なにも召喚だけが世界を渡る方法なわけじゃない
こんにちは、いちのすけです。
このたび、深夜テンションで書いた小説をなろうに初投稿してみることにしました。
拙い文章ですが、温かい目で見てもらえれば幸いです。
私立慶田院大学付属高等学校。各界トップの子孫たちが集まる、日本のリーダーを育てる超エリート学校である。俺は今日もこの学校で暇を持て余していた。今は3時間目で現社だったのだが、珍しく先生が休みで課題学習なのだ。机に突っ伏しているだけなのも暇なのでここで自己紹介。
俺、進藤 憲一は日本が誇る超大手企業グループ、進藤重工グループの会長の孫である。自分で言うのもアレだが高校2年生とは思えないほどの頭脳の持ち主で、10万を超える新理論や法則を発見した科学者としての顔もあわせ持つ(発見したもののほとんどは危なすぎるので公開していない)。まあ友人には『天才だがアホ』だの『日本語を日本語ではない言語のように思わせる変人』だのひどい言われようだが。解せぬ。
一人で自己紹介なんて言う哀しいことをやっていると、なぜかクラスメートが騒ぎ始めた。何事かと思って目を開くと、床に魔法陣のようなものがまばゆく光っている。
(HAHAHA、まさか、そんなことあるわけないよな)
そんなことを思いながら、俺は気を失った。
* * * * * * * * *
「世界を救う勇者たちよ、よくぞ参られた!」
クラスの全員が目を覚ましたのを見計らって、見た目的に宰相っぽいおっさんがそんな言葉を放ったので、クラスメートは大混乱だ。その様子はさながら動物園である。
(異世界召喚か、設定的には嫌いじゃないんだけどな。まさかホントに起きるとは)
くだらないことを考えつつも俺は脳をフル稼働させて状況把握を開始した。神殿のような場所に、神官のような服を着た男数十名、騎士数十名、貴族や大臣のような者が十名弱に王族と思われる者が数名。中世のような感じだが、窓の外を見るとでかい島が空に浮いていた。あれは、天空の城なのか?ラ○ュタなのか!?
「勇者たちよ、いきなりはるか遠い世界から呼びつけたのは申し訳ないが、そなたたちには魔王を討伐しに行ってもらいたい」
玉座に深々と座った王らしき男がそのような言葉を放つと、茶髪にピアスの男子生徒(名前なんだっけ?)がすかさず声を荒げた。
「はぁ!?なんだよそれ!なに勝手に呼びつけてんだよ!今日は家で『木曜日のダウンシティー』観たいんだけど!」
茶髪ピアスよ、最後のは完全にお前の勝手な願望だろう。こういう場ではそういうことを軽々しく口にするんじゃない。あと相手は王っぽいし、せめてもう少し丁寧にしたほうが身のためだぞ。
「なっ、陛下に向かってそのような口調とはなんと無礼な…ッ!」
やはり、宰相は王への無礼に対し顔をゆがませ今にも怒鳴りつけようとしていた。しかし、彼の怒りの叫びは高1くらいの少女(王女らしい)の胡散臭い泣き落としによって遮られた。
「申し訳ありません、本当に申し訳ありません。ですが私たちにはもうこれしか方法がなくて…」
王女が涙を浮かべるのを見て茶髪ピアスやクラスメートは黙ってしまう。少女が泣いているのを見てもさらに責めることのできる者がいたとすれば、その者はかなりの猛者である。まあ俺は出来るけど。
ただ、俺は彼らの話は嘘だと思う。俺がいつも携帯している『携帯式情報処理システム PIPS (Potable Information Processing System)』(俺が開発した)が、若干の精神干渉波を検知したのだ。数十人の神官のうち、一番手前の十人ほどが放射している。ちなみに、この精神干渉波を浴びると相手の言うことを若干信じやすくなってしまう。まあ俺と俺の幼馴染で彼女の安住 咲はそういう類の攻撃に対する対抗策をとっているため平気なんだが。ちなみに咲は現職の総理大臣を務める政治家を父にもち、彼が俺の父の古い友人であった。なので親の付き合いもあり小さいころからよく一緒にいた、俺の数少ない大切な人である。
