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無事子供が生まれてよかったぜ

 さて、去年の暮に妊娠していた奥さんは無事に子供を生んでくれた。


「うむ、この子には俺と同じ千代丸と名付けよう。

 まあ無事に生まれてきていくれてよかった」


生まれた子供は男児だ。


 そして俺がそういうと大道寺重時は苦笑していった。


「全くだな。

 狩野などとの戦いがあったとは言え、奥様方の屋敷に預けっぱなしで殆どございましたし」


「まあ、まあそうだな……」


 それと他の二人の奥さんたちにも子供は無事できている。


「殿はもう少し奥方様やお子様のことを気にかけたほうがよろしいのでは?」


風魔小太郎にそう言われるとなかなか返す言葉がない。


「たしかにそうであったな」


まあこの時代の父親は幼子の子育てにほぼ関わることはなく、子供の世話をするのは乳母や乳兄弟の役目だったりするから俺がことさら薄情というわけでもない。


 まあせめて出産のときにはその現場に立ち会ったらどうかという気もしないが、この時代では男が出産に立ち会うのはむしろやってはいけないことであったりする。


「問題はこの子の乳母をどうするかだな」


 乳母は実質的な子供の母親でもあり教育係でもあるし、その子供は乳兄弟として重臣になることも多く、そのために大きな権力を持ちやすい立場でもある。


「寺尾氏から乳母は求めようか」


 寺尾氏は上野の寺尾郷(高崎市)を本貫とする武士であり、新田義重に従っていたと言われるが、新田義貞が没落した後に、守護領として上杉憲顕に与えられ寺尾氏は上杉氏の被官となった。


その後、寺尾氏は上杉氏が守護職を得た伊豆国守護代に抜擢され寺尾伊豆守四郎左衛門憲清以降が三島で守護代を務めていた。


しかしその後、堀越公方足利政知がやってきたことで寺尾氏は守護代の地位を失うが三島での経済的な影響力は失ったわけではなく、俺に比較的早く協力をした氏族でもあった。


「まあ、無難なとこじゃないか」


 大道寺重時がうなずくと風魔小太郎も同様にうなずいた。


「そうですな」


 というわけで三島の寺尾源兵衛のところへ乳母を出してもらえぬかと使者を出した所快諾された。


「これでまずは一安心か」


 三島は伊豆ではかなり重要な場所だからな。


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― 新着の感想 ―
[一言] 歴史小説を書く人は資料は当たり前に読み込んでいます読む川も同様です
[良い点] 記述内容に矛盾がほとんど無いーよく勉強されていることが判ります互助脱字がほぼ無いー痛畏怖各課彼チェックされていますね
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