは馬もどきの歩いてきた地面。遭遇時から気づいていたが、毒の地面の色よりもなお黒く、悍ましさを感じるような濁った色をしている。


「ニャッニャ!」

「ワフン……ワオーンッ!!」


 何かしらキュ―リが指示を出したのか。馬が吠えたと思えば、全身から黒い靄を噴出させた。


「……待て、待て待て待て待てよおい……」

「キュウ……!?」


 木が、溶けた。

 黒い靄が紫色の木に当たったかと思えば、一瞬にして蒸発した。いや、消えたのか?

 試しにと思い、ルルに切り離してもらった木の枝を濁った地面に投げてみた。

 ……溶けた。

 なるほどなぁ、こいつは消失能力、引いては物を溶かす……腐らせるだな。靄を放出するのをやめても、連鎖的に木がどんどん崩れていく。

 ……炎、氷、腐敗能力か……インセイン危険世界だろ。死獣の森、強いては死獣の力なのかもしれないが、三つ目の人間もどきの目も危険な感じだった。この森は化け物共が闊歩し、毒の地面による危険地帯なのだろう。だからこそ、ここの外から内側は守られているのか。

 逆に外に出た方が、俺にとっては危険なのかもしれない。

 ……すぐ近くに、俺を燃やしたり、凍らせたり、溶かしたり出来る奴がいることは置いておこう。そうやって殺されたらしょうがない。こいつらからは逃げようがないのだ。


「よし、お前はゼブラだ。これからよろしく……するかは断言できないが、どうせついてくるんだろう?」

「ワフ!」


 これで3体目。危険生物の中でも一際危ない個体が3体。

 ……まぁ、ルルは綺麗になった、俺のお気に入りのパーカーを着てそこらを走り回ってるし、キュ―リは綺麗になった俺のズボンを履いているし、ゼブラは俺に顔を擦り付けて来るし……危険生物とは思えないな、これだと。


「でもなぁ……ルル!何俺のお気に入りのパーカーの背中に穴開けてんだ!?せっかく綺麗になったのに!」

「キュキュ!?キュ、キュキュッキュ!」


 確かにあげたよ?あげたけど……それはゲロに毒虫の気持ち悪い液体がついてたからであって、綺麗な状態なまた別だろ……はぁ。


「もうルルのだもんな、しょうがない」

「キュッキュ~♪」

「でもお前はおかしいだろキュ―リ!」

「ニャ~?」

「いや、何が?って何勝手に俺のズボン履いてんだ!?やった覚えねえぞ!ああ、骨だから腰横破けて……あ、勝手に引き裂くな!やめろ!寝巻のズボンをダメージジーンズみたいに改造するな!」

「ニャ~ニャ!」

「……うん、そうだね。もう俺が来たらただの変態にしか見えないだろうね。もう、わかったよ、やる。やればいいんだろ!」

「ニャ~♪」


 ああもう、好き勝手やりやがって……でもこいつらを抑える方法がないんだよな。暴力にでも走ったら返り討ちに合って一撃で死ぬだろうし……。


「ワフ」

「ゼブラ……お前だけだよ、いい奴はさぁ……」

「キュキュ!?」

「ニャニャ!?」

「ワフ~♪」


 こうなったら……俺が強くなるしかないな。



***



『ふふん、俺が一番印象良いみたいだな?』

『こ、この糞爺……あたしたちの行動を逆手にとってまた撫でられやがって……』

『爺言うな。殺すぞ』

『でもぉ、ゼブラはなぁんにも身につけられないから別にいいかなぁ~』

『なっ!き、気にしていたことを……キュ―リめ……』

『確かにな!このパーカーとか言う衣装は気持ちいいし、何よりあいつに包まれてる感じがするんだよ!ははっ、羨ましいだろ!』

『ぐ、ぐぬぬ……』

『次はシャツなるものをもらいましょうか』

『あっ、おいずりぃぞキュ―リ!』

『ルルは1枚で事足りるでしょ。私には上も必要なのです』

『この身体のせいか……どうにかしてみるか』


 ルルとキュ―リが彰人のシャツを奪い合う中。

 彰人に撫でられながら、ゼブラは白い地面の上に咲いている花に目を向け、あることを思案していたのだった。


花の名前決めてなかったな、そういや……どうしようかな。

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― 新着の感想 ―
[一言] 白い花の名前候補です!↓ 既存の花の名前ですがポメンセチアと言う花はどうでしょうか?花言葉で慕われる人と言う意味がありますルルやキューリなどに好かれやすいので良いかな?と思いましたw(名前を…
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