その後地味なおっさんがこの世界について説明した。まさに異世界で、ステータスとか魔法とか魔獣とかが存在するらしいが、詳しい話は聞き流した。つまんないし。
一通り説明が終わると、クラスのリア充グループのリーダーともいうべき男、月句 俊介が困惑しながら立ち上がった。あ、彼は超人気俳優と超美人タレントの息子である。彼はよく幼馴染の咲を口説こうとしているが、毎回1秒以内に断られている。そして、咲の彼氏の俺が気に入らないらしく俺に汚い手を使ってよく攻撃を仕掛けてくるが、何をするにしても俺からしてみればアリが動いているようにしか思えず、効果はないに等しい。そもそも彼氏持ちを口説くって頭沸いてんじゃねーの。ちなみに、表向きはクールなイケメンとしてもてはやされている。内面くそ自己中だが。お、アイツなんか話し始めたぞ。
「ちょっといいですか。話を聞く限りここは僕たちが住んでいた世界とは違う世界らしいですが、僕たちは帰れるんですか?あと、魔王を倒すって言われても僕たち戦ったことなんてないに等しいんですが」
「うむ、元の世界に変える方法はある。だがその反転召喚魔術を使用するには莫大な魔力が必要なため、魔王討伐後に魔王の死体から『魔王核』と呼ばれる魔力の結晶のようなものを手に入れる必要があるがな。我々もとても残念だが、これ以外の方法で術式を起動させることはまず不可能だ」
王がそう述べたのを聞き、俺の中で彼らに対する怪しさは最高潮に高まった。
(こいつは脅しだ。元の世界に帰りたければさっさと魔王を討伐して来い、ってところか。さっきの精神干渉波もまだ続いているし、こいつら相当のワルだな)
「また魔王討伐に関してだが、重要な話なのでよく聞いてもらいたい。まず、魔王討伐のために召喚された者たちには、最低でも強い魔物を討伐可能なくらいの何かしらのスキルが与えられる。スキルは1から10までの10段階のレベルであらわされる。魔王討伐可能なレベル10となるとこのなかでも4,5人程度だが、それ以外の者も一般的にはとても強いと認識されるくらいには強くなれる。まあ、そのスキルの強弱はその者のポテンシャルに影響されるが」
「それではこれから皆さんのスキル判定及び基本ステータスの確認をおこなわせていただきます。こちらに4列に並んでください」
神官のような服を着た男がクラスメートを誘導する。そこにはガラスの板のようなものが置かれており、おそらくあれでスキルやらステータスやら調べるのだろう。さっきから男子諸君が「俺TUEEEEじゃね!?チーレムじゃね!?」などと騒いでいる。魔王を倒す気まんまんだそうで、まったくのんきなことだ。
列の一番後ろに並んでいると、咲がやってきた。
「変なことに巻き込まれたね。まあ、ケンちゃん落ち着いてるし、なにかいい策でも思いついたの?」
「うん、まあね」
「やっぱり。こういう状況になってもケンちゃんいるから安心できるんだよね」
「よせ、照れるってば。まあ、何かあっても全力で咲を守るけどね」
「ちょ、ケンちゃんが本気出したら宇宙が崩壊しそう…。でもうれしい、ありがとっ」
そんな感じで咲と幸せな時間を過ごしていると、俺たちのスキル判定の番がやってきた。ちなみに、魔王討伐クラスの最強スキル『勇者(10)』をもっていたのは月句で、月句を含む彼らリア充グループ4人すべてが魔王討伐クラスのスキル持ちだった。
咲が板に手を当てると、スキルとステータスが表示された。ステータスはそこまで重要視されない。概算値でしか出てこないからだ。そして、咲のスキルは『コマンダー(10)』というもので、それぞれの人に状況に応じて最適な指示を出す、というものだった。魔王討伐パーティーにおいても非常に重要な役割である。王とかがめっちゃ喜んでた。
「えへへっ、なんかすごいの出ちゃった!ケンちゃんはどんなすごいのが出るのかな?」
嬉しそうにこちらに駆け寄ってきてそういった。
「さあな、今からやってみればわかるだろ。えーと、ここに手をあてるんだっけ」
