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眼鏡

作者: 安住 聲

まあるい縁にしなやかに前への曲線を描くレンズ。

耳のところでカーブしている部分も素敵だ。

どこにでもある物でありながら丸っこくて可愛らしいフォルムに見とれると同時にこいつが私にとって欠かせられない存在であることを嘆いた。


私はどこにでもいる眼鏡ヘヴィーユーザーの一人だ。

此奴がいないと私は人の顔を明確に捉えることができない。

空に輝く星が何重にも存在し、ぼやけて見える。

私の目に映る世界は正しくない。

きっと近視も乱視も遠視もなく健常な目の持ち主にはわからない話だろう。


いつか友人の一人が「もういっそ眼球ごと取り替えたら。」と言っていたのをふと思い出した。

本当にそうしてやりたいくらいだ。


いい事だってあるんだ。

顔も見たくないような相手が近づいてきたとき来たときに眼鏡を外せば見なくて済む。

文字通りの望みをかなえられるんだ。

大勢の前に出るときに外しておけば緊張を回避できる。


なんて利点を挙げてみても私はやはり目が良くないことを良しとは出来なかった。

やっていることが卑怯すぎる。私は何事においても正々堂々と勝負したい派なのだ。


人間の多くは視覚に頼って生きてきている。頼りになるはずの視覚が正確でなくて頼りないのは嘆かわしいことだと思わないか。

雲の形も花の葉脈の一本一本もトンボの翅の繊細さも大好きな友人の顔も此奴なしには見られないんだ。

他者の力なしに生きられないんだ。

私は1人で歩いていきたいんだ。

他者の力、意見、権力に集る寄生虫になりたくないんだ。


「君はさ、この世界をどう見てる?」


ハエの様に同じ行動を繰り返す大衆。

考えもせず「流行っているから。」でタピオカを啜る連中。

蝉の様に同じことを繰り返し言う輩。

僕の世界の大半はそんな人たちで出来ている。

この行動に少しでも疑問をもった人は何人いるのだろう。

莫迦みたいに人のようなことをし、人のような人生を辿って、人のような最期を遂げる。


私はそれが嫌だ。

「人と違うことを。」をモットーに生きて来たのに、制約が付いてしまうなんて誰が予想しただろう。


私は今日も眼鏡をかけ太陽が輝く街へ歩き始めた。


訳が分からなかったらごめんなさい。


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