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さようなら、王子様。

作者: シンヤ

風に吹かれて鞄につけていた小さなぬいぐるみが揺れる。

親友からプレゼントされた時のことを思い出して少し笑ってしまう。


今日から私の高校生活が始まるのだ。


私がこれから通うことになるのは、お金持ちの子息令嬢が集まる名門校である月ヶ丘学院。初等部から大学まであるとても大きな学校だ。初等部からエスカレーターで大学まで行く人もいるが、初等部と中等部は定員が少なく高等部からの編入生が多い。

名門4家の1家、花城家次女の私は月ヶ丘学院か系列の星ヶ丘学院の高等部に通わなくてはならないという伝統のせいで仲の良かった中学時代のクラスメイト達と別れこの学院に通うことになってしまったのだ。

私がつい数ヶ月前まで通っていた中学は私立の進学校であり、勉強や運動に力を入れた文武両道な素晴らしい中学だった。評判もよく入るのが難しいと言われるその中学にどうしても通いたくて猛勉強してやっとの思いでその中学に入った私は、親友達ととともに素晴らしい中学生活を満喫していた。そこでは名家の令嬢ということを気にせず全力で様々なことに打ち込むことが出来た。

クラスメイト達と放課後残って教室で勉強会をしたこともあった。騒がしくて途中からは遊んでいるだけになってしまったがそれもいい思い出だし、体育祭では全力で声を出して応援して走って汗だくになりながら全員で力を合わせて戦った。一学年3クラス、90人しかいなかったため学年全体の仲がよかったのだ。

しかし、今日からはそうはいかない。

名家の人間と関わりを持ちたがる人もいるだろうし、中学時代と同じように過ごしていたら名家の名に泥を塗ってしまうため名家の令嬢としてふさわしい態度で一時も隙を見せず弱みを握らせない。人の上に立ちリーダーシップを発揮することが求められる。


そう言えば、そんなことを考えて憂鬱な気分だった私を気分転換に誘ってくれたのは親友達だったな。


そんなことを考えながら、私は月ヶ丘学院の正門をくぐる。


その先にはどんなことが待ち受けているのだろうか。

前世でプレイしていた乙女ゲームとは違うストーリーになったらヒロインや攻略対象達はどうなるのか。それを考えると星ヶ丘学院に行ってもよかったのかも知れないな。


「渚!早くしないと置いてくよー」


「渚! 入学式遅刻すんぞ!」


ふと、声をかけられ顔を上げると前には幼馴染兼親友の雪と湊がいる。

2人の笑顔につられ私も笑顔になってしまう。


「今行く!」


そう声をかけて2人の方へ駆け出した。



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