神官が言っていた通り、板にあてた。すると、ステータスは出てきたのだが、スキルが全く出てこない。念のためほかの板でもやったが、結果は同じだった。咲も隣で不思議そうにしている。
「スキルがない……、も、もしかして、無能者、なのか……?」
王がそうつぶやくと、場がざわつき始めた。『無能者』とは何か、そんなことわざわざ聞かなくても考えればわかる。『無能な者』、である。
すると、月句がこちらを指さしながら大笑いし始めた。
「ハハハハハッ、そうかそうか、進藤、君は『無能者』だったんだね!何の役にも立たないクズっていうわけか。はー、いい気味だ。安住さん、これで分かっただろう、誰が君の隣にいるべきか。さあ、安住さん、こっちへ来るんだ。そんなクズなど放っておいて、僕と一緒に世界を救おう!」
クラスメートたちが俺に嘲笑を込めた視線を向けてくる。彼らは次第に、俺の悪口を言い始めた。本当にこのクラスにはろくなやつがいないと思う。さらに、王族や貴族なども冷たい視線を向けてきた。咲は反論するが、皆それに耳を傾けようとしない。だが、何度言ってもかたくなに月句の誘いを断り続ける咲にしびれを切らしたのか、月句は声を荒げた。
「チッ、ぐだぐだとうるさいな。きみは黙って僕のところに来ればいいんだよ!僕が愛してあげるといっているんだ、それ以上に幸せなことがあるのか!?」
「いや、気持ち悪い!私は何があっても、ケンちゃんとずっと一緒にいる!」
咲は俺を信じていた。そして、気づいていた。これだけ不利な状況に置かれていてもなお、俺の心が折れていなかったことを。俺を深く愛し、俺をずっと見てきた咲だからわかることだった。自分で言っててすごく恥ずかしいが。
「そうか、進藤、君のせいで安住さんは惑わされているんだね。そうか、そうか……。ならば排除しなければ……。……フッ、進藤、残念だったな、君はもう詰んでいる。元の世界では周りの目を気にして暴力沙汰は起こせなかったが、ここじゃ何も証拠が残らないし、君よりも僕のほうがスキルのおかげで圧倒的に強い。スキルの使い方もなぜだか知らないがよくわかる。うん、僕の手で君を一足先に元の世界に戻してあげよう。感謝するがいい。あ、でも間違ってあの世に送っちゃうかもしれないけどねッ!」
月句から金色の光のようなものがあふれ出し、その光は一振りの剣となった。そして彼は目にもとまらぬ速さで憲一のもとへ駆け出した。もはや憲一の命はない、もしかしたら憲一の後ろにいる咲もケガをするかもしれない、誰もがそう思った。だが、咲だけは違った。
(ケンちゃんは、絶対に負けない……ッ!)
皆が固唾をのんで見つめていた。月句のまばゆい閃光が、俺のもとで炸裂した。皆は思わず目をつむった。
ドォォォォォォォォォンという轟音が響いた。
≪ピッ、致死性の攻撃を確認、オートディフェンス、正常に実行されました≫
異世界ではまず聞くことのないような、電子的な声がかすかに響く。その音は、爆音に紛れ皆の耳には届かなかった。
光が収まり、皆が目を開けると、皆にとっては信じられない光景が広がっていたであろう。あれだけまばゆく輝いていた月句の光は消え失せ、なぜか身動きとれない月句に向け、日本ではあまり見ることのない、『拳銃』を俺が突き付けていたからである。
「くっ、どうなっている……。スキルの使い方も間違いなかったはず、そしてあの『聖光の剣』はこの世のどんなものでも消滅させるはず……ッ!」
「知らんがな。まあ、いくらスキルとやらで強化したところで、お前は俺には絶対に勝てないってことだろ」
実際は、『エリアディファイナー』、正式名称を『00式空間融合物理法則再定義装置・改』というこれまた俺が作った腕時計型の装置のおかげである。簡単に言えば元の空間に新しく作った空間を融合させて、物理法則やエネルギーを一定量域内で操る装置のことだ。存在自体秘匿されているので、俺のマジカルパワーだと言ってごまかした。月句は、俺が握っている拳銃を見て、さらに喚き散らす。
「君は拳銃を持っているではないか!銃刀法違反だぞ!」
