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繰り返す、きみといつまでも。  作者: うちの生活。


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2064年11月 亮

 それが俺の仕事です。ってくらい、相変わらず家に居る事が多い。外に出られないんだから仕方ない。


 そんな中で楽しめるのは、テレビを見たり、パソコンでネットや動画を見たり、本を読むぐらいだ。ネットを見るついでに通販で本を買っていたら、買いすぎてしまったようで本棚が雑然していた。それに気づいてしまうと見栄えが悪いし、暇つぶしにもなるので整理する事にした。


 本棚の本を一旦全て出す。新しく買ってはいるものの、実はまだ読んでない本もある。もともと置いてあったミステリーっぽいもの、恋愛ものはあまり読みたいとは思わなくて手つかずになっている。今後も読むことはないだろう。


 全て出したはずの本棚に目をやると、一冊の古いノートがあった。本の後ろにでも隠れていたようだ。本と同じようなサイズだから、今回のように全てださないとわからなかったんだろう。


 …誰のだろう?結構古そうだし、さすがに俺のじゃないだろ。ばあちゃんに聞いたらわかるかな。


 中を見ていいものかと少し迷ったものの、この部屋にあったんだしいいかとペラペラっと最後までめくってみた。最初の十数ページには日記のようなものが書いてあり、日付と短い文章が繰り返されている。それ以降のページには何も書いていなかった。人の日記を見るのはどうかとまた迷ったものの、好奇心には勝てなかった。それに読めば誰のものかわかるかもしれない。


 書いてあった内容は、本棚にあったどの小説よりも文字数は少ない。読んでないものも含めてもそうだろう。そして、小説のように面白い話が書いてあるわけでもない。…そう、少し気になる事が書いてある。そんな程度の日記のはずだった。それでも、気づけば何度も繰り返して読んでいた。



「これ、何なのか知ってる?」


 一階でテレビを見ていたばあちゃんに本棚で見つけたノートを渡した。受け取ったノートを見ているばあちゃんの表情に変化はないように見える。


「多分、以前の亮が書いた日記だろう」


 そう言ってノートを返された。


「読んでみたら、記憶喪失って書いてあったからそうかもなとは思った。でも、どうしてそんなに古いノートに書かれてたんだ?」

「…⋯昔、ばあちゃんが買ったけど使わないでいたやつじゃないかな」

「昔って…いつの話?」

「覚えてないよ」


 ばあちゃんの答えには納得できない。


「その日記は何度も、何度も読んだよ。その上で聞くよ?…俺はいつからここにいるの?いつからこうなってる?」

「……昔から⋯…」

「俺の親はどこにいる?じいちゃんは?」

「…もういない」

「ばあちゃんの……、ばあちゃんの名前は?」

「………」

「……教えてくれよ⋯…」

「……⋯美穂だ」


 答えてくれなくても、名前に関してはそうだろうと思ってた。何かで見た気がする。でも、答えるのに躊躇するようなことはないはずだ。…ばあちゃんが言った通りに以前の俺がこの日記を書いたとしたら……いったいいつからこうなっているんだ?それに⋯⋯⋯それに、ばあちゃんは⋯⋯ばあちゃんじゃないのか?……いや、そんなわけは⋯⋯⋯。


「…ごめん。ちょっと具合悪くなってきたから、後にしてくれるか」

「…は?……いや、わかった」


 ばあちゃんをもっと追求したかった。でも、自分も今の状況をすぐには消化できなさそうだ。…一体どうなってるんだ?


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