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関所の機能はこの時期は金儲けの手段になっている

 さて、この室町時代末期ではかなり好き勝手に関所が設置され、そこでは関銭を徴収していると言われている。


「実際に山陽道でもそれなりの数の関所はあるのは確かだな」


 だが、本来の関所の役割とは何かと言うと、古代の飛鳥時代や奈良時代では畿内を防御するための防御施設や伝令施設、農民の移動や朝廷や幕府にとって良くない情報の拡散を規制するためのものだったし、江戸時代ではそれらに加えて大名の奥方などが逃げるのを阻止するための場所でもあった。


 そして古代の平安時代くらいまでや、江戸時代では関所では通行税は取られていない。


 古代においてたとえば年貢を納めるために関所を越える際には、所属する官司・国司・郡司などに対して通過許可の申請を行って許可証を関に提出する必要があったが。


 だが、源平の争乱などに巻き込まれた寺が復興の勧進目的で関銭を取るようになって、それを被害を受けていない他の寺社や荘園の荘官なども目をつけて関銭を取るようになり、南北朝以後は公家寺社が荘園を横領されたため年貢収入の減少を補うためにも関所を設置して関銭を賦課したが、旅行者や商人はその負担に苦しんで流通の障害となり、度々関所は土一揆などによる攻撃の対象とされた。


  関で米で徴収される関米もしくは升米を徴収するようになったのは平安時代からで鎌倉時代初期にはそれが活発になった。


 関銭というように銅銭で徴収されるようになったのは貨幣経済が発達した鎌倉時代後期以後のことであり、南北朝時代から戦国時代にかけては関所に対しての通行税に対する一般的な名前になった。


 当初は徴収した関銭は関所施設の維持保全や道路の維持保全、道路の治安維持の費用に用いられた。


 ただし道路の治安維持の費用というように関所は関銭を納めた通行者に対して通行の安全を保護する義務も負っており、基本的には金儲けの手段ではあったが、通行の安全保証に対する報酬銭としての意味もあり、これは海上における海賊、湖などの湖賊などが通行する船にたいする警固料として銭をとったものと同様の意味を持っていた。


 なお坊主や神人、座に加わっている商人、守護大名などを筆頭に幕命で兵士を従えて通過する武力集団の通過の際には関銭は取らない。


 で、15世紀末の伊勢神宮の近辺では、関所がたくさんあったとされるが、これは伊勢神宮がそれなりに大きな神社だからできることで、小さな国人領主が同じようなことをしようとすれば、土一揆に襲われて関所を破壊されるだけでなく荘園領主がそのまま追放される場合もある。


 この時代の土一揆は何万人という規模になる場合もあるから、あまり下手なこともできないのだ。


「まあ、道路の整備や治安維持の、敵の襲来防御のために必要な面があるのは確かでもあるんだけど」


 荏原荘でも他所の勢力と隣接している場所には関所を設けていたし、関銭もとっていた。


 道路の維持整備や治安維持にためにはある程度はやむを得ないこともあるのだ。


「とりあえず賊の襲撃などがないのは助かるな」


 200名の兵を率いての上洛という物々しい警戒態勢をとっているのは、伊勢氏があまり良く思われていないからある程度は自衛できる戦力が必要だからというのはある。


 備中は備中守護の細川家の勢力だからまだいいが備前、播磨は山名の勢力圏だし、万一のことも考えなばならなかった。


「そのせいで銭がかかって仕方ないがな……」


 200人の兵を引き連れれば当然メシ代もかかるし宿坊や社家、問屋(といや)といったこの時代の宿泊施設に泊まるのもただではないが、まあ安全や健康を考えれば野宿はありえないしな。


「まあ、無事に京へ辿り着けそうでよかったけど」


 現状の京の都はどんな状況なのかこの目で確かめられるのは備中の片田舎に閉じこもってるよりはずっといいだろう。

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