「いや銃刀法とかいわれてもここ日本じゃないし、そもそもお前だって最強スキルでつくった剣でスキルを持ってない俺を殺そうとしたじゃねーか。あ、そーだ、そんなことよりそこのアンタ。聞きたいことがある」
俺は王に指さして言った。不敬罪だとか言っている奴がいたが、エリアディファイナーでぶっとい柱を粉砕して見せて黙らせた。
「な、なんだ」
「さっきさ、俺たち返せないって言ったときにさ、『我々もとても残念だが』って言ってたじゃん?ってことはさ、帰る方法があったら帰ってもいいってことだよな?」
「うむ、確かにそういったが……。いま、そんなことはどうでもいいであろう。どうせ魔王を討伐せねば帰れないのだしな。それよりおぬし、素晴らしい力を持っているな。先の非礼を詫びよう。どうだ、魔王討伐パーティーに入らないか。望むものはなんでも用意するぞ」
「え、いやだよ」
「なっ、こ、これは陛下のご命令であるぞ!」
宰相っぽいおっさんが大声で怒鳴る。この状況でもまだそんなことを言っていることに、思わず深いため息をついてしまう。
「ハァ……、あのな、お前ら自分の状況分かってる?あんたらのいるところも俺の力の領域に入ってるんだが?いいか、これだけはよく覚えておけ。この領域では、俺がルールだ。すべての事象は、神と俺のもとにある」
それっきり、王や貴族は黙ってしまった。
「まあ、いいんじゃねーの?俺とまではいかなくても、こいつらそこそこ強いっぽいし。月句なんて世界救うのにやる気満々だからねー」
月句に対し嫌味を放った。月句は悔しさにした唇をかみ、殺されるかもしれないという恐怖で身を震わせながらも、精いっぱいの虚勢で俺に対しこう言ってきた。
「君、そんなこと言ってるけどさ、魔王を倒さない限り元の世界には帰れないんだよ?君だって早く元の世界に戻りたいだろう?ならさ、僕たちに協力するのが一番いいと思うんだけどなあ」
クラスメートたちも、「そうだ」だの「一人だけさぼってんじゃねー」だのヤジを飛ばしたが、俺は気にせず口を開いた。
「は?なにも召喚だけが世界を渡る方法なわけじゃないだろう。僕と咲は先に帰ってるから、魔王討伐頑張れよ」
そして、俺は腕時計に向かって、
「こちらHQ、『りゅうぐう』浮上せよ」
とつぶやいた。
すると、地面が輝きだし、鋼鉄の鯨とも呼ぶべき巨大な艦が現れた。月句をはじめとするクラスメートや、王たち召喚した側も腰を抜かしてしまったようだ。皆口を開けたままあうあう言っている。正直言って面白い間抜け面だ。写メとっておきたい。
「個々の広間に天井が高くて助かったな。普通の天井の高さだと青空がコンニチハだもんなぁ。さて、咲、帰ろうか」
咲はこの艦を知っているので皆のようには驚かない。すたすたとこっちに歩いてくる。
亜空間潜行艦『りゅうぐう』。俺が過去に作ったものの中でも最も巨大で、最も高額で、最も先端的なものである。『亜空間潜行艦』とはいっているが、亜空間を潜行し異世界へと浮上することも可能なモノスゴイヤツなのだ。ちなみに高額といったが、材料は宇宙から持ってきたものなので大してかかってない。
俺と咲が『りゅうぐう』に乗り込もうとしたところで、クラスメートたちが何やら叫び出した。ちなみに皆腰が抜けてその場から動けないままではあるが。
「おい、自分たちだけ帰るのかよ!」
「私たちを見捨てるつもりなの!?」
どうやらクラスメートたちは一緒に帰りたいらしい。いやでもさっきまで魔王倒すとかほざいてたのに?しかも、月句までなんか言い出した。
「僕らは仲間じゃないか、仲間は助け合うものだろ?」
さっきまで俺に敵対していた月句がコロッと一変、気持ちの悪い笑みを浮かべながら馴れ馴れしく俺に問いかける。周りのやつらも便乗してるし、クズしかいないのかな?まあ、そんなことを言われたところで、返す言葉は一つである。
「いやだよ、てか殺そうとしておいて今さら仲間ごっことか頭沸いてんじゃねーの。魔王倒すんだろ?せいぜい頑張れよ、お気の毒様。ざまぁみやがれ」
