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セブンスドール  作者: こうえつ
(最終章)まだ宇宙に神はいない
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二千年の恋

 ほんの小さな時間ではあったが、セブンスとナインが起こしたビックバーンはこの世界に大きな恵みを与えてくれた。光の出てくる空間の隙間から数十万もの未確認星が発生したからだ。

 資材の枯渇により、終末を待っていた人類には、新しい果実。

 ただし、王女は惑星の改造に強い制限を発し、人間だけが快適な星は作らせなかった。

 それでも「資源」「食力「自然」を手にした人類は沸き立っていた。


 戦艦サンタナが上昇を始めた。

 クロム以外のメンバーが乗っており、首都星を離れようとしていた。

 シュティレの腕をとって離さないテルルが思いつきで言った提案。

「ねえ、このメンツなら海賊とかやってみない? 面白そうでしょう!」

「はあ?」呆れるレニウム。

「お、いいね」鈴々とフィフスが同意する。

「戦えるならどこでも」シュテレイが戦士の言葉。

 とりあえず商業惑星へ行く事になった、狭いけど住むところあるよ四階で階段だけどねとテルルが言ったからだ。

 「あのぼろアパートか」アイアンサンドとリンが落胆する。


 その後は各々、新惑星へと個別に赴くことになる。

 帝国王女が帝国星の廃止と州の独立制度を掲げたからだ。反乱軍だったクロム達にも州が用意された。

 これからは全てに自由なフロンティアが人類にテルル達にも広がっている。

 各々のマシン、フィフスドール、シックドール・クイーン、帝国軍の新旧のヘルダイバ、そしててテルルのスパローを回収して、戦艦サンタナは、この星を飛び立とうとしていた。


「ねえ……クロム……一緒に来ないの?」

 懸命に……やっと口にした鈴々の問いに少し赤くなった頬のクロム。

「うん……わりい、待ち人がいるんだ」

 鈴々が一瞬目を閉じた……それからは元気に答えを返す。

「そっか。うん、それがいいよ。でも浮気はだめよ。相手は神一歩前で私たちの姉妹なんだからね!」

「……ばか、そんなの関係ねーーよ……悪いな鈴々、ほんとすまん」

 鈴々はクロムの言葉には答えず、元気にサンタナへ乗り込んでいった。

 サンタナが急上昇を始めた、手を振るクロム、その後ろから近づいてきたセブンスが呟く。

「行っちゃたね。よかったの? 鈴々やナイスボディのフィフス姉さんもいるのに」

 横に並んだセブンスにクロムが答えた。

「そうだな。もったいないかもな」

 セブンスが頬を膨らまして文句を言う。

「なにそれ!? 本気ならぶつわよ!」

 怒ったセブンスを見るクロムは、見たこともない優しい表情を見せていた。

 オレンジ色の夕方の景色に溶け込む二人は、遥かな過去の記憶が蘇る。

「あ。この景色……覚えているわ」

 言葉が止まったセブンス。見つめあう二人。

 ここまでたくさんの事があった。

 これからも色んな事が起きるだろう。

 でもセブンスはクロムに向かって歩を進めた。

「私はまだ死に方を見つけていないの。でも、これからは生き方を見つけるの」

 背伸びしてクロムに口づけしたセブンス、クロムはやさしく抱きしめて囁く。

「二千年の恋はこりごりだ。でも、おまえが生き方を見つけるまでなら一緒に居てやる」

 セブンスは、クロムの胸でしばらく目を閉じて愛しそうにしていた思い出があふれ出る

 目を開けて顔を上げたセブンスの顔を見て首をかしげるクロム。

「おい、どうしたんだ? おまえ、その瞳」

 セブンスがウィンクした……青い瞳が美しい。

「ふふ。置いてきちゃった! あるべきところにね」



 自宅のバルコニーから空を見ていたシルバ。

 オレンジ色に染まる空。美しい夕暮れ。誰もいない自分だけの時間。

 だが、シルバには七海がオレンジ色に染まりながら、未来を示唆した時を忘れられないでいた。

 後ろから近づく気配に、昔話を始めたシルバ。


「私と七海とは千八百年間も氷漬けになっていた。二人とも蘇生を受けたが、七海は遺伝子の劣化がひどくて三カ月しか生きられなかった。悲しんだ私にこの世界の神は奇跡を燃せてくれた。九番目のドールに七海の心を蘇らせた、外見も心も二千年前と変わってしまった、こんな醜い私を愛してくれた七海のように」

 感傷を胸に振り返るシルバがナインを見て驚いた。

「ナイン、その瞳は……」

 右目が青、左目が深紅のオッドアイ。その瞳に宿る星でナインがまっすぐにシルバを見据えた。

「哲士、私は好きなように生きるよ。神などなりたくもない。ただ、あなたと一緒にいたいだけなの。外見なんか関係ないよ。心は二人とも変わっていないからね、この時代でも哲士と歩んでいくの」

 左目を受け七海となったナインの言葉に涙を見せた、今までシルバであった哲士。


 セブンスから受け継いだ七海の心は、ナインの左目に宿り二千年前と変わらない愛を哲士に向けていた。

「愛している世界が破滅したって決して離れない……」




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