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セブンスドール  作者: こうえつ
(最終章)まだ宇宙に神はいない
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A.D.4021.神にあがなうツバメ

セブンスへのフィフスから預かったデータの送信に成功したテルル……実はフィフスが生放送を可能にするウィルスが入っていたのだが。

目的は果たしたテルルが下の様子を遠隔カメラで探る。


「やっぱりこの距離で止まれるわけないじゃん。大佐ボロボロすぎるでしょ!? それにあの趣味の悪いデカ物は……」

 地上に落下してその機能をほとんだ失った白いヘルダイバ、シュティレの危機にテルルが、機体を飛行モードに変更して、屋上からダイブした。

「待ってて大佐! ラバーズ! ゾーンシステムを起動!」


 地上ではテルルに酷評された趣味の悪い黄金のヘルダイバに騎乗する、キングが地に伏せるシュティレを満足そうに見下していた。

「下民は地面が似合うな。ひれ伏せシュティレこの銀河の神に。さすれば慈悲をもって死を与えよう」

 地上に衝突した衝撃でヘルダイバは大破、自身も重傷を負って操縦桿を動かす力も残っていないシュテレイがそれでも不適な表情を見せる。


「王様……いや元でしたね。たいそうな計画をお立てになったのに、十六歳の王女に阻まれて、ご自身がドールに身を落として喜んでいるとは、少々幻滅しましたよ」

 ガシン、壊れた倒れた白い機体を足蹴にするキング。

「なまいきだなおまえになにがわかる。人類はドールの力を借りてエターナルキングダムを建設するのだ。下賤なそなたたちとは大貴族はそもそも血統が違うのだからな」

 蹴られる度に揺れるコクピットの中で、口から血を吐くシュティレが笑う。

「ふふ、ドールに身を落としてなにが血統です? あなたは、ただ若さと永遠の命に引かれただけの老人だ」

 クソ、クソ、蹴る回数を増やし、自分の尊さを訴えるキングダム、エール十四世。

「ふっ、そちのように持たないものが何を言っても、クソの役にも立たんわ。蹴るのも汚らわしい下賤の輩。ここに浮遊する攻撃衛星に粉々にされるがいい」

 空中に漂う攻撃衛星、大きさは2m程度だが強力なビーム砲を備える。


「さあ、死ね。下民には地獄が待っているだろう」

 キングの意思で二十四機の攻撃衛星が光り始めた。

「ふう、ちょっとだけ正義の味方のピンチだな」

 シュティレの言葉に首を振るキング。

「正義じゃと? そんなものは権力者が決めるものだ」

「そんなことないよ」

「なに? 誰だ?」

 響いた女の子の声に空を見上げたキングの目に、黄色のツートンボディのテルルのスパローが一気に上空から近づく。

「小娘め。先に消してやる」


 小型攻撃要塞は目標をテルルのスパローに変えた。

 次々と放たれる攻撃衛星からのレーザー、だが、ゾーンシステムを使用したテルルの反射神経はドールさえ越えていた。機体、ラバーズ、操縦者を直接連結して脳神経を加速させる。


 数百発の光の束が行き交う空間を、名のごときツバメのように、軽やかに飛行するスパロー。

 テルルのは羽をしまい人型に変形して、シュティレの側に降りた。

「大丈夫かな? 大佐。助けにきたよ!」

「正義の見方は友情だな」 

 以外に元気なシュティレの言葉に微笑むテルル。

「まったくこんな状況でも余裕のコメントね。正義ものが好きなの大佐? いいわ、黄色レンジャーが助けてあげる」


 テルルがヘッドホンを耳に装着して、自分の好きなリズムを流しながら、腰から抜いた二丁のハンドガンを構える。衛星からの攻撃をストリートライブで踊るようにかわしながら、左右のハンドガンを連射する、正確な射撃に貫かれ、次々と落とされるキングの攻撃衛星。

 一曲聞き終わる前に二十四機全てをたたき落としたテルル。

「さて、準備運動は終わり。でか物にはとっておきでいくよ」

 ヘッドホンから流れるリズムを変えたテルル、ハンドガンを仕舞いスパローが背中に背負った太刀を両手で握る。

「ほう、小娘が神の我に傷をつける気か。無駄な事じゃ」

 キングが言い終わる前に、太刀を水平に向けたテルル。地上から速度を急速に上げて、剣を振り抜き続ける。

「この攻撃速度は……ドールでもここまでは」

 黄金のヘルダイバの目の前を剣先が幾度も走り、防戦一方のキングが感嘆を漏らす。


「結構かわすなでかい割には敏捷だね。でも、ここ! ここで!」 

 後ろに下がるキングダムの首筋に、間合いを詰めたスパローの太刀が届く、貫いたとテルルが思った時に異変が起こった。切ったはずのキングダムが10mほど後ろに現れた。

「今、あいつ……消えた?」

 テルルが疑問を口にしたとき、消えた黄金の機体。

「また、消えて……あ!」


 身長30mを越える大型の機体が巨大な拳で、自機の半分もない小型のスパローを拳で打ち抜いた。腕をクロスして攻撃を受けて後ろに飛んで、距離を取ろうとしたテルル、だが再び、キングダムは消え、スパローの間近に現れ巨大なその拳を打ち込む。巨大な黄金の拳の攻撃を両手で防御するスパロー、だがキングダムの攻撃を至近距離で受けて続け、機体に破壊が進む。


「なんで消えるのよ。このままでは……う、まずい、まともに食らった」

 こちらの攻撃に消え距離をなくして現れるキングダムに、速度と回避が武器のスパローはなすすべなく傷つき、ついには地上に崩れ落ちる。

「なんだもう終わりか。衛星を落とすまでは関心したが所詮下賤の娘だな」

 キングが隙をみせ攻撃の手をゆるめた瞬間、テルルがスパローを飛行タイプにチェンジして一気に突入する。黄金の機体に体当たりをかませたテルルが叫ぶ。

「どうだ! 自慢の機体に傷をつけてやった! え、なにを……」

 両手でスパローを捕らえたキングダムが、その美しい羽をもぎ取り始めた。

「かようなものに傷を付けられるとな。自慢の羽をむしり、細い足を折ってやろう。逃げられないようにな」

「身体が千切れる……」

 ゾーンシステムで機体とリンクされたテルルには、痛みがバックフィードされる。激痛の中で羽と両足を破壊され、シュティレの白いヘルダイバの横に放り出されたスパロー。


 キングが戦いの結果、自分の強さに満足を見せる。

「すべてのドールの力を持つ我に勝つことは出来ない。……もっとはっきりさせようか、力の差をな」

 キングダムが消えテルル達の前方二キロまで下がった。

「なにをする気なの……あれってセブンスドールが使った兵器じゃないの?」

 クク、嬉しそうに巨大な砲塔を二人に向けたキング。

「銀河一の大砲……ドーラカノン。セブンスが砂の星を破壊したものだ。その身に受けてみるがいい」


「ここまでなの?」

 諦めの言葉を呟くテルルに、折れた腕で操縦桿を握るシュテレイ。

「ここからだろう? 巨悪に向かう正義の味方はここから逆転するんだ……諦めるなテルル」

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