俺はそういうと咲と一緒に艦に乗り込みハッチを閉じた。外で月句がなんか喚いてるっぽいが気にしない。CICで操縦コンピューターに帰還命令を出す。すると地面がもう一度輝き、艦は虚空へ沈んでいった。
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無事に元の世界に戻ってくることができた俺と咲は、とりあえず学校の先生に「自分たちが教室の外にいる間にクラスメートが全員いなくなった」と伝えた。警察が捜索をしたが、見つかることはなく、生徒の集団失踪としてしばらくの間話題になった。
数年後、そんな話題も忘れられかけたころ、当時の教室に彼らは戻ってきた。その時は夜だったため、世間の人々は彼らが異世界から戻ってきたことを知らず、こっそり戻ってきたものだと思い込んだ。警察が事情聴取するも、「自分は魔王を倒した。これは魔王の爪だ」だの、「私は魔法が使えるが、今は魔力切れで使えない」だの、「召喚されたとき2人だけ潜水艦みたいなのに乗って帰った」だの言うので、精神的におかしくなったとして皆病院に送られた。彼らはまたお茶の間の話題としてしばらく世間を騒がせていたが、すぐ忘れられた。彼らの言うことが真実であるということは、俺と咲とその家族しか知らない。
そんな俺と咲はその後結婚して幸せな生活を送っている。
* * * * * * * * *
≪後日談≫
結婚した後、天才的な頭脳を駆使して金儲けに専念した俺は、24歳になるころには一生遊んで暮らせる金を手に入れた。無人島と移動用の小型ジェット機を買い、金にモノを言わせて無人島を「超快適悠々自適スローライフアイランド」に改造してそこに移り住んだのだが、テレビでニュースを見ていた咲がいきなりお茶を噴き出した。
「えっ、なに!?どうしたの!?はいこれタオル!」
普段他人に見せないような狼狽ぶりを見せた俺は、慌ててタオルを咲へと差し出した。咲はお礼を言ってタオルを受け取ると、テレビを指さした。テレビではワイドショーのアナウンサーが困惑した様子で速報を読んでいる。
「―――えー、新しい情報が入りました。12時27分ごろ、先日オープンした巨大貴金属販売店にて40人ほどの強盗グループが押し入り現行犯逮捕されました。犯行グループは昼間の休憩中に店に押し入り、店員にナイフを突きつけ、同店にて展示中であった日本一の大きさを誇るダイアモンドを渡すよう要求しました。店員がこれを拒否したところ、犯人らの数名が、……え、これ、ほんとに読んでも大丈夫?……えー、失礼しました。店員がこれを拒否したところ、犯人らの数名が、『ファイヤーボール』や『我が闇の虚空に沈みたまえッ』などと意味不明なことを叫び、警報によって駆け付けた重装備の警官らによって取り押さえられたということです。数名がナイフの取り扱いには長けていましたが、難なく警察によって無力化されました。けが人は出ていない模様です。関係者の話によると犯行グループは6年前の『慶田院高校生徒集団誘拐疑惑事件』の被害者であり、精神に問題があるとされ全員が病院に送られましたがそこを抜け出して今回の犯行に至ったということです。現在犯行グループは取り調べを受けており、『魔剣さえあればあんな雑魚どもなんて簡単に倒せたのに』や『魔力があるのに魔法が使えない。ナンデッ!?』などと供述しているとのことです?―――」
アナウンサーが困惑しまくりながら必死にニュースを読み上げる。ワイドショーの出演者など、必死に笑うのをこらえている。俺はただ一言つぶやいた。
「こ れ は ひ ど い」
再びしばらくの間世間を騒がせた彼らだったが、すぐに割と重めの実刑判決が出たことで騒ぎは終結した。噂では政府の特殊機関にひき取れれたともいわれたが、すぐに忘れ去られ人々は日常へと戻った。
俺と咲はその後無人島で悠々自適なスローライフを楽しんでいる。
いかがだったでしょうか。
誤字脱字や、改善点等あればご指摘お願いします。あ、でも、できれば優しめにお願いします。作者の幼稚園児湯豆腐メンタr(以下略)